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蝉原勇吾の戦慄
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偶然だったし、
運命だった。
センエースの中学時代の同級生である『蝉原勇吾せみはらゆうご』が、『異界の力』を手に入れたのは、ちょっとした偶然、ある意味で奇跡的な極大悲劇だった。
『マナ』や『ナノ・スピリット(コスモゾーンとの中継役的な何か。コスモゾーンが脳だとすれば、ナノ・スピリットは神経)』を、ほとんど無尽蔵に内包している、特殊なモンスターの襲来。
自らを『バグ』と称する虫型のソレは、第一アルファの亜空間に潜み、蝉原のコアオーラと接続し、蝉原に『力』を供給した。
膨大な力。
圧倒的な力。
第一アルファの全てを掌握できる無限の可能性。
バグは、蝉原に何かを要求する事もなく、ただただ無尽蔵の力を与えた。
蝉原は、喜んで、その力を利用した。
蝉原が得た『力』は二つ。
たったの二つだが、どちらも異常な力。
――他者の心を自由自在に操れる洗脳能力。
――完全なる不死身。
完璧な世界政府だって実現可能となる力。
上手く使えば戦争を殺すことができる力。
正しく使えば、全ての命を導ける夢の力。
※ バグに、そういう力を与えられる能力があるというわけではない。
バグの膨大な力を媒介にしたアリア・ギアスを発動させた結果、
蝉原が切に望んでいた力が発現した。
人類を完成させることも不可能ではない――その素晴らしい力を、
蝉原は、躊躇なく、『理不尽な混沌』のために使った。
自分を『恐怖の象徴』とする。
ただそのために、欲望のままに、他者の心をいじくって、世界を徹底的に混乱させようとした。
軍需産業の『半分』を支配して情報通信技術とNBC兵器の支配権の一部を手中におさめ、戦争という概念そのものの中核に座した。
そして、もともと太い繋がりがあった闇社会で、『正義』を説いた。
結果、テロリストの『半分』は、蝉原のペットになった(テロリスト相手には洗脳能力を使わなかった。その理由は、『蝉原の洗脳能力は無敵ではなく、操れる人間の数に限界がある』と見せかけるためのブラフの一つだった。なぜそんなマネをしたのか。ただの遊び。限界があるとなれば、『蝉原に抵抗しよう』という気になる者もいるだろうから。実際には制限などないに等しい無敵の力だった)。
神や正義をオモチャにして、より陰湿な悪意を世界中に撒き散らして、
どこまでも、とことん、徹底して、やりたい放題。
厨二的な思想の大暴走。
――せかいはぼくのもの。
『中学生のカリスマ』のまま大きくなって、実際に力を得てしまったバカ野郎。
それが蝉原勇吾。
蝉原は、世界のを全てを一気に壊すようなマネはしなかった。
それじゃあ面白くないから。
『華麗なる混沌の中心でありたい』という、そんな、ちょっと何言っているか分からない思想を原動力に、蝉原は、徐々に、しかし確実に世界を狂わしていった。
なによりも悪質だったのは、やはり、世間に、『蝉原勇吾の能力には限界がある』と思わせて、かつ、あえて法執行機関の一部には未着手を貫いたことだろう。
蝉原は、『キラ』に対抗した『キラ対策本部やL』のような『自分の敵』となる組織の設立をあえて許し、かつ、終始、静観に徹した。
結果、蝉原による混沌をどうにかしようと、
各国の『異界対策部門』が結集して、『蝉原対策チーム』が発足した。
センエースも、当然、その一員として蝉原と闘った。
ただ、もちろん、洗脳能力を持つ不死身の蝉原には、勝てる訳がなかった。
言うまでもないが、平均存在値7の第一アルファ人が、存在値1000を超えている『バグ』に対抗できる訳がなかった。
銃を持ったオッサン(ゴミ)がいくら集まって頭をしぼっても、覚醒したサ○ヤ人を止める事はできない。
センたちが、ちょっととはいえ『抵抗できた』のは、蝉原が遊んでいたから。
それ以外に理由はない。
蝉原は徹底的に遊んでいた。
抵抗させて、抵抗させて、それが無駄だったと理解させる。
そこに生まれた絶望を楽しんだ。
ハッキリ言ってしまえば、蝉原勇吾は、厨二だった。
『宇宙一の極道になる』などとのたまうバカが厨二以外のなんだってんだ。
蝉原は間違いなく厨二病患者――しかし、ただの厨二ではなく、狂気的な厨二。
心の根底に『厨二的思想』を内包する、本物の極悪なスジモノ兼テロリスト。
最悪。
世界的な脅威である蝉原に対し、ありとあらゆる作戦が決行された。
世界中の天才たちが結集して、蝉原をどうにかしようと知恵を絞った。
しかし、どんな抵抗も、当り前だが無駄に終わった。
洗脳能力を持っていて、不死身で、かつ、そもそものスペックが高い厨二。
人類に勝機などなかった。
全ての抵抗が無駄におわり、
絶望している『蝉原対策チーム』に対し、
蝉原は、最後にこう言った。
『閃壱番せんえーすを拘束して差し出すなら、君たちが、これまでに行ってきた俺に対する嫌がらせは全て不問にしてあげるよ。具体的にいうと、近日決行を予定していた、世界中にバグスペシャル32(蝉原が開発させたバイオ兵器)を撒き散らす計画は保留にしてあげる。ちなみに、バグスペ32で発症するのは、【子供限定で、白血病よりもきつい症状が出るけど、なかなか死ねない】っていう高度な嫌がらせだから、よく考えた方がいいよ。ちなみに、発症率は20%くらい。今、この世界にいるガキの五匹に一匹は地獄を見る。さあ、どうする?』
蝉原はいつだってそう。
なかなか殺さず、決して生かさない。
独裁者ですらない、ただのラリった暴悪。
――結果、あっさりと、センエースは売られた。
酷い話とも言えるが、
実質、当たり前の話だった。
運命だった。
センエースの中学時代の同級生である『蝉原勇吾せみはらゆうご』が、『異界の力』を手に入れたのは、ちょっとした偶然、ある意味で奇跡的な極大悲劇だった。
『マナ』や『ナノ・スピリット(コスモゾーンとの中継役的な何か。コスモゾーンが脳だとすれば、ナノ・スピリットは神経)』を、ほとんど無尽蔵に内包している、特殊なモンスターの襲来。
自らを『バグ』と称する虫型のソレは、第一アルファの亜空間に潜み、蝉原のコアオーラと接続し、蝉原に『力』を供給した。
膨大な力。
圧倒的な力。
第一アルファの全てを掌握できる無限の可能性。
バグは、蝉原に何かを要求する事もなく、ただただ無尽蔵の力を与えた。
蝉原は、喜んで、その力を利用した。
蝉原が得た『力』は二つ。
たったの二つだが、どちらも異常な力。
――他者の心を自由自在に操れる洗脳能力。
――完全なる不死身。
完璧な世界政府だって実現可能となる力。
上手く使えば戦争を殺すことができる力。
正しく使えば、全ての命を導ける夢の力。
※ バグに、そういう力を与えられる能力があるというわけではない。
バグの膨大な力を媒介にしたアリア・ギアスを発動させた結果、
蝉原が切に望んでいた力が発現した。
人類を完成させることも不可能ではない――その素晴らしい力を、
蝉原は、躊躇なく、『理不尽な混沌』のために使った。
自分を『恐怖の象徴』とする。
ただそのために、欲望のままに、他者の心をいじくって、世界を徹底的に混乱させようとした。
軍需産業の『半分』を支配して情報通信技術とNBC兵器の支配権の一部を手中におさめ、戦争という概念そのものの中核に座した。
そして、もともと太い繋がりがあった闇社会で、『正義』を説いた。
結果、テロリストの『半分』は、蝉原のペットになった(テロリスト相手には洗脳能力を使わなかった。その理由は、『蝉原の洗脳能力は無敵ではなく、操れる人間の数に限界がある』と見せかけるためのブラフの一つだった。なぜそんなマネをしたのか。ただの遊び。限界があるとなれば、『蝉原に抵抗しよう』という気になる者もいるだろうから。実際には制限などないに等しい無敵の力だった)。
神や正義をオモチャにして、より陰湿な悪意を世界中に撒き散らして、
どこまでも、とことん、徹底して、やりたい放題。
厨二的な思想の大暴走。
――せかいはぼくのもの。
『中学生のカリスマ』のまま大きくなって、実際に力を得てしまったバカ野郎。
それが蝉原勇吾。
蝉原は、世界のを全てを一気に壊すようなマネはしなかった。
それじゃあ面白くないから。
『華麗なる混沌の中心でありたい』という、そんな、ちょっと何言っているか分からない思想を原動力に、蝉原は、徐々に、しかし確実に世界を狂わしていった。
なによりも悪質だったのは、やはり、世間に、『蝉原勇吾の能力には限界がある』と思わせて、かつ、あえて法執行機関の一部には未着手を貫いたことだろう。
蝉原は、『キラ』に対抗した『キラ対策本部やL』のような『自分の敵』となる組織の設立をあえて許し、かつ、終始、静観に徹した。
結果、蝉原による混沌をどうにかしようと、
各国の『異界対策部門』が結集して、『蝉原対策チーム』が発足した。
センエースも、当然、その一員として蝉原と闘った。
ただ、もちろん、洗脳能力を持つ不死身の蝉原には、勝てる訳がなかった。
言うまでもないが、平均存在値7の第一アルファ人が、存在値1000を超えている『バグ』に対抗できる訳がなかった。
銃を持ったオッサン(ゴミ)がいくら集まって頭をしぼっても、覚醒したサ○ヤ人を止める事はできない。
センたちが、ちょっととはいえ『抵抗できた』のは、蝉原が遊んでいたから。
それ以外に理由はない。
蝉原は徹底的に遊んでいた。
抵抗させて、抵抗させて、それが無駄だったと理解させる。
そこに生まれた絶望を楽しんだ。
ハッキリ言ってしまえば、蝉原勇吾は、厨二だった。
『宇宙一の極道になる』などとのたまうバカが厨二以外のなんだってんだ。
蝉原は間違いなく厨二病患者――しかし、ただの厨二ではなく、狂気的な厨二。
心の根底に『厨二的思想』を内包する、本物の極悪なスジモノ兼テロリスト。
最悪。
世界的な脅威である蝉原に対し、ありとあらゆる作戦が決行された。
世界中の天才たちが結集して、蝉原をどうにかしようと知恵を絞った。
しかし、どんな抵抗も、当り前だが無駄に終わった。
洗脳能力を持っていて、不死身で、かつ、そもそものスペックが高い厨二。
人類に勝機などなかった。
全ての抵抗が無駄におわり、
絶望している『蝉原対策チーム』に対し、
蝉原は、最後にこう言った。
『閃壱番せんえーすを拘束して差し出すなら、君たちが、これまでに行ってきた俺に対する嫌がらせは全て不問にしてあげるよ。具体的にいうと、近日決行を予定していた、世界中にバグスペシャル32(蝉原が開発させたバイオ兵器)を撒き散らす計画は保留にしてあげる。ちなみに、バグスペ32で発症するのは、【子供限定で、白血病よりもきつい症状が出るけど、なかなか死ねない】っていう高度な嫌がらせだから、よく考えた方がいいよ。ちなみに、発症率は20%くらい。今、この世界にいるガキの五匹に一匹は地獄を見る。さあ、どうする?』
蝉原はいつだってそう。
なかなか殺さず、決して生かさない。
独裁者ですらない、ただのラリった暴悪。
――結果、あっさりと、センエースは売られた。
酷い話とも言えるが、
実質、当たり前の話だった。
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