器用貧乏の底辺冒険者~俺だけ使える『ステータスボード』で最強になる!~

夢・風魔

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「"プチ・スラッシュ"!」
「クオオォォンッ」
「よし、一撃確殺出来るようになったぞ!」

 十階で見習い冒険者のレベルを30まで上げてから、次は基本職業のレベルを25まで上げることにした。
 ルナやにゃびも十階じゃ物足りない──というので、十一階、十二階へと移動。
 プチ・バッシュをレベル10にして、その状態で戦士に転職した時に新しいスキルが現れた。
 それが『プチ・スラッシュ』だ。

「中距離攻撃で使い勝手はいいけど、同じレベルだとバッシュの方が威力は高いな」
「物理職で中距離攻撃スキルがあるんだから、それくらいのデメリットがあってもおかしくないわよ」
「そろそろ帰るにゃか~? おいにゃお腹空いたにゃよ」
「そうだな。ルナ、にゃびがお腹空いたってさ」
「ってことはもう日が暮れてるわね。にゃびの腹時計は正確だもの」

 魔法陣で地上へと戻り、そのまま冒険者ギルドへと向かう。
 ドロップ品の査定をして貰って、お金を受け取ったら閉店間際の雑貨屋へと向かった。
 これが最近のルーティーンで、店の店主も俺たちの顔を覚えてしまうほど。

「今日は何本だい?」

 店内に入るや否や、店主はルナを見てそう尋ねた。
 彼女が二十五本だと答えると、店主はその数の矢を持ってくる。

「魔法の矢筒でもありゃいいんだろうがなぁ」
「それは高価なものだから……。それに日帰りだし」
「おじさん、魔法の矢筒っていくらぐらいか知ってる?」
「ちょっとロイド。いいわよそんな高い物なんてっ」

 攻撃手段が弓である限り、矢の消費は避けられない。
 攻撃後、なるべく矢は回収しているけれど、折れてしまうのもあるから毎日何十本かはダメになる。
 連戦になれば拾い集める暇もないから、そのことも考えて五十本以上は持ち歩くようにしていた。
 でも矢筒にその本数は入らないので、束にして彼女と俺とで背負っている。

「そうさな。何本収納できるかにもよるが、五十本ぐらいで銀貨八十枚ってところか」
「ほ、ほら高いじゃない! べ、別にいらないわよ。ロイドが荷物になるっていうなら、私ひとりで持つからっ」
「いや、でもやっぱりあったほうがいいって。そしたらダンジョン連泊も出来るだろうし」

 他所のダンジョンだと、日帰りはなかなか難しい。
 長く籠れるようになれば、その分稼ぎも良くなるだろうし。長い目で見れば初期投資として矢筒を買っておくのは悪いことじゃないと思う。
 それに正直なところ、お金には全然困ってないからな。

 ここ数日の稼ぎで、所持金は全部まとめてだと金貨一枚に届きそうな金額になっている。
 魔法の矢筒を買うだけのお金もあるってことだ。

「い、いらないからっ」

 ルナは代金を支払って矢の束を抱えると、そのまま店を出て宿の方へと走っていってしまた。

「ルナはけちんぼにゃかねぇ~」
「そうじゃないよ。彼女はお金を貯めて、故郷へ仕送りをしたいんだ。その為に節約をしたいんだよ」
「仕送りってお金を送るにゃか? ルナの故郷はお金が必要なんにゃかぁ」
「あぁ。必要なんだよ」

 新しい領主が家賃を請求してきているようだから、そのお金のためだろう。
 一攫千金を手にすることがあれば、森を買い取るのもありかもしれない。

「さ、ルナを追いかけよう」
「どうせ宿にゃー」

 店を出てルナを追いかけると、にゃびの言う通り宿の入り口で彼女に追いついた。
 追いついたというか、モリーがいる?

「あ、こんばんはロイドさん」
「こんばんはモリー。何かありましたか?」
「ロイドどうしよう! モリーが……モリーが私にこれをくれるってっ」
「これ? んー、矢筒?」

 さっき矢筒の話をしていただけに、これが魔法の矢筒だったりしてーなんて思ってしまう。
 だけどルナの慌てたような様子を見て、それは確信に変わった。

「まさかそれ……」
「そのまさかの、魔法の矢筒よ! しかも百本も入るってっ」

 雑貨屋のおじさんが言っていた、五十本用で銀貨八十枚という言葉が脳裏によみがえる。
 百本だと……いくらになるんだ?

「あ~、お金のことは心配せんでいいばい。それ、わたしが作った矢筒やけん」
「え、モリーが? 魔法の矢筒も作れるのか」
「材料があればね。やけんど、今のわたしやと百本入りが限界やったと。本当は二百本入るヤツを作りたかったんやけど」

 いやいやいや。百本でも凄いって!
 でもどうしてこれをルナにあげようと?

「クソ親父はね、引退するにはまだ早すぎるんばい。前みたいに頑張ろうとしとる冒険者のために、腕を振るって欲しいと」
「クソとか言ってるけど、本当はお父さんが心配なんだな」
「ち、違うっちゃ! クソ親父が現役復帰してくれたら、わたしに無理やり跡を継がせようとせんくなると思っとーとよっ」

 あ、そっちですか。

「復帰してくれれば、クソ親父に弟子入りしたいって言う人もおるけん」
「へぇー、そういう人もいるんだ」
「う、うん。おると、よ」

 なんだか歯切れが悪いな。本当はいないとかいうオチで、彼女の希望的憶測だったりする?

「モリー、どうして真っ赤にしてるの?」
「ひはっ。な、なんでもないと、なんでもないとよルナ。と、とにかく三人には、クソ親父が鍛冶をやるきっかけを作って欲しいと。やけん、わたしに出来ることで協力したいとっちゃ」
「それで矢筒か。まぁ紹介してくれたのもモリーだしな。そういうことならルナ。モリーが木工職人を続けていくための依頼報酬だと思って受け取ったら?」
「そうばい。受け取って、ルナ」
「タダにゃ! もらっちゃうにゃよ」

 にゃびの言葉は分からずとも、俺たち三人に後押しされる形でルナは矢筒を受け取ることにした。

「モリー……私、なんてお礼を言ったらいいか」
「気にせんで。あ、でももしもね、レアな木材が手に入ったら安く譲ってくれたら嬉しいなぁって」
「もちろんよ! あ、その、ロイド……」
「いいよ。その木材でまたルナ用の弓でも作ってくれると有難いけどね」
「そんときはちゃんとお金貰うけんねぇ」

 そう言って彼女は笑い、ルナも顔をほころばせた。





「で、今のステータスがっと──」



【名 前】ロイド
【年 齢】16歳
【種 族】人間
【職 業】見習い戦士 レベル26 +

【筋 力】298+120
【体 力】298+120
【敏捷力】298+120
【集中力】298+120
【魔 力】298+120
【 運 】298+120

【ユニークスキル】
 平均化

【習得スキル】
『プチバッシュ レベル10』『プチ忍び足 レベル10』『プチ鷹の目 レベル1』
『プチ・ヒール レベル5』『プチ・ファイア レベル10』

【獲得可能スキル一覧】+

【獲得スキル】
『筋力プチ強化 レベル10』『見習い職業時の獲得経験値増加 レベル10上限』
『魔力プチ強化 レベル12』『体力プチ強化 レベル10』『敏捷力プチ強化 レベル10』
『集中力プチ強化 レベル10』 『運プチ強化 レベル10』『プチ隠密 レベル10』
『魔法操作 レベル5』『スキルポイントアップ レベル1上限』『プチ・アイス レベル1』
『プチ・サンダー レベル5』『プチ・ロック レベル1』『プチ・カッター レベル1』
『プチ・ブレッシング レベル10』『プチ・スラッシュ レベル10』

【ステータスポイント】35
【スキルポイント】49


*******●パーティーメンバー*******

【名 前】ルナリア
【年 齢】16歳
【種 族】兎人
【職 業】弓手 レベル26


【筋 力】40
【体 力】40
【敏捷力】411
【集中力】425+40
【魔 力】26
【 運 】10

【習得スキル】

【獲得可能スキル一覧】+

【獲得スキル】
『射速 レベル5』『標的認識 レベル5』『ツインアロー レベル8』
『集中力強化 レベル8』

【ステータスポイント】0
【スキルポイント】0

------------------------------

【名 前】にゃび
【年 齢】35歳
【種 族】ネコマタ
【職 業】ロイドの従魔レベル27

【筋 力】136
【体 力】79
【敏捷力】473
【集中力】49
【魔 力】412
【 運 】420

【習得スキル】
『月光の爪 レベル15上限』『夜目 レベル10上限』『忍び足 レベル10上限』

【獲得可能スキル一覧】+

【獲得スキル】
『風のマント レベル10上限』『紅い月 レベル10上限』『鋭利な爪 レベル5』

【ステータスポイント】0
【スキルポイント】3



 プチ・スラッシュのレベルを10にすると、今度は『バーストブレイク』という戦士スキルが出てきた。
 自分を中心に小範囲の攻撃スキルらしい。
 それを取るかどうか悩んでいる。
 それとも属性魔法スキルのレベルを上げて、どのタイプのモンスターにも対応させるか……。
 他にも欲しいスキルはある。斥候の回避系スキルだ。

 明日から十五階で狩をするから、様子を見て考えよう。

「ルナはこれから集中力強化一択で?」
「うぅん。範囲攻撃が欲しいかなって思うのよね。それに矢の消費もないみたいだし。ただ私の魔力でどうかなと思って」
「どのくらいの魔力を消費するんだろうね。でも弓手って魔力高い人なんてそういなさそうだけど」
「うん……でもツインアローのレベルが10になったら、新しいスキルが出てきたりしないかと思って」

 なるほど。俺の新しいスキルも前提となるスキルのレベルがある程度上がると出て来てるもんな。

「じゃあ残りレベル2、上げるつもりで?」
「えぇ。どっちにしろ、今の私の主力スキルだし。10にしても損はないと思うから」
「だね」
「にゃっにゃー! おいにゃは『影』を取るにゃ!」

 風のマントと紅い月はレベル10が上限だった。この二つが上限に達すると出てきたのが『影』だ。
 その名の通り、自分の影──つまり分身を生み出すスキル。
 スキルレベルが低いと、かなり劣化したにゃび影になってしまう。

「でも弱いおいにゃは嫌にゃ。10ポイント貯まるまでスキル取らないにゃ」
「分かったよ。でもその前にガルオンが見つかったりしてな」

 町のダンジョンには冒険者も少ないし、意外とあっさり見つかるかもしれない。
 そう思っていると──

「ロイド、ねぇちょっと外を見て」
「どうしたんだ、ルナ?」
「うん……さっきからダンジョンへ向かうパーティーが、何組もいるんだけど。ちょっと気になって」
「え?」

 宿はダンジョンへと向かう大きな通りに面した所にある。
 そちらの方向へ歩く冒険者がいれば、当然目的の場所はダンジョンということに。

 ルナが心配そうに窓の下を見つめるので、俺とにゃびも一緒に観察することに。
 すると一組、また一組とダンジョンへ向かう冒険者パーティーの姿が見えた。

「もしかして、ネームドかボスが湧くタイミングにゃのかも?」

 にゃびのその言葉に一抹の不安を感じ、どうするか三人で話し合った。
 そうだ。夜の間に湧くことだってあるんだから、のんびり寝てる場合じゃないよな。

「行くにゃ!」
「そうね。行きましょう」
「よし、それじゃあ行こう!」
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