異世界キャンパー~無敵テントで気ままなキャンプ飯スローライフ?

夢・風魔

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28:おいしく焼け●したー

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「雪は積もってないけど、やっぱり標高が高くなると冷えるな」
「太陽が出てるのに寒いなんて、こんなの初めてだわ」

 砂漠じゃなければ、冬になればどこでもそうだ。
 だけど砂漠しか知らないアイラには、不思議な感じなんだろうな。
 寒いのに楽しそうだ。

「キャンプ場《ば》が見えて来たぞ」
「ふぅ~、やっと温もれる」

 山道自体は嫌になるほど足場が悪く、腰を下ろせる場所すらロクにない。
 けど、要所要所にテントが張れるほどの整地されている場所があった。
 長年かけて作られた場所なんだろう。

 俺がテントを張る間に、アイラが焚火の用意をした。更にその間に銀次郎がカートを漁る。

「ん? この小さいポーチはなんだ?」
「何かあったか、銀次郎──おっ、入ってたのか!?」

 銀次郎が黒く四角いポーチを抱え、パタパタと飛んでいた。
 タレ、ドレッシング用の調味料ポーチだ!

「てっきり車の中に置いて来たもんだと思ってたのに」
「くるま?」
「あぁ、乗り物だ。はぁ、いい物見つけたなぁ銀次郎」

 塩胡椒、砂糖、オリーブオイル、コンソメは別のポーチに入っている。
 液体調味料ポーチは、黒くて比較的小さい。
 この世界に来て最初に飯にしようと探した時、毛布やシュラフの隙間にでも入っていたのかもしれないな。
 ステーキタレは前回のキャンプで切らして、食材と一緒にキャンプ当日にスーパーで買って来た。
 それは忘れないようカートに入れなきゃと思っていたから、黒いポーチは置いてきてしまった──と、勝手に思い込んだんだろうなぁ。

「見てください。美味しそうな鶏を見つけてきましたわっ」
「鶏?」

 いつの間に狩りしたんだ、クロエは。
 鶏《にわとり》ではなく、なんだろうこいつ……でっかいウズラ?
 翼は申し訳程度しかない、どうみても飛べそうにない。

 か、鑑定して見るか。



【クック】
 小型のモンスターで、山岳地帯に生息する。飛べない。
 その瞳には石化の魔力が宿る。──が、三分ほどで石化は解ける。
 肉は美味。



 肉は──美味。
 美味=美味しい。
 美味しい=正義!!





 ちゃっちゃら~ちゃらら、ちゃっちゃら~ちゃらら、ちゃららっちゃららっちゃららっちゃららら、ちゃっちゃらちゃっちゃっちゃ♪

「うまく焼けたぜ!」
「「ごくりっ」」

 ふっふっふ。
 狩りゲーの肉焼きを思い出してやってみたんだけど、結構上手くいった。

 銀次郎が見つけた調味料ポーチには、照り焼きソースが入っている。
 他に焼き肉のタレ、梅肉、胡麻ドレッシング。そして白湯スープのポーションだ。
 タレ、ソース、ドレッシングは、使い切りの量しかない。
 照り焼きソースをクッカーに入れ、カートに乗せたままのポーチに戻してチャックを閉める。
 チャックを開けば補充されているソースをまたクッカーに入れる。
 何度も繰り返して、クック鶏に塗ったくって焼いた肉だ。

「周りから削ぎ落してっと……うーん、いつものホットサンドよりは──」

 ホットサンドメーカーを開き、上蓋下蓋それぞれに食パンを一枚ずつ置いて、そのまま焼く。
 焼き色を付けるのは片面だけだ。
 
 焼き色が付いたらひっくり返して、カリっと焼けた方に削いだクック肉と千切りした玉葱、それからチーズを乗せてまた焼く。
 チーズが程よくとろ~っとして来たら完成だ。

 クック肉を焼く傍でスープも作った。
 鍋にクック肉の手羽先を骨ごとブチ込み、人参とキャベツ、あとブロッコリーを入れた白湯スープ。

「くはぁーっ。肉がほろほろでうめぇー」
「出汁が凄く出てるわね。テントの中は寒い訳じゃないけど、凄く温まるぅ」
「このパンに挟んだ鶏肉にかかっているタレはなんですの? 濃厚でとても美味しいですわぁ」
「美味い! 美味い!」

 鶏のクセに、肉の味が濃厚だ。牛肉に似てるかも?
 だけど白湯スープの方は、まさに鶏肉。焼く、煮るで味が変わるのか。

 石化は怖いけど、三分で解除されるとあった。
 道中で見つけたら、狩っておこう。
 唐揚げとかにしたら、どんな味かなぁ。

 くぅー、涎が出るぜ。

 残ったクックの丸焼きは、翌朝の朝食に。
 ホットサンドメーカーにやや厚めにスライスしたクック肉を乗せ、その上に焼きおにぎりを。更にクック肉を乗せてプレーッス!

「焼きおにぎりのクックサンド!」
「マ、マヨネーズを消耗する!!」
「わたくしもマヨネーズを所望いたしますわっ」

 この世界のドラゴンは、マヨラーなのか?

 まぁ俺もマヨネーズかけるけどね!
 
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