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「や、やっと終わった……」
木工スキルをマックス──には出来ず、レベル75で作業し続けて五日。
ようやく浴槽が完成した。
こういう時、地球の文明が懐かしく思うよ。
電動サンダーとかあれば、内側とか簡単に整えられたんだろうけどね。まぁ使ったことないけど。
地球での人生は十九年と短かった。大学に行く途中に交通事故で死んでいるからな。
だからまぁ、人生の経験値はそうたいしたものはない。
で、風呂に入っててすいばりが刺さっても嫌だから、斧で細かく、こまかぁーっく調整するのに丸二日も掛ったっていう。
しかも竈のサイズに合わせなくちゃいけないし。
浴槽の底は一部をくり抜き、竈の上にピッタリはめる。五右衛門風呂式にして、入る時にすのこを沈めて入って貰うように。
木造の浴槽と竈は、合体後に粘土を使って水漏れしないようにしっかり固めた。
「お疲れ様ディオン。井戸水もバッチリよ。あなたに切り出して貰った板で、水桶も作ったからこれで汲み上げればいいわ」
「いつの間に!?」
「ネネさんが作ってくれたの」
ほんと、猫人一家はなんでも出来るなぁ。
俺が浴槽造りで必死になっている間に、いつの間にか麻でロープなんかも作っている。
そのロープを桶に結び付けているけど……
「滑車があった方が楽だよなぁ」
「そうねぇ。でも難しいでしょ?」
……やってやろうじゃないか!
原理は分かってるんだ。漫画で読んだからね!
ロープを噛ませるための溝堀りが難しそうだけど、浴槽造りでだいぶん慣れた──と思う。
「まぁ気長に作ってみるよ。完成するまでは普通に使おう」
「そうね。ねっ、さっそくお風呂を沸かしましょうよ!」
「そうだね。それじゃあ水を汲み上げるか」
意気揚々と桶を投げ入れ水を汲み上げること八回──つ、疲れた……。
しかも浴槽に溜まった水の量は、全然足りない。
「か、滑車……やっぱり必要だ」
「みたい、ね……。代るわ」
「ごめん」
が、セリスも三回水汲みをしたところでため息を吐いた。
「結構辛いわね」
「だろ? でもあと少しだから、俺がやってしまうよ」
「ごめんなさい」
「セリスは薪の用意を頼む。あと火もね」
「持って来るわ」
サラマンダーのおかげで、火打石を使わなくて済むのは助かる。
とはいえ、蝋燭に火をつけるときは火打石の出番だ。サラマンダーでは火力が強くて蝋が溶けてしまうから。
さて、残りの水を汲んでしまおう。
それにしても、早く滑車を作らなきゃこりゃ大変だな。
そうだ! 荷物運びのスキルで楽にならないかな?
ステータスボードを開いて……そういやずっとステータスポイントも振ってなかったけど、どのくらい溜まって──ん?
領主レベルが上がってる!
あれ? いつの間に??
だってレベル……8に上がってる……。
ロロたちが領民になった時以来、ピコンって音は聞こえない。
だからてっきり、ここで暮らす人が増えたらレベルが上がるんだとばかり思ってた。
だから──
ステータスボード開いても、いつも気にしないでスキル一覧開いていたんだ。
*******************************************
ディオン・ルエンディタール 十五歳 人間
ジョブ:辺境砦の領主6→8(new)
【ユニークスキル】リカバリー
筋力:22 耐久力:16 敏捷:16
器用:18 魔力:11
ステータスポイント:6→8(new)
スキルポイント:360→380(new)
【習得スキル】
剣術:LV10 / 馬術:LV13
【獲得スキル】
テイミングスキル:LV1
【領民好感度】
90
【領民幸福度】
+120
【領主ポイント】
1860
[ポイント交換]
*******************************************
なんか……なんかいっぱい増えてないか!?
あ、そうか。領主ポイントは一週間に一度の付与がされたんだな。
にしても増えすぎだろ?
ジョブ自体をまだ鑑定していないし、ちょっと調べてみて……。
あぁ、なるほど。
領民が増えると+100ポイント貰えるのか。それプラスジョブレベルが上がっても+100される。
1860ポイントか……何か役立つものと交換できないかな。
1000ポイントで交換できるのは──セカンドジョブ。魔除け、薬草生成、ミニゴーレムの雇用。それに土壌改良と雨ごいの上位版か。
セカンドジョブは、領主の他にジョブを新しく覚えることができるというもの。
こんなもんも領主ポイント交換なのか……。
魔除けはモンスターを寄せ付けないという効果。薬草生成は領地内に、薬草が生えやすくするって効果だ。
ミニゴーレム雇用は、まぁそのまんまの意味。一年間、体長一メートルほどのゴーレムを召喚して働かせられる。
安全を考えると魔除けなんだろうけど、果たしてこの先の雪の季節にモンスターが動き回るだろうか?
薬草も、これから雪の時期になるってのに交換したって採取できるのはほんの少しの期間になってしまう。ポイントが勿体ない。
セカンドジョブはまぁ、俺個人の問題になってしまうし……。
ミニゴーレムかぁ。
力はあるが手先はあまり器用じゃないし、知能も低い。学習能力はあるって書いてあるが、最初は単純な作業を覚えさせた方がいいとも書いてあった。
井戸の水汲みはもってこいかもしれないが……。
みんなと相談しよう。
ってことで、今日のところは自力で水汲みだ。
木工スキルをマックス──には出来ず、レベル75で作業し続けて五日。
ようやく浴槽が完成した。
こういう時、地球の文明が懐かしく思うよ。
電動サンダーとかあれば、内側とか簡単に整えられたんだろうけどね。まぁ使ったことないけど。
地球での人生は十九年と短かった。大学に行く途中に交通事故で死んでいるからな。
だからまぁ、人生の経験値はそうたいしたものはない。
で、風呂に入っててすいばりが刺さっても嫌だから、斧で細かく、こまかぁーっく調整するのに丸二日も掛ったっていう。
しかも竈のサイズに合わせなくちゃいけないし。
浴槽の底は一部をくり抜き、竈の上にピッタリはめる。五右衛門風呂式にして、入る時にすのこを沈めて入って貰うように。
木造の浴槽と竈は、合体後に粘土を使って水漏れしないようにしっかり固めた。
「お疲れ様ディオン。井戸水もバッチリよ。あなたに切り出して貰った板で、水桶も作ったからこれで汲み上げればいいわ」
「いつの間に!?」
「ネネさんが作ってくれたの」
ほんと、猫人一家はなんでも出来るなぁ。
俺が浴槽造りで必死になっている間に、いつの間にか麻でロープなんかも作っている。
そのロープを桶に結び付けているけど……
「滑車があった方が楽だよなぁ」
「そうねぇ。でも難しいでしょ?」
……やってやろうじゃないか!
原理は分かってるんだ。漫画で読んだからね!
ロープを噛ませるための溝堀りが難しそうだけど、浴槽造りでだいぶん慣れた──と思う。
「まぁ気長に作ってみるよ。完成するまでは普通に使おう」
「そうね。ねっ、さっそくお風呂を沸かしましょうよ!」
「そうだね。それじゃあ水を汲み上げるか」
意気揚々と桶を投げ入れ水を汲み上げること八回──つ、疲れた……。
しかも浴槽に溜まった水の量は、全然足りない。
「か、滑車……やっぱり必要だ」
「みたい、ね……。代るわ」
「ごめん」
が、セリスも三回水汲みをしたところでため息を吐いた。
「結構辛いわね」
「だろ? でもあと少しだから、俺がやってしまうよ」
「ごめんなさい」
「セリスは薪の用意を頼む。あと火もね」
「持って来るわ」
サラマンダーのおかげで、火打石を使わなくて済むのは助かる。
とはいえ、蝋燭に火をつけるときは火打石の出番だ。サラマンダーでは火力が強くて蝋が溶けてしまうから。
さて、残りの水を汲んでしまおう。
それにしても、早く滑車を作らなきゃこりゃ大変だな。
そうだ! 荷物運びのスキルで楽にならないかな?
ステータスボードを開いて……そういやずっとステータスポイントも振ってなかったけど、どのくらい溜まって──ん?
領主レベルが上がってる!
あれ? いつの間に??
だってレベル……8に上がってる……。
ロロたちが領民になった時以来、ピコンって音は聞こえない。
だからてっきり、ここで暮らす人が増えたらレベルが上がるんだとばかり思ってた。
だから──
ステータスボード開いても、いつも気にしないでスキル一覧開いていたんだ。
*******************************************
ディオン・ルエンディタール 十五歳 人間
ジョブ:辺境砦の領主6→8(new)
【ユニークスキル】リカバリー
筋力:22 耐久力:16 敏捷:16
器用:18 魔力:11
ステータスポイント:6→8(new)
スキルポイント:360→380(new)
【習得スキル】
剣術:LV10 / 馬術:LV13
【獲得スキル】
テイミングスキル:LV1
【領民好感度】
90
【領民幸福度】
+120
【領主ポイント】
1860
[ポイント交換]
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なんか……なんかいっぱい増えてないか!?
あ、そうか。領主ポイントは一週間に一度の付与がされたんだな。
にしても増えすぎだろ?
ジョブ自体をまだ鑑定していないし、ちょっと調べてみて……。
あぁ、なるほど。
領民が増えると+100ポイント貰えるのか。それプラスジョブレベルが上がっても+100される。
1860ポイントか……何か役立つものと交換できないかな。
1000ポイントで交換できるのは──セカンドジョブ。魔除け、薬草生成、ミニゴーレムの雇用。それに土壌改良と雨ごいの上位版か。
セカンドジョブは、領主の他にジョブを新しく覚えることができるというもの。
こんなもんも領主ポイント交換なのか……。
魔除けはモンスターを寄せ付けないという効果。薬草生成は領地内に、薬草が生えやすくするって効果だ。
ミニゴーレム雇用は、まぁそのまんまの意味。一年間、体長一メートルほどのゴーレムを召喚して働かせられる。
安全を考えると魔除けなんだろうけど、果たしてこの先の雪の季節にモンスターが動き回るだろうか?
薬草も、これから雪の時期になるってのに交換したって採取できるのはほんの少しの期間になってしまう。ポイントが勿体ない。
セカンドジョブはまぁ、俺個人の問題になってしまうし……。
ミニゴーレムかぁ。
力はあるが手先はあまり器用じゃないし、知能も低い。学習能力はあるって書いてあるが、最初は単純な作業を覚えさせた方がいいとも書いてあった。
井戸の水汲みはもってこいかもしれないが……。
みんなと相談しよう。
ってことで、今日のところは自力で水汲みだ。
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