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6話 皇帝陛下 ②
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「教会に向かったダンテ様を……ふふふふふ……!」
「あの……怖いんだけど、ソシエ……」
「だって姉さま。ダンテ様は私の大切な実の姉を振ったお方なのですよ? しかも理由が……」
どうしよう……ソシエがとても怖いわ……。婚約破棄をされたのは私だけれど、ソシエの態度はまるで自分のことのように考えている。そこまで怒ってくれるのは嬉しいけどさ……う~ん。ソシエにはダンテ様がアブノーマルプレイを望んでいることは伏せておくべきだったかもしれないわね。
「ノーマルではなく、アブノーマルを好むか……確かに、貴婦人たちの前で言うセリフではないな。ダンテははっきりと、そのように言ったのだな?」
「はい陛下……それは事実でございます」
その事実について、私ははっきりと皇帝陛下に伝えた。皇帝陛下は頭を抱えている様子だ。
「シュール家は余も信頼をしている家系の1つだ。その次期当主であるダンテが歪んだ性癖を持っているとなれば……。いや、それ自体はともかく、それを理由にシェル殿と婚約破棄したというのであれば、然るべき処置が必要になる。見過ごしては、貴族社会全体のためにもならんからな」
「陛下……」
まさかまさかの皇帝陛下が味方になってくれた? これはとんでもないことだわ……。
「陛下、ダンテ・シュールの身辺調査については私にお任せください。合わせて、教会で何をするつもりなのかも調べておきます」
「わかった。では、ハロルドよ、よろしく頼むぞ」
「畏まりました、陛下。シェルを悲しませたダンテ・シュールを私は決して許しはしません……」
「ハロルド……」
ハロルドの決意は私にも真に伝わってきた。とても嬉しい言葉……でも、やり過ぎてしまわないかという不安が残るけど……。ハロルドの家系は皇帝陛下とは違って侯爵の立場。ダンテ様と同等だから、思わぬ反撃を受ける可能性だってある。
「ハロルド、気持ちはとても嬉しいけれど、無茶だけはしないでね?」
「ああ、任せてくれ。無茶はしないさ」
「うん……」
「シェルに対してアブノーマルを働こうとしたダンテ。うらやま……じゃなくて、許せないな。しっかりと身辺調査を行って来るよ!」
「……うん、期待しているわ」
なんだか、いけない言葉が聞こえた気がするけど、きっと気のせいよね。ほら、ソシエも陛下も聞こえない振りをしているし! あ、陛下は明後日の方向を向いて口笛を吹いていらっしゃるわ……めずらしい光景かも。
何にしても、私には心配してくれる人が居る……それを再確認できた瞬間だった。
「あの……怖いんだけど、ソシエ……」
「だって姉さま。ダンテ様は私の大切な実の姉を振ったお方なのですよ? しかも理由が……」
どうしよう……ソシエがとても怖いわ……。婚約破棄をされたのは私だけれど、ソシエの態度はまるで自分のことのように考えている。そこまで怒ってくれるのは嬉しいけどさ……う~ん。ソシエにはダンテ様がアブノーマルプレイを望んでいることは伏せておくべきだったかもしれないわね。
「ノーマルではなく、アブノーマルを好むか……確かに、貴婦人たちの前で言うセリフではないな。ダンテははっきりと、そのように言ったのだな?」
「はい陛下……それは事実でございます」
その事実について、私ははっきりと皇帝陛下に伝えた。皇帝陛下は頭を抱えている様子だ。
「シュール家は余も信頼をしている家系の1つだ。その次期当主であるダンテが歪んだ性癖を持っているとなれば……。いや、それ自体はともかく、それを理由にシェル殿と婚約破棄したというのであれば、然るべき処置が必要になる。見過ごしては、貴族社会全体のためにもならんからな」
「陛下……」
まさかまさかの皇帝陛下が味方になってくれた? これはとんでもないことだわ……。
「陛下、ダンテ・シュールの身辺調査については私にお任せください。合わせて、教会で何をするつもりなのかも調べておきます」
「わかった。では、ハロルドよ、よろしく頼むぞ」
「畏まりました、陛下。シェルを悲しませたダンテ・シュールを私は決して許しはしません……」
「ハロルド……」
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「ハロルド、気持ちはとても嬉しいけれど、無茶だけはしないでね?」
「ああ、任せてくれ。無茶はしないさ」
「うん……」
「シェルに対してアブノーマルを働こうとしたダンテ。うらやま……じゃなくて、許せないな。しっかりと身辺調査を行って来るよ!」
「……うん、期待しているわ」
なんだか、いけない言葉が聞こえた気がするけど、きっと気のせいよね。ほら、ソシエも陛下も聞こえない振りをしているし! あ、陛下は明後日の方向を向いて口笛を吹いていらっしゃるわ……めずらしい光景かも。
何にしても、私には心配してくれる人が居る……それを再確認できた瞬間だった。
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