異世界転移ボーナス『EXPが1になる』で楽々レベルアップ!~フィールドダンジョン生成スキルで冒険もスローライフも謳歌しようと思います~

夢・風魔

文字の大きさ
上 下
6 / 42

6:ルーシェの呪い

しおりを挟む
「腕力は力の事よ。これが高いと、重いものも持てるわ。武器を使った攻撃でも、腕力が高ければ高いほど、より大きなダメージを与えられる」

 この世界のステータスが、それぞれ何に影響を及ぼすのか。
 それを知るためにルーシェからいろいろ教えてもらうことにした。

「思った通りだな」
「あら、ある程度は理解できるのね。じゃあ次、体力よ」

 体力も重い物を持ち上げるのに関係するらしい。分かりやすいのは、鎧のように重い物を着て普通に動けるかどうかってこと。
 それと持久力だ。どのくらい長距離を走れるかとか、そんな感じ。

「俊敏は、反射速度や瞬発力に関係するの」
「逃げ足の速さとかも?」
「ぷふっ、その通りよ。次は器用ね。これは手先の器用さとかもあるけど、戦闘面だと攻撃の命中率かしら」

 ネットゲームで言うDEXみたいなものか。

「最後は魔力。魔法を使うのに必要なステータスよ。これが低いと魔法が使えないの」
「どのくらい必要なんだ?」
「下級魔法の発動でも、25は必要かしら」

 全然足りてねー。

「25ぐらいじゃあ、倒せるのはスライム程度だけどね。あ、スライムは見た?」
「見たよ。あいつらのおかげで、レベル17まで上げられたんだ」
「そんなに上げたの!? いったい何百匹倒したのよ……」
「いや、四十ぐらいだけど」
「は?」

 あ、ボーナスの話はしてないんだった。黙ってても都合が悪くなるだろうし、話しておくか。

「実は異世界転移ボーナスで、獲得経験値とレベルアップに必要な経験値が、揃って1になるってのを貰ったんだ」
「……え?」
「いやだから、全ての経験値が1になるっていう、なかなか良いボーナスをね」
「待って。じゃあなに? あんたはスライム一匹倒したら、レベルが上がるって言うの!?」
「つまりはそういうこと、だと思う」

 ルーシェがこめかみを抑えて大きなため息を吐いた。
 あ、肩をふるふる震わせ始めた。
 そ、そうだよな。ちょっと信じられない効果だよな。
 頑張ってる異世界人に、申し訳ない気がしてきた。
 だってこれって、チートみたいなもんじゃん。

「ふ、ふふ。なんてことなの……」
「ル、ルーシェ」

 彼女の震えが止まった。
 そして立ち上がると、俺を見下ろして不敵な笑みを浮かべた。

「ふふ……見つけたわ……見つけた。あんたは私にとって、最高のパートナーよ!」

 パ、パートナー?





「私が旅をしている理由、それはね……呪いを解くためなの」
「呪い?」

 ルーシェは頷き、その呪いについて話してくれた。

「気づいてた? 私、あんたと違って人間じゃないって」
「あ……う、うん。その、耳が……」
「でしょ? 私はね、魔族という種族なの。魔力に長けた種族なのよ」

 魔族……この世界ではどうなのか知らないが、一瞬、人間と敵対している種族なのかなと勘違いしそうだな。
 だけど単純に魔力特化の種族らしい。

 そんな彼女が何故呪いなんかに。

「が、学園でね……あ、新しい魔術の研究課題があったのよ。それで、誰も知らない魔術を発見してやろうと思って──」
「なんでその流れで呪われるんだ」
「き、禁書をうっかり開いちゃったのよ!」

 ……あぁー。その禁書は、開くと呪われるって奴ですねぇ。
 はいはい。

「その呪いは、魔法を使うたびにレベルが下がるってもので……私、禁書を開いたから学園からも退学させられちゃうし、呪いでどんどんレベル下がっちゃうし」
「うっかりって、禁書だと知らずに開いたってことじゃないのかい?」
「そうよっ。だって普通の本棚にあったんですもの。裏表紙に禁書を示す印があったけど、まさかそこに禁書があるとは思わなくて……」

 ふぅん。もしかすると、誰かに嫌がらせでもされたのかもしれないな。
 それで彼女は呪いを解く方法を探して、旅にでたということらしい。

 それにしても、パートナーと呪いがどう関係するのだろうか?

「君がさっき言っていた、俺が最高のパートナーってのは?」
「ふふ。えぇ、最高のパートナーよ! だってあんた、適正レベルのモンスター一匹倒せば絶対にレベルが上がるんでしょ?」
「あ、ああ。さっきまでそうやってレベルを上げていたから、確かだ」

 そう答えると、ルーシェは俺の傍に来てこちらを観察しはじめた。
 お、女の子にじろじろ見られるのって、なんか恥ずかしいな。

「悪く……ないわね。むしろ──かも」
「え? 悪くないって、なにがだい?」
「こ、こっちの話よ! パートナーっていうか、契約者のことなの」
「契約者?」

 ルーシェは頷き、魔導書を開いたときに受けた呪いには、まだ続きがあると話す。

「呪いにはもう一つ、セットスキルがあるの」
「セットスキル?」
「そう。レベルドレインよ」

 なんか聞いたことのあるスキルだな。
 レイスとか、ゴースト系モンスターがそういうのを使うっていうゲームがあったはず。

「相手のレベルを吸い取って、自分のレベルにすることができる効果よ」
「そのスキルを使うのに、契約する必要があるっていうのか」
「違うわ。そのスキルを使う対象にするために、契約が必要なの」
「じゃあ、契約した相手以外からは吸い取れないってことか」
「そういうこと」
 
 だからこその呪いなのだと、彼女は寂し気に言った。

しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?

夢・風魔
ファンタジー
仕事の疲れを癒すためにソロキャンを始めた神楽拓海。 気づけばキャンプグッズ一式と一緒に、見知らぬ森の中へ。 落ち着くためにキャンプ飯を作っていると、そこへ四人の老人が現れた。 彼らはこの世界の神。 キャンプ飯と、見知らぬ老人にも親切にするタクミを気に入った神々は、彼に加護を授ける。 ここに──伝説のドラゴンをもぶん殴れるテントを手に、伝説のドラゴンの牙すら通さない最強の肉体を得たキャンパーが誕生する。 「せっかく異世界に来たんなら、仕事のことも忘れて世界中をキャンプしまくろう!」

異世界転移しても所詮引きこもりじゃ無双なんて無理!しょうがないので幼馴染にパワーレベリングして貰います

榊与一
ファンタジー
異世界で召喚士! 召喚したゴブリン3匹に魔物を押さえつけさせ、包丁片手にザク・ザク・ザク。 あれ?召喚士ってこんな感じだったっけ?なんか思ってったのと違うんだが? っていうか召喚士弱すぎねぇか?ひょっとしてはずれ引いちゃった? 異世界生活早々壁にぶつかり困っていたところに、同じく異世界転移していた幼馴染の彩音と出会う。 彩音、お前もこっち来てたのか? って敵全部ワンパンかよ! 真面目にコツコツとなんかやってらんねぇ!頼む!寄生させてくれ!! 果たして彩音は俺の救いの女神になってくれるのか? 理想と現実の違いを痛感し、余りにも弱すぎる現状を打破すべく、俺は強すぎる幼馴染に寄生する。 これは何事にも無気力だった引き篭もりの青年が、異世界で力を手に入れ、やがて世界を救う物語。 幼馴染に折檻されたり、美少女エルフやウェディングドレス姿の頭のおかしいエルフといちゃついたりいちゃつかなかったりするお話です。主人公は強い幼馴染にガンガン寄生してバンバン強くなっていき、最終的には幼馴染すらも……。 たかしの成長(寄生)、からの幼馴染への下克上を楽しんで頂けたら幸いです。

天才ピアニストでヴァイオリニストの二刀流の俺が死んだと思ったら異世界に飛ばされたので,世界最高の音楽を異世界で奏でてみた結果

yuraaaaaaa
ファンタジー
 国際ショパンコンクール日本人初優勝。若手ピアニストの頂点に立った斎藤奏。世界中でリサイタルに呼ばれ,ワールドツアーの移動中の飛行機で突如事故に遭い墜落し死亡した。はずだった。目覚めるとそこは知らない場所で知らない土地だった。夢なのか? 現実なのか? 右手には相棒のヴァイオリンケースとヴァイオリンが……  知らない生物に追いかけられ見たこともない人に助けられた。命の恩人達に俺はお礼として音楽を奏でた。この世界では俺が奏でる楽器も音楽も知らないようだった。俺の音楽に引き寄せられ現れたのは伝説の生物黒竜。俺は突然黒竜と契約を交わす事に。黒竜と行動を共にし,街へと到着する。    街のとある酒場の端っこになんと,ピアノを見つける。聞くと伝説の冒険者が残した遺物だという。俺はピアノの存在を知らない世界でピアノを演奏をする。久々に弾いたピアノの音に俺は魂が震えた。異世界✖クラシック音楽という異色の冒険物語が今始まる。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 この作品は,小説家になろう,カクヨムにも掲載しています。

異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。 ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。 そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。 視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。 二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。 *カクヨムでも先行更新しております。

異世界転移「スキル無!」~授かったユニークスキルは「なし」ではなく触れたモノを「無」に帰す最強スキルだったようです~

夢・風魔
ファンタジー
林間学校の最中に召喚(誘拐?)された鈴村翔は「スキルが無い役立たずはいらない」と金髪縦ロール女に言われ、その場に取り残された。 しかしそのスキル鑑定は間違っていた。スキルが無いのではなく、転移特典で授かったのは『無』というスキルだったのだ。 とにかく生き残るために行動を起こした翔は、モンスターに襲われていた双子のエルフ姉妹を助ける。 エルフの里へと案内された翔は、林間学校で用意したキャンプ用品一式を使って彼らの食生活を改革することに。 スキル『無』で時々無双。双子の美少女エルフや木に宿る幼女精霊に囲まれ、翔の異世界生活冒険譚は始まった。 *小説家になろう・カクヨムでも投稿しております(完結済み

タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜

夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。 不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。 その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。 彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。 異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!? *小説家になろうでも公開しております。

外れスキル【転送】が最強だった件

名無し
ファンタジー
三十路になってようやくダンジョン入場試験に合格したケイス。 意気揚々と冒険者登録所に向かうが、そこで貰ったのは【転送】という外れスキル。 失意の中で故郷へ帰ろうとしていた彼のもとに、超有名ギルドのマスターが訪れる。 そこからケイスの人生は目覚ましく変わっていくのだった……。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

処理中です...