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28話
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大森林、エルフの里へ戻って来たのは、田淵たちと再会して二カ月を過ぎたころだった。
途中で四人のクラスメイトと合流し、残りは──
「合流できなかったのは六人だな」
「まぁあの祭壇みたいな岩山のことは、冒険者ギルドとかで聞くと情報が買えたし」
「なんとかここまで来れるといいんだけど」
「ドワーフやエルフにも事情を話しておいたし、それっぽい人間を見つけたらここに案内してくれるさ」
長老たちの好意で、クラスメイトも里で暮らすことを許された。
日本に帰る手段を探す為の岩山調査も出来るよう、里から祭壇までの中間地点、それから岩山に拠点を建てた。
何度か残りのクラスメイトの捜索にも出たが、六人と合流することは叶わず……
それから三カ月経った頃。
「大変よカケル!」
「大変なのです」
「どうしたんだ、ネフィ、ルナ」
慌てた様子の二人が駆けて来て、息を切らせながら口を開いた。
「今、ドワーフがやって来て……森の西側に……」
「ヒューマンさんが、たっっっくさん……集まってるって教えてくれたです」
「たくさん?」
人間がたくさん集まってる?
ルナの言葉にネフィが「軍隊よ!」と補足する。
へぇ、軍隊か。
「軍隊!?」
な、なんで軍隊が?
すぐに長老たちの小屋へと向かうと、木の上ではなく下に集まっていた。
ドワーフも一緒だ。
「来たな、カケル殿」
「長老。軍隊っていうのは?」
「うむ。ブレアゾン王国だ」
「召喚勇者らを捕らえにきたのだろう」
意地でも逃がさないっていうのか。
だけど軍隊を引き連れて来たってことは……大森林に対して戦争を仕掛けようって言うのか?
それだけはダメだ。
すぐにクラスメイトらの所に戻ってそのことを報告。
「マジで戦争をする気なのかよ」
「ど、どうするの? ここの人たちに迷惑かけちゃうんじゃ」
「迷惑どころじゃないよな……俺たちのせいで死人が出るかもしれないんだ」
暫く考えた後、田淵たちが出した答えは、
「戻ろう。お世話になってるのに、恩を仇で返したくはない」
というものだった。
もちろん全員が賛成した訳じゃない。
「でも戻ったら私たち、人殺しの道具にされちゃうんだよ!」
「そ、そうだ。それに俺たちが戻ったからって、大人しく引き下がるか?」
自分が召喚した勇者の数が多いってだけでドヤ顔するような王女だ。
それも、質を問われてキレで戦争の準備するような。
田淵たちが戻ったからって、大人しく帰るとは思えない。
なら……
「ブレアゾン王国が戦争を仕掛けてくるっていうなら、受けて立つってのはどうだ?」
俺が田淵たしにそう呼びかけた。
森を西に抜けると、その先は小高い丘になっていた。
軍隊はその丘に陣を構えていたが、乗り込んでくる様子はない。
「森には結界が張られておる。そう簡単には侵入できんよ」
「すみません、長老。ご迷惑をおかけして」
「いやなに。あの王女にはちとお灸を据えねばと思っていたところさ」
そういって長老が呪文を唱える。
もこもこと地面が盛り上がり、土が泥へ、泥が人の形へと変わっていく。
出来上がったのは田淵たち八人にそっくりなゴーレムだ。
「見た目はそっくりだが、話すことは出来ぬ。ここから風の精霊の力で、君たちの声を飛ばす」
「分かりました」
ゴーレムを先行させ、まずは王女と話し合いをすることに。
そして女王の本音を聞きだす。その結果次第で、田淵たちの今後、および女王の今後は決まるということだ。
ゴーレムが長老の命令に従って森を出て行く。暫く歩くと、王国軍が気づいたようだ。
お互いの声が届くぐらいの距離まで来ると──
『そこで止まれっ』
と風にのって声が届いた。
向こうの声はネフィが召喚している風の精霊が運んで来てくれる。
あちらは聞かれていることも知らず、小声でひそひそ話もしていた。
『ふん、素直に出て来たわね。まったく、わたくしの下を抜け出すなんて、困った勇者ですわ』
『エルフとドワーフの姿は見えないようですね』
『わたくしに恐れをなしているのでしょう。うふふ、彼らもすこーしお仕置きをしてあげなきゃ』
『エルフたちにも、ですか?』
『もちろんですわ。森を半分、焼き払っておしまい』
なんかお仕置きとかいってら。
田淵たちを顔を見合わせ、全員でやれやれという顔になる。
で、ゴーレムつてにクラスメイトの言葉を飛ばした。
「王女よ! 俺たちは城に戻りますっ。だからどうか、この森には手を出さないでいただきたい」
「私たち、戦争なんてしたくありませんっ。隣国とは仲良くしましょう?」
その問いに王女は
「分かったわ。あなたたちが大人しくこちらへ来るなら、約束しましょう」
と言った。
そして、
『ふふん。勇者を拘束したら、焼き払いなさい』
そう小声で言った。
途中で四人のクラスメイトと合流し、残りは──
「合流できなかったのは六人だな」
「まぁあの祭壇みたいな岩山のことは、冒険者ギルドとかで聞くと情報が買えたし」
「なんとかここまで来れるといいんだけど」
「ドワーフやエルフにも事情を話しておいたし、それっぽい人間を見つけたらここに案内してくれるさ」
長老たちの好意で、クラスメイトも里で暮らすことを許された。
日本に帰る手段を探す為の岩山調査も出来るよう、里から祭壇までの中間地点、それから岩山に拠点を建てた。
何度か残りのクラスメイトの捜索にも出たが、六人と合流することは叶わず……
それから三カ月経った頃。
「大変よカケル!」
「大変なのです」
「どうしたんだ、ネフィ、ルナ」
慌てた様子の二人が駆けて来て、息を切らせながら口を開いた。
「今、ドワーフがやって来て……森の西側に……」
「ヒューマンさんが、たっっっくさん……集まってるって教えてくれたです」
「たくさん?」
人間がたくさん集まってる?
ルナの言葉にネフィが「軍隊よ!」と補足する。
へぇ、軍隊か。
「軍隊!?」
な、なんで軍隊が?
すぐに長老たちの小屋へと向かうと、木の上ではなく下に集まっていた。
ドワーフも一緒だ。
「来たな、カケル殿」
「長老。軍隊っていうのは?」
「うむ。ブレアゾン王国だ」
「召喚勇者らを捕らえにきたのだろう」
意地でも逃がさないっていうのか。
だけど軍隊を引き連れて来たってことは……大森林に対して戦争を仕掛けようって言うのか?
それだけはダメだ。
すぐにクラスメイトらの所に戻ってそのことを報告。
「マジで戦争をする気なのかよ」
「ど、どうするの? ここの人たちに迷惑かけちゃうんじゃ」
「迷惑どころじゃないよな……俺たちのせいで死人が出るかもしれないんだ」
暫く考えた後、田淵たちが出した答えは、
「戻ろう。お世話になってるのに、恩を仇で返したくはない」
というものだった。
もちろん全員が賛成した訳じゃない。
「でも戻ったら私たち、人殺しの道具にされちゃうんだよ!」
「そ、そうだ。それに俺たちが戻ったからって、大人しく引き下がるか?」
自分が召喚した勇者の数が多いってだけでドヤ顔するような王女だ。
それも、質を問われてキレで戦争の準備するような。
田淵たちが戻ったからって、大人しく帰るとは思えない。
なら……
「ブレアゾン王国が戦争を仕掛けてくるっていうなら、受けて立つってのはどうだ?」
俺が田淵たしにそう呼びかけた。
森を西に抜けると、その先は小高い丘になっていた。
軍隊はその丘に陣を構えていたが、乗り込んでくる様子はない。
「森には結界が張られておる。そう簡単には侵入できんよ」
「すみません、長老。ご迷惑をおかけして」
「いやなに。あの王女にはちとお灸を据えねばと思っていたところさ」
そういって長老が呪文を唱える。
もこもこと地面が盛り上がり、土が泥へ、泥が人の形へと変わっていく。
出来上がったのは田淵たち八人にそっくりなゴーレムだ。
「見た目はそっくりだが、話すことは出来ぬ。ここから風の精霊の力で、君たちの声を飛ばす」
「分かりました」
ゴーレムを先行させ、まずは王女と話し合いをすることに。
そして女王の本音を聞きだす。その結果次第で、田淵たちの今後、および女王の今後は決まるということだ。
ゴーレムが長老の命令に従って森を出て行く。暫く歩くと、王国軍が気づいたようだ。
お互いの声が届くぐらいの距離まで来ると──
『そこで止まれっ』
と風にのって声が届いた。
向こうの声はネフィが召喚している風の精霊が運んで来てくれる。
あちらは聞かれていることも知らず、小声でひそひそ話もしていた。
『ふん、素直に出て来たわね。まったく、わたくしの下を抜け出すなんて、困った勇者ですわ』
『エルフとドワーフの姿は見えないようですね』
『わたくしに恐れをなしているのでしょう。うふふ、彼らもすこーしお仕置きをしてあげなきゃ』
『エルフたちにも、ですか?』
『もちろんですわ。森を半分、焼き払っておしまい』
なんかお仕置きとかいってら。
田淵たちを顔を見合わせ、全員でやれやれという顔になる。
で、ゴーレムつてにクラスメイトの言葉を飛ばした。
「王女よ! 俺たちは城に戻りますっ。だからどうか、この森には手を出さないでいただきたい」
「私たち、戦争なんてしたくありませんっ。隣国とは仲良くしましょう?」
その問いに王女は
「分かったわ。あなたたちが大人しくこちらへ来るなら、約束しましょう」
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そう小声で言った。
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