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終わりの始まり

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ラムドがUV1に切り返した理由は、ただ一つ。

 本当のカリスマを知っていたから。

 リーンは脳筋お花畑のバカ魔王だったが、カリスマだけは本物だった。







 ゆえに、ラムドは本気で思った。

 『神を目指す者が、カリスマ力で、リーン程度に負けるとはいかがなものか』と。




「神になるおつもりなら、ドンと構えておかれては? 責任の所在を探しまわるような小物が、天の上に立つ事などできますまい」




「ナメた事を……」




「おお、恐い、恐い。なんという殺気じゃ。ションベンをちびってしまいそうじゃのう、ひひひ」







「……ちっ」







 UV1は、軽く舌うちをしてから、ムスっとして黙った。




 なぜなら、ラムドの言う事に理があると判断したから。




 UV1はゼノリカの天下に属する者。

 合理を提示されたら頷くしかない立場にある。

 どんな時でも、決して醜い不条理には犯されてはならない。

 それがゼノリカの神法。







 ゼノリカでは、生命が愚かで醜いという事を認めている。

 そこから目をそらさないと決めた覚悟。

 その上で叫ぶ合理の結晶。

 それこそが、ゼノリカ神法の根底。




 人は善ではない。

 けれど、だからこそ、

 『それでも善であろうとする想い』は尊くなる。
















 ――理を前に黙ったUV1の事など、もはや頭の中にはないようで、ラムドは、たんたんと召喚の準備を進めていく。




 そして、結果的には、十分ほどで、




「完成じゃ……ひひひ……素晴らしい……これぞ……これこそが、完全なる、理論上最高の召喚……」




 ラムドは、恍惚の表情で、




「神という、最高位の高次生命が本当に実在するのなら……召喚できねばおかしい……そういうレベルの召喚術式」




 その発言を聞いたUV1は、心の中で、




(ここにあるのは、しょせん、クオリティ10以下の素材ばかり……そんなもので、天上の方々の召喚などできてたまるか)




 UV1は、神帝陛下という存在を信じてはいない。

 しかし、天上の方々がいかに優れているかは知っている。

 信じているのではなく、知っている。




 途方もなく優れた『力』を持ち、『命』を正しく使おうとしている超位存在。

 絶対的な権力・武力を持っていながら、決して歪まず、まっすぐに、

 ただ純粋に、悪く言えば頑固なほど、『善』であろうとする、

 心から尊敬するに値する超高次の存在。




 そんな天上の方々を、この程度の術式で召喚する?

 笑い話にもならない。







「さあ……はじめよう」







 言って、ラムドは、はニタニタと笑いながら、その魔法陣に、フラスコの中の青い血を垂らした。




 その瞬間、




























『?????????????????????』




























 妙な声が、ラムドの頭の中に響いた。

 聞き取れなかったが、




「なっ……ぁっ……」




 何か『とてつもない事』が起きたという事だけは理解できた。




 全身が震えた。

 頭の中を、途方も無いビジョンが埋め尽くす。




「これは……いったい……」




 そして、理解する。







「た、足らん……この召喚を成すためには……素材が……」







 何が足りないか、それすら頭の中に浮かぶ。

 理解。

 上書きされていく高次理解。







「ひ、ひひひ……」







 最高次理解に至ったラムドは、







「いいじゃろう……くれてやる……わしの全部……わしの魂魄を……持っていくがいいぃいい!!」







 ラムドの発言を聞いて、UV1が、




「?! は?! なに?! ちょっと待て! 何を言っている! ラムド! お前には、これから、やってもらわなければいけない任務が――」




「ひひひ! 知ったことか! 出来るかもしれんのじゃ! 真に究極の召喚! ぬしにはわからんじゃろうが、今、わしの頭は、『どこか』とリンクしておる! ここがどこかさっぱりわからん! しかし、『世界』ではないと認識はできておる! まるで夢。幻想。何が何だかわからんが……そこから引っ張ってこられるのじゃ……わかるか? わからんじゃろう。わしにも、わからん! しかし、分かる! ひひひひひ! カツモクせよ! わしの全てを注いだ、究極の召喚を、見届けよ! さあ、来い! わしを踏み台にして、こちら側へくるがよい!」




 ラムドの魂魄が、光の粒になっていく。




「ひひひひひひひ! 最初から最後まで召喚と共にあった、この命……最後に……届いた……我が生涯に……悔いはない!」




 分解されて、拡散していく。

 そして、浸透していくんだ。

 濃度の高い方から低い方へ、

 濃度の低い方から高い方へ、




 ――混沌としたコスモゾーンの先へ、奥へ、




 運命の序列に従うように、意識が行儀よく遠のいていく、

 その一瞬、




 ラムドは確かに聞いた。

























 ――よくわかんねぇが、

 ――あんたが、俺を呼んでくれたのか。
















 その声は、







 ――感謝するぜ。

 ――マジで、

 ――ほんと……




 ――だから、




 ――行くなよ。

 ――礼くらい言わせてくれや。






















 ――器をなくしたというのなら、俺が器になってやる。

























 ラムドをすくいあげた。

 コスモゾーンへと還っていく直前の、ラムドの魂魄の欠片をすくいとって、飲み込んだのだ。































  ――  裏イベントスイッチ001 ON  ――




 ???????????????????????







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