私を婚約破棄に追い込みましたけど、横の繋がりを知らないのですか?~私の妹が皇帝陛下の側室だった件~

マルローネ

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24話 事件簿の後始末 ②

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 これはそう……教会事件簿の後始末なの、後始末……。周りの人に聞かれたら石を投げられるかもしれないけれど……。


 私は予期せぬカウンターパンチと称して、ハロルドに一世一代の大告白をしていた!


「結婚してください!」


 貴族らしからぬ大声で……貴族街の隅での出来事とはいえ、誰かに聞かれてたら、それはもう大変なことになりそうね。でも、その気持ちに嘘なんてなかった……ダンテ様の一件もあったのだし、私のハロルドに対する想いは相当に高まっていたから……。


 こうやって勇気を振り絞った私だけれど、その内心は相当にドキドキしていた。おもわず、彼の顔を上目遣いに見てしまう。こ、断られたらどうしよう……。


「ああ、喜んでシェル。僕でよければだけどね……」

「ハロルド? い、いいの?」


 驚く程の即答振りに、逆に私が驚いてしまった……仮にも侯爵令息なんだから、もう少し悩んでも良さそうなのに……。しかも、びっくりするくらいにハロルドは笑顔だ。


「もちろんだよ、シェル。僕は……君のことが好きだったからね。その……想いが叶ったようで嬉しいよ」

「は、ハロルド……」


 とても嬉しい言葉だった。まあ、ついさっきキスしたばかりなんだから、当たり前の言葉と言ってしまえばそれまでなんだけど。


「シェル、僕からも言わせてくれ。僕と婚約してくださいますか……?」


 それは貴族としての正式な挨拶、と言えるのかしら? 彼は片膝を付いて、そのまま私を見上げている。私はその習わしに従うことにした。


「はい……喜んで」

「ありがとうございます」


 私は彼に右手を差し伸べる……そして、ハロルドは私の右手に口づけを交わしてくれた……。とても、感動的な婚約が結ばれた瞬間と言えるだろうか? 私たちの愛を邪魔する人は誰も居ない……。




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 ……そう、居ないはずだったの。彼女が現れるまでは……いえ、正確には邪魔、というわけじゃないけれど。



「オホン、なんだか今日はとても暑いですわね、皇帝陛下……オホンオホン」


「うむ、確かに……気温はそうでもないはずなんだがな……」


「ひゃあ……!?」


「こ、皇帝陛下……!?」


「ハロルド……その、偶然だな……」



 絶対に偶然じゃない……特にソシエは……。ライドウ皇帝陛下とその専属の護衛の皆様は、無理矢理付き合わされたのか、気まずい雰囲気を漂わせている。


 間違いなく、そこの主導権はソシエが握っているようだった……我が妹ながら恐ろしいわ……。


「ソシエ……」

「姉さま、怖いです……。私は姉さまに偶然会っただけですのに……!」


「……」



 わざとらしい悲しみの表情……う~ん、本当に怖いわ、この子。一体、どういうつもりなのかしら……?


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