9 / 50
元魔王は棚ぼたを得る。
しおりを挟む
八年後。十三歳になったぼくは、相変わらず初級魔法の治癒すら使えていない。
なのに。
「おばちゃん、これで痛いのもう大丈夫だから」
「ありがとうねぇ、フィリア。あんたのおかげで、怪我もあっという間に治っちゃうよ」
「ううん。これも全部、ルインさまが私に聖書を読んで聞かせてくれたから」
フィリアに治癒の魔法を教えると、彼女は二年ほどして使えるようになった。
おかげで村ではフィリアを聖女だという者すらいる。
だが魔力量が多くなかったのもあり、次の魔法を教えるのは危険だとぼくは判断して教えてはいない。
エリーに貰った聖書には治癒以外にも三つの魔法が隠されていた。
つまり聖書というのはただ読むだけではなく、隠された魔法の呪文を読み解く暗号文にもなっていたのだ。
試しに他の呪文も唱えてみたが、治癒同様何も起こらず。
聖属性(2)があろうと、ぼくには神聖魔法の才脳が無いのかと不安になりはじめていた。
そんな頃に訪れた転機。
突然、屋敷に豊穣の女神ローリエに仕える教団員が訪ねて来た。
「このアルファート領に聖女候補の娘が居る――そう神のお告げがあった」
神の啓示により選ばれた聖女は、大概にして少女であることが多い。
そして神殿が手厚く保護し、聖女として必要な教育を施してくれる。
なんと羨ましい制度か。
好きなだけ神聖魔法の練習が出来るのだ。
だが、聖女とは女しか選ばれないので、男であるぼくはその時点であきらめざるを得ない状況だ。
そしてアルファート領の聖女候補とは――
「ル、ルインさま、私……」
「フィリアおめでとう。よかったな、聖女に選ばれて」
神殿の使者は「候補」と言っていたな。
もしかすると他にも聖女として啓示を受けた者がいるのだろうか。
何にしても羨ましい。
なのにフィリアは浮かない顔をしている。
「ルインさま私……どこにも行きたくない。お家に居たい」
「フィリア……」
行きたくない?
何故そう思うのか、ぼくには理解できない。
父上に聞いたが、聖書は神殿や教会でしか手に入れられない。
しかも教会で手に入れられるのは、聖書の第一巻――つまり今持っている物と同じものだ。
それだってタダではない。それなりのお金が必要だ。
そして巻数が進めば進むほど、金額が高くなるという。
「フィリア。神殿へ行けば、タダで聖書が読み放題なのだよ?」
「で、でも私……ルインさまと一緒に居たい……」
ぼくと……一緒に?
「じゃあフィリア。ぼくも一緒に行くよ!」
「「な、なんだって!?」」
教団員の連中は驚いたが、そのうちのひとりがぼくを鑑定した結果――
「「一緒に行きましょう!!」」
となった。
この八年間で聖属性のレベルは3に上がっていた。
属性レベルは上がっているのに、何故治癒魔法は発動しないのか……。
だがこの年で聖属性3というのは、かなり異質だったようだ。そのおかげでぼくは大神殿へ行けることになったので、結果オーライだろう。
くくくくく。これでぼくの最強スローライフにまた一歩近づけたぞ。
「ルイン。本当にローリエ神殿に行くのかい?」
「うん、アルディン兄さん」
八年前のスタンピード後、兄は半年程里帰りをしていた。
そのせいで騎士訓練学校を一年留年し、今年ようやく卒業を迎え戻って来た。
兄が帰ってきたのだ、領はもう任せてもいいだろう。
この八年間、神聖魔法の特訓以外にもぼくは頑張った。
土壌改良だ!
こつこつ地面に垂れ流した魔力のおかげで、アルファート領の収穫量は右肩上がり。
そのおかげで食料難も無く、餓死での死亡者もゼロだ。
アルファート領は国境である山脈に隣接する辺境の地。
領土は狭く、村がひとつあるだけ。
領民も三桁にようやく突入する程度しか居ない。
その領民もスタンピードで多くを失ったのが痛いけれど、今は積極的に移民の受け入れもしている。
まぁ辺境まで引っ越しして来る者など、早々居やしない。
「兄さんが帰って来てくれたし、ぼくも安心して神殿へ行けるよ」
「ルイン……お前はまだ十三歳だ。父上や母上と離れて、寂しくないのか?」
寂しくないのか――そう尋ねられれば寂しくない訳ではない。
ぼくにとって初めての家族だし、話し相手が居ると言うのは退屈もせず、本当に素晴らしいことだと思う。
まぁ話し相手に関しては、フィリアが居るので神殿に行っても事欠くことは無い。
「兄さん、何も未来永劫神殿に行こうっていうんじゃないよ。ぼくはぼくの望む暮らしを手に入れるために、聖なる力を手にしたいんだ」
「聖なる力?」
「神聖魔法だよ! これがあれば魔物を倒せるんだ。ぼくはここの暮らしを守れるんだ!」
「お前……そこまでしてアルファート領の事を――」
「うん。大好きだよ!」
程よく田舎で、季節の移り変わりを楽しめる地域だ。自然も美しい。
隠居生活にはもってこいだ。
最近は魔物の数が激減している。もしかすると治癒の練習台にし過ぎて、数を減らしてしまっていたのだろうか。
ゴブリンロードを殺ってからゴブリンは減ったし、コボルトにターゲットを移したがコボルトリーダーを思わずワンパンして殺してしまってからがコボルトも姿を見なくなってきたし。
おかげで山ひとつ超えた所まで練習をしに行っていたぐらいだ。
アルファート領は平和そのもの。
「ルイン。お前には聖属性が開花している。ならその才能を生かせ」
そう言って部屋へとやって来たのは父上だ。
隣には涙を浮かべる母上も居る。
去年今年と豊作だったのもあり、良い物を食べれるようになったからか、肌艶が良くなったように見える。
「ルインちゃん……こんなに早く親元を離れる時が来るなんて」
「立派な聖職者になったら、帰ってきます。少しあちこち見て回ってからですが」
必殺・天使の微笑み!
母上はキュピーンと目を光らせ――だが直ぐに光は消えた。
代わりに悲しそうな顔でぼくをきゅっと抱きしめる。
「母上?」
「ルインちゃん……。体には気を付けてね」
「はい」
生まれてこの方、病気などしたことがないのは知っているだろうに。
全ての状態異常に耐性を持ち、どんな毒であろうと無効する。
人の身に転生しても、それら魔王だった頃に持ち合たせた体質は健在だ。
「ルインちゃん。ご飯をたっくさん食べるのよ。神殿の食事はタダなのだから」
「はい! タダより安い物はないですもんね」
「そうよ……そう……うっ、うっ。元気でね、ルインちゃん……お母さんのこと、忘れないでね」
「やだなぁ母上。まるで今生の別れみたいにぃ」
神聖魔法を習得した後、暫くあちこちぶらぶらするつもりだったけれど、これは一度帰って顔を見せてやった方が良さそうだ。
だがフィリアの事もあるし、彼女が聖女に選ばれるまでは神殿に居るつもりだが。
そうして三日後、家族や領民に見送られながら、ぼくとフィリアは教団員に連れられ出発した。
なのに。
「おばちゃん、これで痛いのもう大丈夫だから」
「ありがとうねぇ、フィリア。あんたのおかげで、怪我もあっという間に治っちゃうよ」
「ううん。これも全部、ルインさまが私に聖書を読んで聞かせてくれたから」
フィリアに治癒の魔法を教えると、彼女は二年ほどして使えるようになった。
おかげで村ではフィリアを聖女だという者すらいる。
だが魔力量が多くなかったのもあり、次の魔法を教えるのは危険だとぼくは判断して教えてはいない。
エリーに貰った聖書には治癒以外にも三つの魔法が隠されていた。
つまり聖書というのはただ読むだけではなく、隠された魔法の呪文を読み解く暗号文にもなっていたのだ。
試しに他の呪文も唱えてみたが、治癒同様何も起こらず。
聖属性(2)があろうと、ぼくには神聖魔法の才脳が無いのかと不安になりはじめていた。
そんな頃に訪れた転機。
突然、屋敷に豊穣の女神ローリエに仕える教団員が訪ねて来た。
「このアルファート領に聖女候補の娘が居る――そう神のお告げがあった」
神の啓示により選ばれた聖女は、大概にして少女であることが多い。
そして神殿が手厚く保護し、聖女として必要な教育を施してくれる。
なんと羨ましい制度か。
好きなだけ神聖魔法の練習が出来るのだ。
だが、聖女とは女しか選ばれないので、男であるぼくはその時点であきらめざるを得ない状況だ。
そしてアルファート領の聖女候補とは――
「ル、ルインさま、私……」
「フィリアおめでとう。よかったな、聖女に選ばれて」
神殿の使者は「候補」と言っていたな。
もしかすると他にも聖女として啓示を受けた者がいるのだろうか。
何にしても羨ましい。
なのにフィリアは浮かない顔をしている。
「ルインさま私……どこにも行きたくない。お家に居たい」
「フィリア……」
行きたくない?
何故そう思うのか、ぼくには理解できない。
父上に聞いたが、聖書は神殿や教会でしか手に入れられない。
しかも教会で手に入れられるのは、聖書の第一巻――つまり今持っている物と同じものだ。
それだってタダではない。それなりのお金が必要だ。
そして巻数が進めば進むほど、金額が高くなるという。
「フィリア。神殿へ行けば、タダで聖書が読み放題なのだよ?」
「で、でも私……ルインさまと一緒に居たい……」
ぼくと……一緒に?
「じゃあフィリア。ぼくも一緒に行くよ!」
「「な、なんだって!?」」
教団員の連中は驚いたが、そのうちのひとりがぼくを鑑定した結果――
「「一緒に行きましょう!!」」
となった。
この八年間で聖属性のレベルは3に上がっていた。
属性レベルは上がっているのに、何故治癒魔法は発動しないのか……。
だがこの年で聖属性3というのは、かなり異質だったようだ。そのおかげでぼくは大神殿へ行けることになったので、結果オーライだろう。
くくくくく。これでぼくの最強スローライフにまた一歩近づけたぞ。
「ルイン。本当にローリエ神殿に行くのかい?」
「うん、アルディン兄さん」
八年前のスタンピード後、兄は半年程里帰りをしていた。
そのせいで騎士訓練学校を一年留年し、今年ようやく卒業を迎え戻って来た。
兄が帰ってきたのだ、領はもう任せてもいいだろう。
この八年間、神聖魔法の特訓以外にもぼくは頑張った。
土壌改良だ!
こつこつ地面に垂れ流した魔力のおかげで、アルファート領の収穫量は右肩上がり。
そのおかげで食料難も無く、餓死での死亡者もゼロだ。
アルファート領は国境である山脈に隣接する辺境の地。
領土は狭く、村がひとつあるだけ。
領民も三桁にようやく突入する程度しか居ない。
その領民もスタンピードで多くを失ったのが痛いけれど、今は積極的に移民の受け入れもしている。
まぁ辺境まで引っ越しして来る者など、早々居やしない。
「兄さんが帰って来てくれたし、ぼくも安心して神殿へ行けるよ」
「ルイン……お前はまだ十三歳だ。父上や母上と離れて、寂しくないのか?」
寂しくないのか――そう尋ねられれば寂しくない訳ではない。
ぼくにとって初めての家族だし、話し相手が居ると言うのは退屈もせず、本当に素晴らしいことだと思う。
まぁ話し相手に関しては、フィリアが居るので神殿に行っても事欠くことは無い。
「兄さん、何も未来永劫神殿に行こうっていうんじゃないよ。ぼくはぼくの望む暮らしを手に入れるために、聖なる力を手にしたいんだ」
「聖なる力?」
「神聖魔法だよ! これがあれば魔物を倒せるんだ。ぼくはここの暮らしを守れるんだ!」
「お前……そこまでしてアルファート領の事を――」
「うん。大好きだよ!」
程よく田舎で、季節の移り変わりを楽しめる地域だ。自然も美しい。
隠居生活にはもってこいだ。
最近は魔物の数が激減している。もしかすると治癒の練習台にし過ぎて、数を減らしてしまっていたのだろうか。
ゴブリンロードを殺ってからゴブリンは減ったし、コボルトにターゲットを移したがコボルトリーダーを思わずワンパンして殺してしまってからがコボルトも姿を見なくなってきたし。
おかげで山ひとつ超えた所まで練習をしに行っていたぐらいだ。
アルファート領は平和そのもの。
「ルイン。お前には聖属性が開花している。ならその才能を生かせ」
そう言って部屋へとやって来たのは父上だ。
隣には涙を浮かべる母上も居る。
去年今年と豊作だったのもあり、良い物を食べれるようになったからか、肌艶が良くなったように見える。
「ルインちゃん……こんなに早く親元を離れる時が来るなんて」
「立派な聖職者になったら、帰ってきます。少しあちこち見て回ってからですが」
必殺・天使の微笑み!
母上はキュピーンと目を光らせ――だが直ぐに光は消えた。
代わりに悲しそうな顔でぼくをきゅっと抱きしめる。
「母上?」
「ルインちゃん……。体には気を付けてね」
「はい」
生まれてこの方、病気などしたことがないのは知っているだろうに。
全ての状態異常に耐性を持ち、どんな毒であろうと無効する。
人の身に転生しても、それら魔王だった頃に持ち合たせた体質は健在だ。
「ルインちゃん。ご飯をたっくさん食べるのよ。神殿の食事はタダなのだから」
「はい! タダより安い物はないですもんね」
「そうよ……そう……うっ、うっ。元気でね、ルインちゃん……お母さんのこと、忘れないでね」
「やだなぁ母上。まるで今生の別れみたいにぃ」
神聖魔法を習得した後、暫くあちこちぶらぶらするつもりだったけれど、これは一度帰って顔を見せてやった方が良さそうだ。
だがフィリアの事もあるし、彼女が聖女に選ばれるまでは神殿に居るつもりだが。
そうして三日後、家族や領民に見送られながら、ぼくとフィリアは教団員に連れられ出発した。
0
お気に入りに追加
77
あなたにおすすめの小説
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
御者のお仕事。
月芝
ファンタジー
大陸中を巻き込んだ戦争がようやく終わった。
十三あった国のうち四つが地図より消えた。
大地のいたるところに戦争の傷跡が深く刻まれ、人心は荒廃し、文明もずいぶんと退化する。
狂った環境に乱れた生態系。戦時中にバラ撒かれた生体兵器「慮骸」の脅威がそこいらに充ち、
問題山積につき夢にまでみた平和とはほど遠いのが実情。
それでも人々はたくましく、復興へと向けて歩き出す。
これはそんな歪んだ世界で人流と物流の担い手として奮闘する御者の男の物語である。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。
死んで生まれ変わったわけですが、神様はちょっとうっかりが過ぎる。
石動なつめ
ファンタジー
売れない音楽家のフィガロ・ヴァイツは、ある日突然弟子に刺されて死んだ。
不幸続きの二十五年の生に幕を下ろしたフィガロだったが、音楽の女神から憐れまれ、新たな人生を与えられる。
――ただし人間ではなく『妖精』としてだが。
「人間だった頃に、親戚に騙されて全財産奪い取られたり、同僚に横領の罪を被せられたり、拾って面倒を見ていた弟子に刺されて死んじゃったりしたからね、この子」
「え、ひど……」
そんな人生を歩んできたフィガロが転生した事で、世の中にちょっとした変化が起こる。
これはそんな変化の中にいる人々の物語。
※小説家になろう様にも投稿しています。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる