私を婚約破棄に追い込みましたけど、横の繋がりを知らないのですか?~私の妹が皇帝陛下の側室だった件~

マルローネ

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3話 婚約破棄をされたシェル ③

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 あれから、どのくらいの日付が経過したかしら……あれからというのは、もちろん、ダンテ様に婚約破棄をされてからの日数を意味しているけれど。1週間くらい経過したかしら?


 私はお父様やお母様、妹のソシエにも打ち明けたけれど、誰一人として私を咎めことはなかった……それは嬉しくもあり、申し訳なくも思ってしまう。せっかくの侯爵令息との縁談がなくなってしまったんだから。


 私は私室で無為に過ごしているけれど、私の婚約破棄を聞いてから、妹のソシエの姿を見ていないような気がするわ。遅くなるとは聞いていたけれど、どこに行ったのかしら? ソシエは皇帝陛下の側室でもあるから、屋敷に居なくても不自然ではないんだけれど……。


 と、そんな時、私の私室の扉をノックする音が聞こえて来た。


「はい、どなたかしら?」

「失礼いたします、シェル様……。侯爵令息のハロルド様がお見えになっていらっしゃいますが……いかがいたしましょうか?」

「ハロルドが……!?」


 ハロルド・ゲーニッツ侯爵令息……ダンテ様と同じくらいの立場にある幼馴染だ。私はハロルドが来たことをメイドから聞きつけ、すぐに玄関先へと移動することにした。



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「シェル!」

「ハロルド……! どうしてここに……?」


 私の姿を見たハロルドは安心したように、胸を撫でおろしていた。嬉しいけれど、このタイミングで来たこということは……。


「婚約破棄の件……知っているの?」


「ああ……失礼かとは思ったが、居てもたってもいられなくなって、君のところに来たんだ。本当に済まない」


 そう言いながら、侯爵令息であるハロルドは私に頭を下げる。あの……とても気まずいんだけれど……。私よりも位の高い彼に頭を下げさせたと知られたら、お父様たちに怒られそうだわ。


「ハロルド、謝る必要はないから……。その、私のことを心配してくれただけでも、とても嬉しいし……」

「シェル……。しかし、大丈夫なのか? とても平静を保っていられる状況ではないと思うんだが」


 確かに……ハロルドの心配はその通りだと思う。ダンテ様からの婚約破棄……それは私にとって、想像以上のダメージになっていた。ダンテ様への恋愛感情という意味では薄かったかもしれないけれど、エドガー家に与えたダメージなどを考えるとどうしても……。


「平静を保つ……確かに、保てる状況では、ないと思うわ……」

「シェル……。とにかく、外へ出ないか? 散歩をするだけでも、気分転換になるだろう?」

「そうね……分かったわ」


 確かに散歩をすれば気分も変わるかもしれない……私はハロルドの意見に賛同し、外へと出ることにした。


 
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