上 下
286 / 380

ラムドからはじめる異世界生活

しおりを挟む
(UV1に匹敵する実力者『長強』に、あのバロールとかいう猿顔。UV1の話では、あの猿顔に匹敵するのが全部で30ちょい。そして、そいつらを纏めている5柱と、全てを統括している絶対的な3柱……)

 神を目指す超越者たちと、神族に至った超越者たち。

(異常なほど強大な組織だ。ちょっと異常すぎる)

 今のゴートからすれば遠すぎる雲の上。

(現状における『素の俺』は、世界の『表層』だけに焦点をあててみても、絶対的な強者という訳ではなく、世界の『最上層』だけに限定して見てみれば、かなりの弱者。この状況は面白くないねぇ)

 ニっと笑い、

(決定。まずは、レベル上げだ)

 行動を選択する。

(サクっと、『表では最強』くらいにまでは強くなってやる)

 未来を見る。
 やるべき道を選ぶ。

(当然、『表の最強』にとどまらない。とことん強くなって、ゼノリカの天上とも闘えるようになってやる。そして、神を決める聖戦に、神様候補として参戦する)

 神になるという決意。
 そのための方法論。

 結果、決意は膨れ上がり、

(……もういっそのこと、バロールも、その上の神々も、まるごとぶっとばして……最上にある偶像、『神帝陛下』の地位をかっさらうってのも面白いかもしれないな……)

 自分にならできるかもしれない。
 ゴートは思う。
 これほど、異常な成長チートを持つ自分なら、あるいは――

(偶像ではなく、本物の神帝に俺が……そして、どうどうとセンエースを名乗るってのも悪くない……いや、存外、ゴートって名前も気に行ってきたし……ゼノリカの主神を、ゴート・ラムド・セノワールに変えてやろうかな)

 夢が広がっていく。

 ――別に、神様になりたいと思った事はない。
 だが、
 神にならねば出来ない事がある。


 単純に、『ただ無限の高みを目指したい』というのが神を目指す根本の理由。
 それは絶対の事実。
 だが、ゴート・ラムド・セノワール(38歳のセンエース)には、『無限の研鑽に対する渇望』以外にも、神を目指す理由があった。


(神になって……上の上に立てば……もしかしたら……)

 ゴートの顔が少しだけ険しくなる。
 少しだけキツく、虚空を睨みつける。

 こうなった以上、忘れてしまった方がいいのは分かっているのだけれど、どうしても消えない憎悪。
 怒りが原動力となる志望動機。





 ――ゴートは思う。

 上の上の上に立てば、
 果てなく、より高次の存在を目指し続ければ、
 もしかしたら、いつか、出会えるかもしれない。

 誰に?
  ――本物の創造主――
 実在するのなら、間違いなく、全ての元凶。
 『そんなつもりはなかった』なんて言わせねぇ。
 実在するのなら、必ずツケを払わせる。


 もし、この世に、『全てを創造した神』が存在するのなら、
 そいつには、どうしても問い詰めなければいけない事がある。
 もちろん、一個じゃないが、色々あるが、多々あるが、しかし、
 とりあえず、もし出会えたら、絶対に追及してやると決めている大事が一つ。






 ――なぜ、『あいつ』に、『あんな力』を与えやがった!






 憎悪や怨嗟に駆られるのは非合理だが、これだけは譲れない。
 ガキの頃、タナカトウシに抱いた劣等感とは質の違う、本物の憤怒。


 38歳のセンエースを絶望の底に叩き落とした、世界を殺すほどの狂気。
 センエースですら殺せなかった地獄。


 ――ゴートは、

(はっ……)

 そこで、深呼吸をした。
 自分をいさめる。
 感情に支配されないように、己を整える。

 沸騰しかけた気血をおさめると、ゴートは、

(……まあ、なんにせよ、とりあえず、今のところは、神帝陛下に成る事が最終目標ってことで)

 ポジティブに、前を向いて、

(もし、なにか、もっと面白い目標がみつかれば、そっちにシフトする構えで、ゆったりと。まずはノンキに高次の存在を目指す。……そうさ。せっかくの異世界転生だ。あっちで地獄を見た分を、ここでとりもどす。最終の最終の最終目標はあっても別に構わないが、それにとらわれたくはねぇ)

 自分の中で区切りをつくると、
 すぅっと息を吸い、
 表情柔らかく、ニコやかに、



(さあ、この、『ラムドからはじめる異世界生活』を、とことん楽しもうか)
しおりを挟む
感想 96

あなたにおすすめの小説

スキル【僕だけの農場】はチートでした~辺境領地を世界で一番住みやすい国にします~

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
旧題:スキル【僕だけの農場】はチートでした なのでお父様の領地を改造していきます!! 僕は異世界転生してしまう 大好きな農場ゲームで、やっと大好きな女の子と結婚まで行ったら過労で死んでしまった 仕事とゲームで過労になってしまったようだ とても可哀そうだと神様が僕だけの農場というスキル、チートを授けてくれた 転生先は貴族と恵まれていると思ったら砂漠と海の領地で作物も育たないダメな領地だった 住民はとてもいい人達で両親もいい人、僕はこの領地をチートの力で一番にしてみせる ◇ HOTランキング一位獲得! 皆さま本当にありがとうございます! 無事に書籍化となり絶賛発売中です よかったら手に取っていただけると嬉しいです これからも日々勉強していきたいと思います ◇ 僕だけの農場二巻発売ということで少しだけウィンたちが前へと進むこととなりました 毎日投稿とはいきませんが少しずつ進んでいきます

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

転生をしたら異世界だったので、のんびりスローライフで過ごしたい。

みみっく
ファンタジー
どうやら事故で死んでしまって、転生をしたらしい……仕事を頑張り、人間関係も上手くやっていたのにあっけなく死んでしまうなら……だったら、のんびりスローライフで過ごしたい! だけど現状は、幼馴染に巻き込まれて冒険者になる流れになってしまっている……

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明
ファンタジー
 秋津直人、85歳。  50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。  嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。  彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。  白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。  胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。  そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。  まずは最強の称号を得よう!  地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編 ※医療現場の恋物語 馴れ初め編

その幼女、最強にして最恐なり~転生したら幼女な俺は異世界で生きてく~

たま(恥晒)
ファンタジー
※作者都合により打ち切りとさせて頂きました。新作12/1より!! 猫刄 紅羽 年齢:18 性別:男 身長:146cm 容姿:幼女 声変わり:まだ 利き手:左 死因:神のミス 神のミス(うっかり)で死んだ紅羽は、チートを携えてファンタジー世界に転生する事に。 しかしながら、またもや今度は違う神のミス(ミス?)で転生後は正真正銘の幼女(超絶可愛い ※見た目はほぼ変わってない)になる。 更に転生した世界は1度国々が発展し過ぎて滅んだ世界で!? そんな世界で紅羽はどう過ごして行くのか... 的な感じです。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

無属性魔法を極めた俺は異世界最強!?

ないと
ファンタジー
異世界に行きたい ずっとそんな事を願っていたある日、俺は集団転移に遭ってしまった。 転移すると周り中草木が生い茂っている森林の中で次々とモンスターが襲ってくる。 それに対抗すべく転移した人全員に与えられているらしいチート能力を使おうとしたのだが・・・・・ 「魔法適正が『無』!?」

処理中です...