私を婚約破棄に追い込みましたけど、横の繋がりを知らないのですか?~私の妹が皇帝陛下の側室だった件~

マルローネ

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15話 教会での出来事 ⑥

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「あの……失礼ながら、ご質問させていただいてもよろしいでしょうか?」

「はい、どうぞ。と、いうより、そんなに畏まられると困ってしまいます」


 伯爵家の貴族令嬢が下手に出ながらソシエに話しかけていた。ソシエのことを知っているのか、その貴族令嬢は相当に緊張している。立場的にはソシエと一緒だけど、側室というところで差が出ているということね。


「ダンテ様が婚約破棄というのはどういことでしょうか?」


「知らないのですか?」


「以前の女性とは止むにやまれぬ事情により別れることになったと伺っていましたが……」


「なんだなんだ? どういうことだ……?」


 先ほどの名イベントの後だからか、周囲の人々の食いつきがやけにいい気がする。皇帝陛下とその側室が現れただけでも注目の的にはなるんだけれど。そういう意味では、ソシエの発言は非常にタイミングが良いと言えるのかも。

 もしかして、この子って頭良いんじゃ……皇帝陛下の側室になる時点で、それはわかっていたけれど、こうやって見ると、如実に物語っているわね……姉としては負けられないわ。


 と、まあ私が変な対抗心を掲げている間、ハロルドは私をずっと気遣っていてくれた。


「大丈夫かい、シェル? 気分とか雰囲気とか……居心地は悪くないかい?」

「ありがとう、ハロルド。でも大丈夫よ」

「そうか……それなら、安心なんだけど……」


「むしろ……居心地は良い方かもしれないし」


 私は他人の不幸を見て楽しむタイプの人間ではない。むしろ、そういう風に楽しむ人間は嫌うまであると思う。でも……それはあくまで、相手側に特に非がない場合の話で。いじめは嫌いだけれど、今は、相手側に明らかに非がある……多少、居心地が良くなるのは人間的なんじゃないかしら?


 と、ちょっとだけ性格の悪いことを考えていたりした。後で反省しておこう……。

 と、そんなことを考えている間にもソシエの攻勢は進んでいた。とりあえず、私とハロルドは皇帝陛下とソシエの前に来たのだけれど……。


「あ、姉さま! もうベストタイミングですよ!」

「そ、そうなの……?」

「はい! これから、婚約破棄の裏話に入るところでしたので……当事者だった姉さまが居ると、説得力増しますもんね!」


 やけにソシエはテンションが高いわね……ダンテ様を断罪出来るのが嬉しくて仕方ないみたいな印象を受ける。私の為にやってくれているし嬉しいけれど、周囲を上手く巻き込んでいるは流石としかいいようがないわ……。もう、ダンテ様に明るい未来が想像できないというか……。
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