異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!

夢・風魔

文字の大きさ
上 下
34 / 110

17-2

しおりを挟む
「モンハウの報告はギルドにしておくよ。君ら名前は? ギルドにモンハウ討伐の功労者だって伝えておくからさ」
「……いや、俺たちは冒険者登録してねえから……」
「は? 冒険者じゃないのかお前。でも──」
「リック」

 熱血漢なパーティーリーダーってところか。それを魔術師の男が止める。
 俺が地下街の住人だって気づいたんだろう。

「冒険者でなくても、モンハウ討伐に貢献すればそれなしの報酬が貰えるはずだ。だから名前と、どこか連絡の取れる場所があれば上に伝えておく」
「そんなの出るのか」

 魔術師が言うには、冒険者であれば貢献値が結構貰えるとのこと。
 勿体ないことをした……。
 それから規模に応じてお金の報酬も出るそうだ。
 あと──

「モンハウ討伐者としてちょっとした有名人になれる」

 ──と。

 うぅん、それはノーサンキューかな。
 とにかくくれるものがあるなら貰うさ。

 名前と、それから地下三階の教会のことを話すと、このパーティーも生臭坊主に世話になったことがあると言っていた。

「じゃあギルドにはそう伝えておくよ」
「これ──少ないけど助けてくれたお礼よ」
「俺たちもやっと駆け出しを卒業したところで、あんまりいいものを渡せないのが情けないところなんだけどさ」

 そう言って彼らは数本のポーション瓶と、じゃらりと音のする巾着袋をくれた。
 中身は魔石だろう。

「ありがとう。正直助かるよ。今の俺にはお金が必要だからさ」
「そうか! 役に立ててくれるのなら、助けて貰った甲斐もあるってもんだ」
「いやいやリック、それなんかおかしいぞ」
「ほんと、ありがとね」

 彼らは階段を下りて魔法陣へと乗った。
 最後にもう一度振り返って手を振るので、俺もセシリアも手を振り返して──そして四人は転移装置を発動させた。

 なんだか良い冒険者だったな。助けられてよかった。

「いば、よあった?」
「ん? そうだな。良かったと思ってる。人助けが出来て、お礼も貰えて。ギルドから報酬う、貰えるのかよほんとに」

 でも今はこの巾着袋の中身だ。結構魔石が入ってるだろ?
 口の紐を解いて中身を見ると、魔石とはちょっと違う石が見えた。

 ……これ……。

「宝石か!?」
「わぁ、きえい。あ、こえこえっ」

 俺が掌にだした石の一つを摘まみ上げ、セシリアがにこにこ顔で俺を見た。

「まおうしぇき」
「……魔王チェキ?」
「うぇ?」

 いや、首傾げられても困るんだけど。

「まぁこんな所でがちゃがちゃ広げねえで、上に戻って教会で神父に自慢しながらゆっくり見るか」
「うんっ、はい!」

 立ち上がって階段を下り、魔法陣を──

「はぁ、なんだよこりゃ。俺様のモンハウが潰れてんじゃねーか!」

 そんな声がして視線を左に向けると、大量のモンスターを背後に抱えて走って来る男が──いた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

霜月雹花
ファンタジー
 15歳を迎えた者は神よりスキルを授かる。  どんなスキルを得られたのか神殿で確認した少年、アルフレッドは【経験値固定】という訳の分からないスキルだけを授かり、無能として扱われた。  そして一年後、一つ下の妹が才能がある者だと分かるとアルフレッドは家から追放処分となった。  しかし、一年という歳月があったおかげで覚悟が決まっていたアルフレッドは動揺する事なく、今後の生活基盤として冒険者になろうと考えていた。 「スキルが一つですか? それも攻撃系でも魔法系のスキルでもないスキル……すみませんが、それでは冒険者として務まらないと思うので登録は出来ません」  だがそこで待っていたのは、無能なアルフレッドは冒険者にすらなれないという現実だった。  受付との会話を聞いていた冒険者達から逃げるようにギルドを出ていき、これからどうしようと悩んでいると目の前で苦しんでいる老人が目に入った。  アルフレッドとその老人、この出会いにより無能な少年として終わるはずだったアルフレッドの人生は大きく変わる事となった。 2024/10/05 HOT男性向けランキング一位。

俺の畑は魔境じゃありませんので~Fランクスキル「手加減」を使ったら最強二人が押しかけてきた~

うみ
ファンタジー
「俺は畑を耕したいだけなんだ!」  冒険者稼業でお金をためて、いざ憧れの一軒家で畑を耕そうとしたらとんでもないことになった。  あれやこれやあって、最強の二人が俺の家に住み着くことになってしまったんだよ。  見た目こそ愛らしい少女と凛とした女の子なんだけど……人って強けりゃいいってもんじゃないんだ。    雑草を抜くのを手伝うといった魔族の少女は、 「いくよー。開け地獄の門。アルティメット・フレア」  と土地ごと灼熱の大地に変えようとしやがる。  一方で、女騎士も似たようなもんだ。 「オーバードライブマジック。全ての闇よ滅せ。ホーリースラッシュ」  こっちはこっちで何もかもを消滅させ更地に変えようとするし!    使えないと思っていたFランクスキル「手加減」で彼女達の力を相殺できるからいいものの……一歩間違えれば俺の農地(予定)は人外魔境になってしまう。  もう一度言う、俺は最強やら名誉なんかには一切興味がない。    ただ、畑を耕し、収穫したいだけなんだ!

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

元公務員が異世界転生して辺境の勇者になったけど魔獣が13倍出現するブラック地区だから共生を目指すことにした

まどぎわ
ファンタジー
激務で倒れ、そのまま死んだ役所職員。 生まれ変わった世界は、魔獣に怯える国民を守るために勇者が活躍するファンタジーの世界だった。 前世の記憶を有したままチート状態で勇者になったが、担当する街は魔獣の出現が他よりも遥かに多いブラック地区。これは出現する魔獣が悪いのか、通報してくる街の住人が悪いのか……穏やかに寿命を真っ当するため、仕事はそんなに頑張らない。勇者は今日も、魔獣と、市民と、共生を目指す。

貴族に転生してユニークスキル【迷宮】を獲得した俺は、次の人生こそ誰よりも幸せになることを目指す

名無し
ファンタジー
両親に愛されなかったことの不満を抱えながら交通事故で亡くなった主人公。気が付いたとき、彼は貴族の長男ルーフ・ベルシュタインとして転生しており、家族から愛されて育っていた。ルーフはこの幸せを手放したくなくて、前世で両親を憎んで自堕落な生き方をしてきたことを悔い改め、この異世界では後悔しないように高みを目指して生きようと誓うのだった。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。 そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。 その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する! 底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる! 第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。

処理中です...