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「大きいお風呂がいいニャー」
「大きいとお水が温まるまで時間掛かるからダメよ」
「お風呂の下で火を焚くと、お風呂のお湯で火が消えニャいですか?」
「竈を少し高い位置に作って、水が流れ込まないようにすればいいんじゃないかしら」
夕食の時に、お風呂をどうするかで会話は盛り上がった。
まずは何もないあの部屋に井戸を掘ることだ。
半地下の畑を貫通するかもと思ったが、あの部屋の下はまだ畑ではなく土で埋まっているから大丈夫とのこと。
ノームを召喚したセリスが、地下の水脈を調べて貰ったがそれも問題なし。
ただ外の井戸よりもう少し深く掘れば、湧き出す水の量も増えるらし。
井戸を掘るのはノームの仕事。
更に粘度を探すのもノームの仕事。
「ノームにばかり働かせてしまうな」
「大丈夫よ。土に関係することなら、彼らは喜んで手伝ってくれるもの」
モルモットなのにな。
粘度があれば竈が造れる。
あとは浴槽だが──
「ディオン、森で大きな木を一本伐って欲しいの」
「くり抜いて浴槽にするってこと?」
「えぇ、それが一番いいと思うのだけど」
確かに。
大きさは俺が少し膝を折って入るぐらい。それでも小柄な猫人族なら、二、三人は入れる広さになるだろう。
そのぐらいの大きさなら、スキルレベルを上げればくり抜くことも出来るだろうし。
「え、煙突を忘れないようにしなきゃな。煙が風呂中に充満してしまうし」
「それなら井戸と竈をお風呂のすぐ外に造って、お湯を沸かす方がよくニャいですか?」
「雪が降るとお風呂の用意をするのに一苦労するね」
「あ……そうでしニャん」
煙の問題が解決できればいいので、煙突つけて窓から外に出るようにすれば問題ない。
明日は森に行って浴槽用の木を伐って来よう。森に行けばまた肉素材もゲットできるかもしれないし。
「え? ロロが一緒に!?」
「はいっ。俺、神眼でディオンさんのお役に立ちたいですっ」
「石鹸のほうは私とリリとで完成させておきますので」
「トートもお手伝いするニャ」
「ファンファもニャァ~」
たぶん、俺以外はみんな、石鹸を作ったことがあるんだろうなぁ。
「私はノームについてなきゃいけないし、今日は一緒に行けないの。でもディオンひとりで森に行かせるのは心配だし」
『ンメェェーッ』
自分もいるのに! とゴンが抗議の声を上げた。
「ごめんごめん。でもあなたが一緒なだけでも、やっぱり心配だもの。ロロならユニークスキルの他にも、猫人族としての間隔の鋭さもあるし。連れて行ってあげて」
「うぅん、まぁここまで無事にたどり着いたロロの能力だもんなぁ。分かったよ。でもモンスターが出た時のことを考えて、俺とゴンの傍を離れるんじゃないぞ」
「はい! ありがとうございます、ディオンさん!」
俺の十三歳の頃より、ロロはしっかり者だ。
神眼もあるし、大丈夫だろう。
念のため、何かあった時用にロロにも短剣を持たせた。
解体作業の時も思ったけど、使い慣れているように見える。
「ロロはモンスターと戦ったりとかは?」
「し、したことは、あります。でも大人たちも一緒だったので」
「そうか」
「それに俺、弓の方が得意で」
弓かぁ。弦に使える物があれば、作れなくもないんだろうけどなぁ。
材料って、なんだろう?
「ロロ。弓の弦に使う糸って、なにを使っているんだろう?」
「弦は麻の繊維から作る糸で出来ます。森に行けば見つかるかもしれません」
「そっか。じゃあそれも探そう。麻がどんなものか、見て分かるかい?」
「はい」
よし。俺の鑑定だとわざわざじぃーっと見て集中しなきゃならないからな。
今回は鑑定はなしで、スラッシュ、それに念のため感知をセットしている。
森へ到着したら伐採スキルをマックスに。
「うわぁぁ、大きな木をこんなにあっさり……」
「スキルレベルが99だからね」
「きゅっ、きゅうじゅうきゅう!? それカンストじゃないですかっ」
「伐採スキルは必要ポイントが少なかったんだ。鑑定とかならカンストなんてとても無理だよ」
さて……直径二メートルぐらいある巨木だけど、こんなに大きくてもアイテムボックスに──
あ、入るのね。しかもアイテム枠は1しか使わない。
この巨木なら新しい家具とか作るのにも利用できるな。
伐採したのは一本だけ。あとは麻と食料探しだ。
「森の奥にはないと思います。比較的日当たりの良い所に生息するんで」
「そっか。まぁ奥に行くのは流石に危険だからね、それならそれで助かるよ」
『ンッメェ。メメヘェー』
「ん? ゴンは麻に心当たりがあるのか?」
『メェ』
綿花の時もそうだし、ゴンは周辺のことをよく知っているようだ。
ゴンに着いて歩くと、森の出口の方へと向かっていた。だけど森からは出ず、そのまま西のほうへとてくてく。
「あっ。麻です!」
「本当か!? ゴン、お手柄だ!!」
『ンッメ』
ドヤァっとゴンがお尻をぷりぷり振る。
ロロと手分けして麻を収穫してアイテムボックスへ。
さぁ、帰ってさっそく丸太をくり抜かなきゃな。
「大きいとお水が温まるまで時間掛かるからダメよ」
「お風呂の下で火を焚くと、お風呂のお湯で火が消えニャいですか?」
「竈を少し高い位置に作って、水が流れ込まないようにすればいいんじゃないかしら」
夕食の時に、お風呂をどうするかで会話は盛り上がった。
まずは何もないあの部屋に井戸を掘ることだ。
半地下の畑を貫通するかもと思ったが、あの部屋の下はまだ畑ではなく土で埋まっているから大丈夫とのこと。
ノームを召喚したセリスが、地下の水脈を調べて貰ったがそれも問題なし。
ただ外の井戸よりもう少し深く掘れば、湧き出す水の量も増えるらし。
井戸を掘るのはノームの仕事。
更に粘度を探すのもノームの仕事。
「ノームにばかり働かせてしまうな」
「大丈夫よ。土に関係することなら、彼らは喜んで手伝ってくれるもの」
モルモットなのにな。
粘度があれば竈が造れる。
あとは浴槽だが──
「ディオン、森で大きな木を一本伐って欲しいの」
「くり抜いて浴槽にするってこと?」
「えぇ、それが一番いいと思うのだけど」
確かに。
大きさは俺が少し膝を折って入るぐらい。それでも小柄な猫人族なら、二、三人は入れる広さになるだろう。
そのぐらいの大きさなら、スキルレベルを上げればくり抜くことも出来るだろうし。
「え、煙突を忘れないようにしなきゃな。煙が風呂中に充満してしまうし」
「それなら井戸と竈をお風呂のすぐ外に造って、お湯を沸かす方がよくニャいですか?」
「雪が降るとお風呂の用意をするのに一苦労するね」
「あ……そうでしニャん」
煙の問題が解決できればいいので、煙突つけて窓から外に出るようにすれば問題ない。
明日は森に行って浴槽用の木を伐って来よう。森に行けばまた肉素材もゲットできるかもしれないし。
「え? ロロが一緒に!?」
「はいっ。俺、神眼でディオンさんのお役に立ちたいですっ」
「石鹸のほうは私とリリとで完成させておきますので」
「トートもお手伝いするニャ」
「ファンファもニャァ~」
たぶん、俺以外はみんな、石鹸を作ったことがあるんだろうなぁ。
「私はノームについてなきゃいけないし、今日は一緒に行けないの。でもディオンひとりで森に行かせるのは心配だし」
『ンメェェーッ』
自分もいるのに! とゴンが抗議の声を上げた。
「ごめんごめん。でもあなたが一緒なだけでも、やっぱり心配だもの。ロロならユニークスキルの他にも、猫人族としての間隔の鋭さもあるし。連れて行ってあげて」
「うぅん、まぁここまで無事にたどり着いたロロの能力だもんなぁ。分かったよ。でもモンスターが出た時のことを考えて、俺とゴンの傍を離れるんじゃないぞ」
「はい! ありがとうございます、ディオンさん!」
俺の十三歳の頃より、ロロはしっかり者だ。
神眼もあるし、大丈夫だろう。
念のため、何かあった時用にロロにも短剣を持たせた。
解体作業の時も思ったけど、使い慣れているように見える。
「ロロはモンスターと戦ったりとかは?」
「し、したことは、あります。でも大人たちも一緒だったので」
「そうか」
「それに俺、弓の方が得意で」
弓かぁ。弦に使える物があれば、作れなくもないんだろうけどなぁ。
材料って、なんだろう?
「ロロ。弓の弦に使う糸って、なにを使っているんだろう?」
「弦は麻の繊維から作る糸で出来ます。森に行けば見つかるかもしれません」
「そっか。じゃあそれも探そう。麻がどんなものか、見て分かるかい?」
「はい」
よし。俺の鑑定だとわざわざじぃーっと見て集中しなきゃならないからな。
今回は鑑定はなしで、スラッシュ、それに念のため感知をセットしている。
森へ到着したら伐採スキルをマックスに。
「うわぁぁ、大きな木をこんなにあっさり……」
「スキルレベルが99だからね」
「きゅっ、きゅうじゅうきゅう!? それカンストじゃないですかっ」
「伐採スキルは必要ポイントが少なかったんだ。鑑定とかならカンストなんてとても無理だよ」
さて……直径二メートルぐらいある巨木だけど、こんなに大きくてもアイテムボックスに──
あ、入るのね。しかもアイテム枠は1しか使わない。
この巨木なら新しい家具とか作るのにも利用できるな。
伐採したのは一本だけ。あとは麻と食料探しだ。
「森の奥にはないと思います。比較的日当たりの良い所に生息するんで」
「そっか。まぁ奥に行くのは流石に危険だからね、それならそれで助かるよ」
『ンッメェ。メメヘェー』
「ん? ゴンは麻に心当たりがあるのか?」
『メェ』
綿花の時もそうだし、ゴンは周辺のことをよく知っているようだ。
ゴンに着いて歩くと、森の出口の方へと向かっていた。だけど森からは出ず、そのまま西のほうへとてくてく。
「あっ。麻です!」
「本当か!? ゴン、お手柄だ!!」
『ンッメ』
ドヤァっとゴンがお尻をぷりぷり振る。
ロロと手分けして麻を収穫してアイテムボックスへ。
さぁ、帰ってさっそく丸太をくり抜かなきゃな。
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