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27:材料を・・・

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「ゴーレムって雇えるものなんですか?」
「それよりも、ディオンってここのご領主だったの!?」
「お母ニャん、ごりょーしゅってニャに?」
「ゴーレムってニャーに?」

 お湯を沸かす間にポイントの交換をするべきかどうか相談をしてみた。
 小さい子たちはゴーレムも領主も知らない。
 説明は……ネネさんに任せる!

「えぇと、ゴーレムが雇えるのかって話だけど、ジョブによる特殊ポイントと交換みたいなんだ。まぁ雇うと言っても、期間限定召喚みたいなものだろうさ」
「へぇ。やっぱり転生者の特典って凄いんですね」
「ううーん、これって転生者だけの特典なのかなぁ」

 領主は何も転生者専用ジョブじゃない。貴族のジョブだ。
 だから領主なら……でも、ステータスボードにポイントとか与えられる……のかな?
 ステータスボード自体は、この世界の住民にだって存在している。ただステータスポイントやスキルポイントがないだけだ。

 ってことは、領主ポイントもないのかな?

「で、次のセリスの質問だけど……ここに転移魔法で強制的に飛ばされた後、ここで生きていくことを決意した時にピコーンって鳴って、そしたら領主さ」
「ピコーン? え? そんなことで領主になれるものなの!?」
「ディオンさんって、もしかして貴族ってやつですか?」
「え、あ……うん。南の王国の貴族で、亡くなったじーちゃんが領主だったから、その跡を継ぐ……はずだったんだ」

 じーちゃんが亡くなる直前に、爵位を後継するための書類にいろいろサインをした。
 亡くなってからより亡くなる前の方が、いろいろとスムーズに進むからと。
 あれは嫌だったなぁ。
 まだ生きている人を目の前にして、その人が死んだらどうするかって内容なんだし。

「そういや……じーちゃんが亡くなった日に、追加書類があるからってウェルソンが書類の束を持って来たっけ」
「内容はよく読んだの?」
「う……」
「ご家族が亡くなって、ディオンさんが落ち込んでいるタイミングを狙ったんじゃないですか?」

 それは……十分過ぎるほどあり得る。
 執事が内容を確認したからって、よく見ずにサインしたけど……もし執事を懐柔していたら……。

「はぁ……くそぉ」
「まぁまぁ。落ち込まないでディオン。いいじゃない、あなたはここの領主なんですもの」
「そうです! ディオンさんがここに来たから、オレたちは生きているんですから」

 セリスにも似たようなことを言われたけど、そう言って貰えると騙された甲斐もある……のかな。

「それで、ポイントと何を交換したらいいのかって話よね」
「あ、そうそう。交換は、1000の次は2000なんだ。今は1800ちょっとあるから、2000まであと少しではあるけど──」

 2000ポイントで交換できるものは1つだけ。
 水資源──だ。
 その名の通り、水源を任意の場所に設置できるというもの。

 あるからいらない。
 
 ちょっと気になるのは、4000ポイント交換の所に「温水資源」ってのがあること。
 これがもし温泉だったら──欲しい!!
 けど火山がある訳でもないのに、ぽんっと出したり出来るのか?

「土壌改良にしても、ノームがいれば大丈夫そうだしなぁ」
「全面的に頼り続ける訳にはいかないわよ。ノームは土の力を最大限に引き出してくれるけど、引き出し続ければ土は枯れてしまうもの」
「え、そうなのか?」
「土は時々休ませてあげなきゃ。ただここの土地は長い間使われていなかったから、今はとても肥えている状態だけどね」

 だから数年は心配しなくていい、とセリスは言う。
 逆に言えば数年後は心配しなきゃってこと。まぁ普通に畑をやる分には心配なく、過剰な方策を願い続ければ枯れるってことのようだ。

「このままポイントを貯金するのもいいかなとも思うけど、魔除けやゴーレムが必要そうならそっちを取ってもいいんだけどさ」
「魔除けは……どうかしら。私がここに到着して、なんだかんだと一度も襲われたことがないし」
「だよねぇー。砦付近では全然姿見たいし」
『メェー』

 ゴンは俺たちについて来たんだから問題外だろ。
 土壌も雨ごいもとりあえず必要ない。俺のセカンドジョブは……まぁいつかってところだ。
 薬草も、今はいいや。考えるなら、雪が解けてからだな。

「ってことは、貯金はゴーレムってことね」
「雪が降るから、ゴーレムもいいとは思うのですが」
「雪が? どうしてそう思うんだい、ロロ」
「はい。雪かきです」

 なるほど!
 雪が降り出したからって、溶けるまでずっと砦の中に引き籠る訳にもいかない。
 まぁ井戸を建物内にも作ったし、引き籠りっぱなしも出来なくはないんだけどさ。

「それに、お風呂の水汲みもゴーレムに頼めれば……」
「そ・れ・だ!! ヨシッ、ゴーレムを雇うぞっ」
「急に元気になったわね、ディオン……」

 楽してお風呂が入れる!
 これに勝るものはない!!

 ──で、1000ポイントを消費してゴーレムを雇うことになったんだが……。

「ゴーレムの素材を選んでくださいって出てくるんだけど……選択肢が土と石しかないんだ」
「選ばなきゃいけないの!?」
「ゴーレムと言えば、石じゃないですか? なんかそんなイメージがオレにはありますが」
「ロロ、それはきっとお父さんが前に、お前に石のゴーレムの話をしたからでしょうね」
「じゃあ母さんはゴーレムって言ったら何さ」
「石」

 しばしの沈黙。

「やっぱりそうニャんか!」

 あ、ロロのニャ語が出た。

 まぁ石だよなぁ。
 選択肢の『石』をタップすると、今度は──

「石を集めてくださいって出てきた……」
「「えぇ!?」」

 まさかゴーレムって……自分で作らなきゃいけないのかよ!?
 
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