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28:ごぉぉぉぉっむ!
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女性陣が風呂を使っている間に、俺とロロで石集めをした。
それで分かったのは、俺が石に触れると『素材にしますか?』という選択肢が出ること。
『はい』を押せば石が消える。そして『素材不足です』というポップアップが浮かんだ。
ロロが拾って集めてくれた石にぽんぽんぽんっと触れ、どんどん素材にしていく。もちろん俺自身もその辺の石に触れつつだ。
気づけば勝手口の周辺の石はほとんどなくなり、土が見えるように。
「お、もう石集めはいいぞロロ」
「溜まったんですか?」
「みたいだ」
新しいポップアップには『ゴーレム製造中』と出ている。
しばらく待つと『ゴーレムが完成しました。雇用を開始しますか?』という文字に切り替わった。
「じゃあゴーレムを雇用するな」
「ドキドキしニャすね」
そうだな。ニャ語が思わず出てるロロほどじゃないけど、興奮はしている。
ミニゴーレムだから、体長は一メートルほどとある。でもゴーレムはゴーレムだ。
どんないかついのが出てくるかな?
雇用開始ボタンをタップすると、ステータスボードから石が一つずつ出てきた。
そして光を発しながらそれらが合体していく。
「おぉぉ!?」
「うわぁ!?」
全ての石がくっつくと、全体がまばゆい光を発して形が整っていく。
ついにその姿が!!
『ごぉぉぉぉっむ!』
っと、ムキムキマッチョマンポーズを決める、四頭身のデフォルメゴーレムが現れた。
「……ちっさ。え、一メートルってこんなもん?」
「ト、トートをあまり変わらないので、そのぐらいじゃないでしょうか?」
「お、そうだな。同じぐらいだよな」
「えぇ。だから一メートルには少し届かないかなぁと。でも、一メートルぐらいって説明なんでしょう?」
ぐらいというか、ほど──なんだけど、まぁ似たようなものか。
確かに一メートル未満だとしても、『ほど』と言ってもいい訳で。
ただ、ゴーレムというネーミングに反して、外見は凄くコミカル且つちまちましている。その癖声は野太いし。
そのゴーレムは俺の前に来て敬礼をする。
『ごぉむっ』
「ディオンさんが主人だって、分かってるみたいですね」
「みたいだな。じゃあさっそく何か命令す──」
「ディオン、お風呂あがったわ──ゴーレムが完成し……たのよね?」
髪が濡れたままのセリスが砦から出て来て、ゴーレムを見るなり首を傾げている。
まぁ気持ちは分からなくもない。
「セリス、湯冷めするぞ」
「え、えぇ……」
「ミニゴーレムだから、このぐらいのサイズなんだよ」
「そ、そうなの。思ったより小さくてビックリだけど、失敗じゃないのなら……」
『ごっ!?』
どうやら人の言葉はちゃんと理解しているようだ。小さいとか失敗とか言われて少し落ち込んでいる。
「ゴーレム、お前も中に入れ。みんなに紹介するから」
『ごれぇっむ!』
今更ながら、ミニゴーレムで良かったと思う。
普通のゴーレムなら砦の中に入れないサイズだっただろうしな。
「それがごーれむニャか?」
「わぁ、カッチカチだニャ~ん」
ちびたちがゴーレムにペタペタ触れても、ゴーレムはぴくりともしない。
じっとしているようにと俺が言ってから、ずっとこうだ。
知能は低いけど学習は可能。
さて、何をどうやって学習させればいいのかな。
「とりあえず、ディオンとロロはお風呂に入ったら? 温くなったらまた火を入れなきゃいけないし」
「おっと、そうだった。じゃあ入って来るよ。ロロ、行こう」
「あ、はい。ゴーレムはいいんですか?」
ゴーレムも風呂に入る?
いや、石だし、必要ないだろう。
「ゴーレム。俺は風呂に入るから、そこで待っててくれ」
『んご』
ゴーレムは敬礼してから、壁際に移動。顔の部分にある瞳のような赤い光がすぅーっと消えて、まるで眠ったようだった。
あれが待機モードなのかな?
風呂のお湯は少し温くなっていたけど、今から沸かし直すのも面倒だからこのままで。
「火を落とさず、ずっと沸かし続けていた方がいいんですかね?」
「それするとぼっこぼこの煮えたぎった風呂になると思うぞ」
「あ……そう、ですね」
今日は仕方ないとして、何か考えないとなぁ。これからもっと寒くなるんだし。
こう……直ぐに湯の温度を上げるには……。
「そうだ。石を使おう」
「石、ですか?」
「あぁ。井戸の水を汲んで沸かすとき、竈の中に石を何個か入れておくんだ」
熱せられた石を風呂に入れれば、お湯の温度を上げられる。熱くし過ぎないように気をつけなきゃいけないけど、その時には水を入れて調節すればいい。
「──いい考えだろ?」
「そうですね! 石なら何度だって使えるし、割れてしまっても外にいくらでもありますもんね」
「そうなんだよ! あ、石か……」
「どうしました、ディオンさん?」
ゴーレムを作るために石を集めまくって、勝手口の周辺だけは土が見えるようにまでなった。
おかげで歩きやすくなるだろう。
どうせなら井戸の周辺も──
よし、ゴーレムに初めての仕事をして貰おうかな。
それで分かったのは、俺が石に触れると『素材にしますか?』という選択肢が出ること。
『はい』を押せば石が消える。そして『素材不足です』というポップアップが浮かんだ。
ロロが拾って集めてくれた石にぽんぽんぽんっと触れ、どんどん素材にしていく。もちろん俺自身もその辺の石に触れつつだ。
気づけば勝手口の周辺の石はほとんどなくなり、土が見えるように。
「お、もう石集めはいいぞロロ」
「溜まったんですか?」
「みたいだ」
新しいポップアップには『ゴーレム製造中』と出ている。
しばらく待つと『ゴーレムが完成しました。雇用を開始しますか?』という文字に切り替わった。
「じゃあゴーレムを雇用するな」
「ドキドキしニャすね」
そうだな。ニャ語が思わず出てるロロほどじゃないけど、興奮はしている。
ミニゴーレムだから、体長は一メートルほどとある。でもゴーレムはゴーレムだ。
どんないかついのが出てくるかな?
雇用開始ボタンをタップすると、ステータスボードから石が一つずつ出てきた。
そして光を発しながらそれらが合体していく。
「おぉぉ!?」
「うわぁ!?」
全ての石がくっつくと、全体がまばゆい光を発して形が整っていく。
ついにその姿が!!
『ごぉぉぉぉっむ!』
っと、ムキムキマッチョマンポーズを決める、四頭身のデフォルメゴーレムが現れた。
「……ちっさ。え、一メートルってこんなもん?」
「ト、トートをあまり変わらないので、そのぐらいじゃないでしょうか?」
「お、そうだな。同じぐらいだよな」
「えぇ。だから一メートルには少し届かないかなぁと。でも、一メートルぐらいって説明なんでしょう?」
ぐらいというか、ほど──なんだけど、まぁ似たようなものか。
確かに一メートル未満だとしても、『ほど』と言ってもいい訳で。
ただ、ゴーレムというネーミングに反して、外見は凄くコミカル且つちまちましている。その癖声は野太いし。
そのゴーレムは俺の前に来て敬礼をする。
『ごぉむっ』
「ディオンさんが主人だって、分かってるみたいですね」
「みたいだな。じゃあさっそく何か命令す──」
「ディオン、お風呂あがったわ──ゴーレムが完成し……たのよね?」
髪が濡れたままのセリスが砦から出て来て、ゴーレムを見るなり首を傾げている。
まぁ気持ちは分からなくもない。
「セリス、湯冷めするぞ」
「え、えぇ……」
「ミニゴーレムだから、このぐらいのサイズなんだよ」
「そ、そうなの。思ったより小さくてビックリだけど、失敗じゃないのなら……」
『ごっ!?』
どうやら人の言葉はちゃんと理解しているようだ。小さいとか失敗とか言われて少し落ち込んでいる。
「ゴーレム、お前も中に入れ。みんなに紹介するから」
『ごれぇっむ!』
今更ながら、ミニゴーレムで良かったと思う。
普通のゴーレムなら砦の中に入れないサイズだっただろうしな。
「それがごーれむニャか?」
「わぁ、カッチカチだニャ~ん」
ちびたちがゴーレムにペタペタ触れても、ゴーレムはぴくりともしない。
じっとしているようにと俺が言ってから、ずっとこうだ。
知能は低いけど学習は可能。
さて、何をどうやって学習させればいいのかな。
「とりあえず、ディオンとロロはお風呂に入ったら? 温くなったらまた火を入れなきゃいけないし」
「おっと、そうだった。じゃあ入って来るよ。ロロ、行こう」
「あ、はい。ゴーレムはいいんですか?」
ゴーレムも風呂に入る?
いや、石だし、必要ないだろう。
「ゴーレム。俺は風呂に入るから、そこで待っててくれ」
『んご』
ゴーレムは敬礼してから、壁際に移動。顔の部分にある瞳のような赤い光がすぅーっと消えて、まるで眠ったようだった。
あれが待機モードなのかな?
風呂のお湯は少し温くなっていたけど、今から沸かし直すのも面倒だからこのままで。
「火を落とさず、ずっと沸かし続けていた方がいいんですかね?」
「それするとぼっこぼこの煮えたぎった風呂になると思うぞ」
「あ……そう、ですね」
今日は仕方ないとして、何か考えないとなぁ。これからもっと寒くなるんだし。
こう……直ぐに湯の温度を上げるには……。
「そうだ。石を使おう」
「石、ですか?」
「あぁ。井戸の水を汲んで沸かすとき、竈の中に石を何個か入れておくんだ」
熱せられた石を風呂に入れれば、お湯の温度を上げられる。熱くし過ぎないように気をつけなきゃいけないけど、その時には水を入れて調節すればいい。
「──いい考えだろ?」
「そうですね! 石なら何度だって使えるし、割れてしまっても外にいくらでもありますもんね」
「そうなんだよ! あ、石か……」
「どうしました、ディオンさん?」
ゴーレムを作るために石を集めまくって、勝手口の周辺だけは土が見えるようにまでなった。
おかげで歩きやすくなるだろう。
どうせなら井戸の周辺も──
よし、ゴーレムに初めての仕事をして貰おうかな。
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