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【クリスタルイーター】
「そんな名前のモンスターだったのか。セシリアも見たことあるのか?」
新月の夜に、地下十一階に下りたことをセシリアに話した。
するとあの動かない魔石モドキのモンスター名を教えてくれた。
俺の問いに首を縦に振ったが、彼女は【ダンジョンじゃないところで】と文字を書く。
「地上にもいるのか」
【ダンジョンのモンスターは、全部地上のモンスターを真似て創られたの】
そう文字を書いてからドヤ顔をして、それから【知らなかったの?】と。
「知ってる知ってる。忘れてただけですからぁー」
「ぐふぅ」
ニヤりと笑うセシリア。
こいつ、マウントを取ろうとしてんのか。
「てや!」
「いぃーっ」
デコピン一発。
「クリスタルイーター……動かないし、反撃してこないから安全にステータス強奪できるじゃん。なんで十階にいないんだよぉ」
「おう、あぅ?」
「何言ってんのか分かんねぇ。どうやったらうまく喋れるようになるのかねぇ」
「うぐぅ……【ステータス強奪ってなに?】あぅ!」
っち。はぐらかしたのにツッコミやがって。
「……俺は覚醒者だ。覚醒者って分かるか?」
セシリアが首を振る。
「ふっふっふ。覚醒者ってのはなぁ」
俺ドヤ顔。
「死に瀕した時に、力に目覚めた者のことだ!」
「おぉ!? うわぁい。おぉー」
ふふふ。俺を崇めと奉れ。
踏ん反り返っていると、そこでグゥーっと腹の虫が鳴った。
「ぷふっ」
「おい笑うな。覚醒者だって腹はすくんだよ」
「くふふふふ。あぃ」
今日持って来てくれたのはパン……そして──
「あぁーん!」
「それを言うなら、じゃーん! だろう。うっわすっげ。ハムじゃん、ハム!?」
「くふぅー。んっんっん」
ハムは一枚二枚ではない。ブロックだ。
それを1センチほどの厚みで切ると、俺の背負い袋を指差した。
フライパンを出せってことだろう。
すぐに魔石コンロを作って火を付けフライパンを用意。
ハムを二枚並べると、セシリアは更に鞄からキャベツを取り出した!!
「キャベツもあるのか!」
「あいっ」
パターロールのようなパンを半分に切って、そこに千切りキャベツを載せる。更に焼いたハムを乗せて……。
ゴクリ。
ハンバーガーじゃん。
もうこれハンバーガーだよ。
「い、いただきます」
「いああいまう」
うぅ、うめぇ。マジクソうめぇ。
「ここじゃこんな肉は貴重だからなぁ。普段は薄っぺらい干し肉しか食ってねえから、柔らかい肉はほんと……ほんと……」
「いあぁ……」
「わっ。泣いてねえから! あ、泣いてる……あぁクソッ」
ハム食って泣くとか、どんだけ俺の涙腺弱いんだよ。
「はぁ……地上は動物もいるし、狩りをすれば肉も手に入るからいいよなぁ」
「うぅ? ぁ……んお、にう、あうぉ。【ダンジョンも肉取れる】」
「いやいや、ダンジョンの中に動物はいないだろう」
【モンスターのお肉】
……マジか。
いやでも、モンスターって死んだらどろって解けるじゃん!
「まさか肉を……ドロップするのか?」
「うんっ」
「返事が元気でよろしい。って肉をドロップううぅぅぅっ。だってそれ、モンスターの肉だろ?」
【食べられる】
「でもモンスターじゃん!」
【食べられる】
「いやわざわざ二度も書かなくていいから」
【食べられる】
「三度目ぇぇーっ」
【食べられる】
「あああぁぁぁぁーっ!!」
「そんな名前のモンスターだったのか。セシリアも見たことあるのか?」
新月の夜に、地下十一階に下りたことをセシリアに話した。
するとあの動かない魔石モドキのモンスター名を教えてくれた。
俺の問いに首を縦に振ったが、彼女は【ダンジョンじゃないところで】と文字を書く。
「地上にもいるのか」
【ダンジョンのモンスターは、全部地上のモンスターを真似て創られたの】
そう文字を書いてからドヤ顔をして、それから【知らなかったの?】と。
「知ってる知ってる。忘れてただけですからぁー」
「ぐふぅ」
ニヤりと笑うセシリア。
こいつ、マウントを取ろうとしてんのか。
「てや!」
「いぃーっ」
デコピン一発。
「クリスタルイーター……動かないし、反撃してこないから安全にステータス強奪できるじゃん。なんで十階にいないんだよぉ」
「おう、あぅ?」
「何言ってんのか分かんねぇ。どうやったらうまく喋れるようになるのかねぇ」
「うぐぅ……【ステータス強奪ってなに?】あぅ!」
っち。はぐらかしたのにツッコミやがって。
「……俺は覚醒者だ。覚醒者って分かるか?」
セシリアが首を振る。
「ふっふっふ。覚醒者ってのはなぁ」
俺ドヤ顔。
「死に瀕した時に、力に目覚めた者のことだ!」
「おぉ!? うわぁい。おぉー」
ふふふ。俺を崇めと奉れ。
踏ん反り返っていると、そこでグゥーっと腹の虫が鳴った。
「ぷふっ」
「おい笑うな。覚醒者だって腹はすくんだよ」
「くふふふふ。あぃ」
今日持って来てくれたのはパン……そして──
「あぁーん!」
「それを言うなら、じゃーん! だろう。うっわすっげ。ハムじゃん、ハム!?」
「くふぅー。んっんっん」
ハムは一枚二枚ではない。ブロックだ。
それを1センチほどの厚みで切ると、俺の背負い袋を指差した。
フライパンを出せってことだろう。
すぐに魔石コンロを作って火を付けフライパンを用意。
ハムを二枚並べると、セシリアは更に鞄からキャベツを取り出した!!
「キャベツもあるのか!」
「あいっ」
パターロールのようなパンを半分に切って、そこに千切りキャベツを載せる。更に焼いたハムを乗せて……。
ゴクリ。
ハンバーガーじゃん。
もうこれハンバーガーだよ。
「い、いただきます」
「いああいまう」
うぅ、うめぇ。マジクソうめぇ。
「ここじゃこんな肉は貴重だからなぁ。普段は薄っぺらい干し肉しか食ってねえから、柔らかい肉はほんと……ほんと……」
「いあぁ……」
「わっ。泣いてねえから! あ、泣いてる……あぁクソッ」
ハム食って泣くとか、どんだけ俺の涙腺弱いんだよ。
「はぁ……地上は動物もいるし、狩りをすれば肉も手に入るからいいよなぁ」
「うぅ? ぁ……んお、にう、あうぉ。【ダンジョンも肉取れる】」
「いやいや、ダンジョンの中に動物はいないだろう」
【モンスターのお肉】
……マジか。
いやでも、モンスターって死んだらどろって解けるじゃん!
「まさか肉を……ドロップするのか?」
「うんっ」
「返事が元気でよろしい。って肉をドロップううぅぅぅっ。だってそれ、モンスターの肉だろ?」
【食べられる】
「でもモンスターじゃん!」
【食べられる】
「いやわざわざ二度も書かなくていいから」
【食べられる】
「三度目ぇぇーっ」
【食べられる】
「あああぁぁぁぁーっ!!」
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