異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔

文字の大きさ
上 下
75 / 110

40-2

しおりを挟む
 今回の依頼をさっさと終わらせて町へと帰還。
 ずっと地上での依頼ばかりしていたのもあって、手持ちの魔石が底をついて来たな。

「セシリア、暫くはダンジョンで魔石拾いをしよう。どうせこの先は雪が降る季節だしな、外回りは辛くなる」
「強奪どうするの?」
「そうなんだよなぁ。一日一回、お使いクエストでもなんでもいいから、受けられるといいんだが」

 依頼を受けた店に素材を卸し、冒険者ギルドに寄ってどんな依頼があるか確認してみた。
 ダンジョンで狩りが出来、尚且つ地上にも出られる依頼……探せば意外と見つかるもんだ。

 内容は変わらず素材集めだが、ギルドに届けるもよし、直接持ち込むのもよし。そんな依頼がいくつかある。

「解熱剤か。これからの季節、風邪ひくやつが出てくるからだろうな」
「魔石も拾えるし、いいと思う」
「稼ぎとしては少ないが、地上にも出れるからいいかもな」

 ある程度の数が欲しいようだから、何日かに分けて届ければそれだけ上にも出られる。
 まぁ依頼主にとっちゃ、まとめて寄こせと思われるだろうけどな。

 依頼の張り紙を持ってカウンターへ行き、今日までの報告と新しい依頼の受諾を同時にやる。
 それから地下街に下りてライガルさんへ無事の報告と、ガキどもにお土産を届けて──

「お前たちか。外で素材狩りをして町の職人たちに売りさばいているのは」

 ギルドを出る前に突然呼び止められた。
 その声が高圧的で癪に障る。

「依頼を受けてやっているだけだ。それがどうしたってんだ」
「困るのだよ、そんなことをされては。一部の職人にだけ素材がいきわたれば、他の職人から不満の声が上がることを知らないのか?」
「だからここ最近は、ダンジョン産じゃなく地上産の素材収集依頼が増えてんじゃねえか。おかげでこっちは忙しい身だけどな」

 あれから一年が経とうってのに、未だに狩場の独占をしているクランがある。
 というか噂じゃ地下十五階より下は、大手クラン三つが競うようにして独占していて、他の中小クランや未所属パーティーなんかはまともに狩りが出来ない状態らしい。
 そのせいか最近は俺のように地上で素材狩りをするパーティーが何組かいると、ギルドの職員から聞いた。
 今後もそういったパーティーが増えるなら、素材の相場も下がって来るだろうとも言っていた。

「ちっ。それが困るつってんだよ」

 あぁなるほど。
 こいつは狩場を独占しているクランのやつだろう。
 相場を吊り上げてから一気に売り出す予定が、俺のせいで上がるどころか下がる兆しが出て来た。
 だから俺が邪魔なんだろう。

「まぁ待てゴルトア。君たち、随分と素材で儲けているようだね。どこで狩りをしているんだい? よかったら狩場情報を買い取らせてくれないだろうか?」
「さっさと下に戻るぞ。こんな奴らに構ってる時間が勿体ない」

 セシリアの肩を寄せ、男らを無視して歩き出す。

「下? そうか地下街出身か。それで地上狩りばかりしているのだな。はは、分かった分かった。じゃあこうしよう」

 男は俺たちの前に躍り出ると、その進路を塞いだ。
 それから憐みのような視線で俺を見下ろすと、ニタりと笑う。

「我々のクランに入れてやろう。そうすれば地上での居住権も手に入る。もちろんタダでだ」
「今夜の晩飯は何にするかなぁ」
「おい、クランに入れてやると言っているんだぞ。Aランクのクランにだぞ!?」
「AだろうとSだろうと興味ない。それに居住権なんてすぐにでも買えるから、てめーらの恩着せがましい善意なんて必要ねえから」

 最初の予定だと、ギルドの貢献度を上げて居住権をタダ買いするつもりだったが、その前に金のほうが貯まる。
 貢献度もちょいちょい貯まってはいるが、居住権を貰えるのに必要なポイントの半分ほどしかない。
 
「という訳なんで、じゃあな」

 ギルド内にある階段で地下へと下りて建物を出る。
 奴ら、諦めてないみたいだな。距離は取っているようだが、尾行しているのは気配でバレバレだ。

「セシリア、そこの路地に入るぞ」
「うん。でもどうするの?」
「さぁて、どうするかは向こうの出方次第だな」
 
 二人で路地を曲がって人気のない所まで入った時だ──

「いい気になりやがって!」

 そんな声と共に、奴らが拳を振りかざして飛び掛かって来た。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

生活魔法は万能です

浜柔
ファンタジー
 生活魔法は万能だ。何でもできる。だけど何にもできない。  それは何も特別なものではないから。人が歩いたり走ったりしても誰も不思議に思わないだろう。そんな魔法。  ――そしてそんな魔法が人より少し上手く使えるだけのぼくは今日、旅に出る。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

処理中です...