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さらに加速する絶望
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23話 さらに加速する絶望
イフリートを対処しようと死に物狂いで抗っているUV1を、
ゴートも必死でサポートしようとしている。
当たり前だが、『黙って見ている』という選択肢はなかった。
ただ、イフリート相手に戦力となれそうな者はもう召喚できない。
物理しか使えないカースソルジャーでは意味がないと即時判断した(本来の使い方ならば、むしろ、カースソルジャーは、精霊種に対してもかなり有効な手段。しかし、ここにいる二人は、カースの正式な使い方は知らない)
しかし、バフ系の魔法が使える召喚獣ならば役に立てるはずだと、サポート特化の召喚獣を3体ほど召喚し(存在値30前後の妖精種。三位一体のコロポックル的なの。防御のバフが得意)、全力で、UV1の支援をさせている。
UV1とゴート、二人とも、必死になって、イフリートに抗った。
しかし、勝機はまったく見えない。
単純な存在値だけで言えば、UV1の方が強い。
防御系の後方支援も受けているので、そう簡単にやられはしない。
――ただ、ジワジワと削られていく。
ゴートもUV1も、自分たちが死ぬのは時間の問題だと理解できていた。
あまりにも勝ち目がなさすぎた。
不可避の死だけがゆっくりジワジワと迫ってくる、この濃厚な絶望。
それでも、諦めずに二人は闘った。
UV1は、ゼノリカに属する者としての矜持から、
ゴート(センエース)は、生まれ持った諦めの悪さから、
「……はぁ……はぁ……」
疲れ切ったUV1に、イフリートが言う。
「凄まじい力、そしてとてつもなく強い意志……それだけ疲弊していながら、まだ抗うとは……」
イフリートは、そこで、
「できれば、単独で狩りたかったが……既定の時間が経過してしまった……仕方ない」
「「?」」
困惑顔の二人の前で、
「この真パラソルモンの地下迷宮には、イフリートが複数体いる。その全てを呼びよせる秘術がある」
「「っっ??!!」」
「その秘術には、二つ弱点がある。まず一つ目の弱点、一度使ってしまうと、しばらく使えなくなってしまう。二つ目の弱点、戦闘開始から一定時間が経過しないと使えない」
イフリートは、自ら、ペラペラと、
「まあ、『使えない』というより『戦闘開始から一定時間が経過すると自動で発動してしまう』といった方が正確なのだが。……さっき言ったように、『一度使うと、しばらく使えなくなってしまう』ため、出来れば、本当のピンチ時のため、限界まで温存しておきたいところなのだがな」
やれやれと首をふりながら、
「具体的にいうと、一定時間が経過すると、私の本能が、こうして、『暴露のアリア・ギアス』を使い、勝手に秘術を発動させてしまうのだ……まったく厄介なこと」
「「……」」
もはや、UV1とゴートの二人は、声も出なかった。
あまりの絶望に、何も言えない。
「正直、貴様らを殺すだけなら、私一人でも時間をかければどうにかなる……つまりは、ここで同胞たちを呼ぶ行為には何の意味もない……戦力差が無駄に開くだけ……なのだが、まあ、仕方がない。我々は、そういう仕様のモンスターなのでね」
淡々とそう言ってから、
「暴露のアリア・ギアス発動。さあ、同胞たちよ。全員で、侵入者を歓迎しようじゃないか」
イフリートが両手を掲げて、そう宣言した直後、
青白く揺れている巨大な幾何学が広がって、楕円を描く。
そして、ビシっと音がして、
楕円のジオメトリの中央部に、真一文字の切れ込みが入った。
その、ジオメトリに入った切れ目は、ググっと広がり、
続々とイフリートを排出する。
一体ですら大変な最高位の精霊種が、
全部で、
――『7』体。
「「「「「「「侵入者よ、貴様らの死は確定した。
辞世の句を詠うがいい。聞いてやる」」」」」」」
「……は、はは……死んだ……」
思わず、笑ってしまったゴート。
流石に、UV1の目からも、精気が消えていた。
これは、もはや、諦めるとか諦めないとかの話ではない。
ただ、正式に詰んだ。
それだけ。
イフリートを対処しようと死に物狂いで抗っているUV1を、
ゴートも必死でサポートしようとしている。
当たり前だが、『黙って見ている』という選択肢はなかった。
ただ、イフリート相手に戦力となれそうな者はもう召喚できない。
物理しか使えないカースソルジャーでは意味がないと即時判断した(本来の使い方ならば、むしろ、カースソルジャーは、精霊種に対してもかなり有効な手段。しかし、ここにいる二人は、カースの正式な使い方は知らない)
しかし、バフ系の魔法が使える召喚獣ならば役に立てるはずだと、サポート特化の召喚獣を3体ほど召喚し(存在値30前後の妖精種。三位一体のコロポックル的なの。防御のバフが得意)、全力で、UV1の支援をさせている。
UV1とゴート、二人とも、必死になって、イフリートに抗った。
しかし、勝機はまったく見えない。
単純な存在値だけで言えば、UV1の方が強い。
防御系の後方支援も受けているので、そう簡単にやられはしない。
――ただ、ジワジワと削られていく。
ゴートもUV1も、自分たちが死ぬのは時間の問題だと理解できていた。
あまりにも勝ち目がなさすぎた。
不可避の死だけがゆっくりジワジワと迫ってくる、この濃厚な絶望。
それでも、諦めずに二人は闘った。
UV1は、ゼノリカに属する者としての矜持から、
ゴート(センエース)は、生まれ持った諦めの悪さから、
「……はぁ……はぁ……」
疲れ切ったUV1に、イフリートが言う。
「凄まじい力、そしてとてつもなく強い意志……それだけ疲弊していながら、まだ抗うとは……」
イフリートは、そこで、
「できれば、単独で狩りたかったが……既定の時間が経過してしまった……仕方ない」
「「?」」
困惑顔の二人の前で、
「この真パラソルモンの地下迷宮には、イフリートが複数体いる。その全てを呼びよせる秘術がある」
「「っっ??!!」」
「その秘術には、二つ弱点がある。まず一つ目の弱点、一度使ってしまうと、しばらく使えなくなってしまう。二つ目の弱点、戦闘開始から一定時間が経過しないと使えない」
イフリートは、自ら、ペラペラと、
「まあ、『使えない』というより『戦闘開始から一定時間が経過すると自動で発動してしまう』といった方が正確なのだが。……さっき言ったように、『一度使うと、しばらく使えなくなってしまう』ため、出来れば、本当のピンチ時のため、限界まで温存しておきたいところなのだがな」
やれやれと首をふりながら、
「具体的にいうと、一定時間が経過すると、私の本能が、こうして、『暴露のアリア・ギアス』を使い、勝手に秘術を発動させてしまうのだ……まったく厄介なこと」
「「……」」
もはや、UV1とゴートの二人は、声も出なかった。
あまりの絶望に、何も言えない。
「正直、貴様らを殺すだけなら、私一人でも時間をかければどうにかなる……つまりは、ここで同胞たちを呼ぶ行為には何の意味もない……戦力差が無駄に開くだけ……なのだが、まあ、仕方がない。我々は、そういう仕様のモンスターなのでね」
淡々とそう言ってから、
「暴露のアリア・ギアス発動。さあ、同胞たちよ。全員で、侵入者を歓迎しようじゃないか」
イフリートが両手を掲げて、そう宣言した直後、
青白く揺れている巨大な幾何学が広がって、楕円を描く。
そして、ビシっと音がして、
楕円のジオメトリの中央部に、真一文字の切れ込みが入った。
その、ジオメトリに入った切れ目は、ググっと広がり、
続々とイフリートを排出する。
一体ですら大変な最高位の精霊種が、
全部で、
――『7』体。
「「「「「「「侵入者よ、貴様らの死は確定した。
辞世の句を詠うがいい。聞いてやる」」」」」」」
「……は、はは……死んだ……」
思わず、笑ってしまったゴート。
流石に、UV1の目からも、精気が消えていた。
これは、もはや、諦めるとか諦めないとかの話ではない。
ただ、正式に詰んだ。
それだけ。
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