器用貧乏の底辺冒険者~俺だけ使える『ステータスボード』で最強になる!~

夢・風魔

文字の大きさ
20 / 41

20

しおりを挟む
「地下十五階は緩やかな斜面に、遺跡が立ち並ぶ階層になってんだ」
「遺跡、ですか」
「そうだ。壊れた建物ばっかりでな。その階層に『石好きのガルオン』っつうネームドモンスターが出るんだがな」

 ダンジョンの特定階層に生息するネームドモンスター。
 まぁ名前は昔の冒険者が勝手につけたものだけど、同種のモンスターとは比べ物にならないほど強力だという。
 体も大きいからすぐに分かるんだが、とにかく出現頻度が低いうえに一体しか生息していない。
 そのうえレアなアイテムをドロップしやすいから、狙っている冒険者も多い。

「そいつが素材を落すんですか?」
「あぁ、そうだ。『マナハルコン』つってな。鉱物なんだが、魔力を流すと形を変える性質がある」
「形を変える?」
「おう。この猫の気合を入れると爪が伸びるっつうのに似た感じか」

 形態1、形態2という感じに形を記憶させ、魔力を流し込むことで切り替えられる魔法鉱物だとか。
 ただ流し込む魔力が少ないと、変形範囲も小さくなって意味がない。
 だから魔術師が護身用に持つ武器に適している──とモルダンさんは言う。

「ガルオンはコボルトキングの亜種だ。強ぇぞ」
「そいつを倒せにゃいにゃら、おいにゃが武器を持つに相応しくにゃいってことにゃ」
「ガルオンを倒せなきゃ、武器を持つのに自分が相応しくないんだってさ」
「はっ。言うじゃねーか猫野郎」

 地下十五階か。今の俺たちでも行けるだろうか?

「大丈夫よ。あんたの魔法操作の腕も上がってるんだし、行けるわ」
「ルナ……そう、だな。うん、俺たちなら大丈夫だな」

 顔に出てたのかな? ルナに声を掛けられ、大丈夫っていう気が出てきた。

「おい、お前ぇ魔法スキルがメインなのか!?」
「え、あぁ今のところは」
「あぁー、ダメだダメだっ。あそこにゃ魔法耐性の高ぇーモンスターばっかりなんだよ!」

 ……え?
 魔法スキル……利かない?

「くああぁー、ちょっと待ってろ」

 ドスドスとモルダンさんが奥へと向かう。

 物理攻撃スキルだと『プチ・バッシュ』しかない。それもレベルが3だ。
 プチが付くだけあって、威力も低いんだよな。
 筋力ステータスでどれだけ補えるか……。
 行くならやっぱり、プチ・バッシュのレベルを上げるべきだよな。

 そんな話を二人としていると、モルダンさんがドタドタと戻って来た。
 その手には妙に短い短剣が握られている。

「こらぁな、俺がだいぶ前に造ったもんだ。無茶ばっかりしやがる、魔術師の友人のためにな。まぁ、完成してあとは奴が帰って来たらくれてやるだけだったんだが」

 彼は口を閉ざしたけど、その友人がどうなったのかは容易に想像出来た。
 だって短剣を握るモルダンさんの手が、小さく震えて、表情は悔しそうだったから。

 暫くじっと短剣を見つめた後、モルダンさんはそれを俺に押し付けてきた。

「持ってけ」
「え、で、でも」
「お前ぇ、魔術スキルを使ってんだろ。さっきのプチ・ヒールもだが、プチのくせに良い治癒っぷりだった。魔力がそこそこ高ぇーんだろう。だったらおあつらえ向きだ。基本職の初期スキルが使えるって言ってただろう。プチ・バッシュもいけるな? スイッチは?」
「出来ます」

 スイッチ──パーティーでの役割を交代するっていう意味だけど、この場合、魔法職から前衛職のポジションが出来るかどうかって意味だ。

「なら使え。こいつぁマナハルコン製だ。魔力を注げば、刀身が伸びる。やってみろ」
「は、はい。魔力を──」
「魔法スキルを、握った柄の中に吸い込ませるイメージでやれ」
「りょ、了解──」

 言われた通りにやると、短かった刀身が光り出してすぅーっと伸び始めた。
 短剣よりも長く、ショートソードよりは少し短いかな?

「ほぉ、いいじゃねえか。もうちっと魔力がありゃ、ショートソードぐれぇになるんだが」
「魔力が関係するんですか?」
「大ありよ。魔力が少ねーと刀身は短くなるんだよ。ちょっと貸してみな」

 モルダンさんに剣を返すと、一瞬にして元の短い短剣に。そして彼が魔力を注ぐと──

「伸び……ました?」
「バカ野郎! 銅貨一枚分伸びてんだろうがっ」
「銅貨の厚み分にゃにぇ~」
「はは、そう、ですね」
「おう、姉ちゃんもやってみるか?」
「え、遠慮しとくわ」

 顔をひきつらせたルナが、後ずさりしながら拒否する。
 ルナも魔力は低いほう──だもんな。まぁこのあたりは種族特性だから仕方ないんだけど。

「でもこんなレア素材を使った武器なんて、とても買えそうに……」
「金貨十三枚ってところか」
「ひいいぃっ」

 き、ききき、金貨十三枚!?

「心配すんな。売るつもりもやるつもりもねぇ。貸してやるだけだっ。ちゃんと生きて返しに来やがれ!」
「あ……はいっ! もちろんですっ」





「じゃあひとまず八階でレベル上げをしようか」
「八階でいいの? さすがに見習い冒険者でも、上がりにくくなってくるんじゃない?」
「九階は嫌にゃ」
「十階に行ってみない?」

 十階かぁ。九階はにゃびが嫌だというし、弓との相性も悪い。
 十階で様子を見てみるか。

 午後からギルドへ行って、十階の情報を集めることにした。
 情報はお金を払えばギルドで買える。でもそれ以外の方法があると、にゃびが教えてくれた。

「おいにゃとコポトが冒険者ににゃったのは、別の町にゃけど、そこで他の冒険者が教えてくれたにゃ」
「へぇー、こういう裏技があったとはねぇ」
「あ、あったわ。十階で受けられる依頼」

 ギルドの『依頼看板』には、外部から依頼された内容が書かれた紙が張り出されている。
 依頼内容は素材集めがほとんどで、何をいくつ取って来て欲しいというもの。
 中には『何階』の『なんというモンスター』から取れる素材だと明記しているものもある。

「スモールリザードマン?」
「リザードマン系の中で一番小型な奴だよ。といっても、体高160センチぐらいあるらしいけど」
「湿地かにゃー」

 リザードマン系は湿度の高い地域に生息している。地上でも、ダンジョンでもそれは同じだ。
 ダンジョンの場合だと、湿地帯構造の階層に生息していることが多い。

「階層全域が湿地だと、戦いにくいだろうけど。でもまだ地下十階だし、そこまで難易度も高くないと思うんだけどな」

 その後も看板を見ていると、十階の希少植物の採取依頼を見つけた。

「この植物、私知ってるわ。もちろんダンジョン産じゃなくって地上のだけど」
「どんな植物?」
「乾燥させると、凄くいい香りが出るの。だから人間の貴族なんかが欲しがるのよ。でもこれ、湿地帯に咲く植物じゃないわよ」

 そうなると、十階は湿地とそれ以外の地形って可能性が高いな。

 よし。明日は十階に行こう。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

収奪の探索者(エクスプローラー)~魔物から奪ったスキルは優秀でした~

エルリア
ファンタジー
HOTランキング1位ありがとうございます! 2000年代初頭。 突如として出現したダンジョンと魔物によって人類は未曾有の危機へと陥った。 しかし、新たに獲得したスキルによって人類はその危機を乗り越え、なんならダンジョンや魔物を新たな素材、エネルギー資源として使うようになる。 人類とダンジョンが共存して数十年。 元ブラック企業勤務の主人公が一発逆転を賭け夢のタワマン生活を目指して挑んだ探索者研修。 なんとか手に入れたものの最初は外れスキルだと思われていた収奪スキルが実はものすごく優秀だと気付いたその瞬間から、彼の華々しくも生々しい日常が始まった。 これは魔物のスキルを駆使して夢と欲望を満たしつつ、そのついでに前人未到のダンジョンを攻略するある男の物語である。

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚… スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。 いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて… 気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。 愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。 生きていればいつかは幼馴染達とまた会える! 愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」 幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。 愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。 はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

俺得リターン!異世界から地球に戻っても魔法使えるし?アイテムボックスあるし?地球が大変な事になっても俺得なんですが!

くまの香
ファンタジー
鹿野香(かのかおる)男49歳未婚の派遣が、ある日突然仕事中に異世界へ飛ばされた。(←前作) 異世界でようやく平和な日常を掴んだが、今度は地球へ戻る事に。隕石落下で大混乱中の地球でも相変わらず呑気に頑張るおじさんの日常。「大丈夫、俺、ラッキーだから」

『山』から降りてきた男に、現代ダンジョンは温すぎる

暁刀魚
ファンタジー
 社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。  なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。  食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。  そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」  コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。  かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。  もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。  なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。  カクヨム様にも投稿しています。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

処理中です...