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お前のすべてをよこせ
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(冒険者試験まで一週間……その間に、新システムの詳細を確認しておくか)
センは、巨大な扉に背を向けて、アダムたちの元まで歩きながら、
(コードゲートとか言ったか? 言葉の意味はよく分からんが……ようするに限界突破だよな? 無限に強くなれる可能性……いいねぇ……ワクワクする……)
センが、色々と考えていると、
「……ぁの……ちょっと、いい?」
ユンが、ふいに声をかけてきた。
「色々と、よく分からないけれど、とりあえず、あの……これだけは、言っておくわ。助けてくれて……ありがとう」
「あん? ぁあ……はいはい」
ユンという存在そのものをテキトーに流そうとするセンに、ユンは不満気な顔を見せ、
「ワタシの心からの感謝を……これまた随分と簡単に流してくれるわね」
「あのさ、見てわかんねぇ? 俺、今、くっそ忙しいんだけど」
迷惑顔のセンに動じず、ユンはマイペースに続ける。
「あなたの力、驚いたわ。凄すぎるっていうか……もう、ちょっと何が何だが分からないレベルだった」
「うんうん、はいはい。そだねー。俺もそう思う」
センは、どこまでも雑に、
「いいか、ユン、よく聞け。あそこを見ろ」
南の方を指さしながら、
「あの辺から出られるぞ。良かったな。これからは自由だぞ。今後は、俺に、一切かかわらなくていい。どうだ、お前的には、最高のエンディングじゃね? ユーアァ、ラッキィ、ラッキィ、ラッキィ、ラッキィイ」
両手を『いいね』にしつつ、にこやかにそう言って、
「あそこから出て、まっすぐに進めば魔人の国がある。まずはそこに行くといい。お前の力があればなんでもできる。だが、暴れるのはおすすめしない。ザコばかりって訳でもないからな。以上だ。世界が想像通りだといいな。というわけで、ばいばい。しーゆー、あでゅー」
「確認させてもらうわ」
「……はぁ?」
センは、心底ダルそうに、頭をボリボリとかきながら、
「確認? なにを?」
「――『お前の全てをよこせ』。ワタシに対して、あなたは、確かにそう言ったわよね?」
「ぇぇ……ぁ、いや、あの、それはだねぇ、いわゆるひとつの――」
「もらってもらうわよ、ワタシのすべて。知らなかった? 言葉って重たいのよ。責任はとってもらうわ」
「……」
「ワタシは役に立つわ。いえ、役に立ってみせる。だから……側においてくれない? お願い」
その真摯な願いを受けて、センは、
「……」
面倒くさそうに、一度、天を仰いだ――が、
「……はぁ」
覚悟を込もった溜息をついて、
「まあいいや。好きにしろよ。もうどうせ、二人も抱えてんだ。三人になったところで、さほど違いはねぇ」
そこで、センは、アダム、そしてサイへと目線を向けて、
「ユン、アダム、サイ。お前ら、これから俺の手足。序列はアダムが一番上だ。その下にユンとサイ。以上。OK?」
「かしこまりました、主上様」
「はい、お父様」
「よし……」
満足そうに、一度頷いてから、センは、
「ん?」
と、疑問にぶつかる。
「……お父様?」
二度見の中で疑問符をなげかけてくるセンの元まで、
サイは瞬間移動してきて、優雅に片膝をつき、
「サイに『世界』を説いてくださった御方……そして、新たな命を授けてくださった偉大なる父……この身、この心、すべてが、この上なき神、すなわち、お父様のモノ」
「……いや、まあ、確かに、今のお前を司っているコアオーラは俺が創造したモノではあるのだけれども……」
そこで、サイは、センの言葉を遮って、
「生まれ変わってからというもの、お父様の側にいるだけで……距離が近づくだけで、」
顔を真っ赤にして、濡れた目で、センを見つめ、
「心が……満たされるのです。本当に、ありがとうございます、お父様……サイは……お父様の娘となれた事を……心から誇りに思います」
(わー、こいつも、『そっち』の属性かぁ……めーんどーくせぇ~)
と、そこで、アダムが、センとサイの間に割って入ってきて、
「神の子を名乗るとは、羨ま――不敬にもほどがある。主上様、サイの発言は、もはや反逆と言ってもいいでしょう。というより、反逆でしょう。それ以外のなんだというのでしょう。というわけで、御命令に従い、反逆者の首を落とします」
「お母様がそれを御望みになるのであれば、サイは受け入れます」
「……お母様……?」
「お父様は、サイを創造してくださった際に、サイの中に残っていた『お母様の部分』を正式に与えてくださいました。サイは、お母様とお父様の結晶……お父様とお母様の望みを叶える事だけが全て……サイの死が御望みとあらば、喜んで自害いたしましょう」
「……不敬な発言だ。その表現では、まるで、私が主上様の……のようではないか」
体裁を保ちながら、しかし、若干、小さくなった声で、顔を赤くしながら、
「愚か。極めて愚か。しかし、考えてみれば、貴様は主上様の所有物。『私の裁量で決めてよい』とは言われているが、この場に主上様が居られる以上、判断を仰ぐのは当然の事……」
そこで、アダムは、体ごとセンに視線を向けて、
「主上様……この者は確かに不敬を働きました。しかし、どうでしょう。主上様の偉大なる御力の前では、このような小物が何を言おうと虫の囁ささやきでしかありません。ここは、どうか、寛大な――」
「俺はなんも言ってねぇんだよ。勝手に盛り上がるな。とりあえず、お前らも、ユンも、ちょっと黙ってろ。諸々、あとで片付ける。今は、それより優先すべき事がたくさんあるんだ」
少し疲れた顔で、センはそう言った。
センは、巨大な扉に背を向けて、アダムたちの元まで歩きながら、
(コードゲートとか言ったか? 言葉の意味はよく分からんが……ようするに限界突破だよな? 無限に強くなれる可能性……いいねぇ……ワクワクする……)
センが、色々と考えていると、
「……ぁの……ちょっと、いい?」
ユンが、ふいに声をかけてきた。
「色々と、よく分からないけれど、とりあえず、あの……これだけは、言っておくわ。助けてくれて……ありがとう」
「あん? ぁあ……はいはい」
ユンという存在そのものをテキトーに流そうとするセンに、ユンは不満気な顔を見せ、
「ワタシの心からの感謝を……これまた随分と簡単に流してくれるわね」
「あのさ、見てわかんねぇ? 俺、今、くっそ忙しいんだけど」
迷惑顔のセンに動じず、ユンはマイペースに続ける。
「あなたの力、驚いたわ。凄すぎるっていうか……もう、ちょっと何が何だが分からないレベルだった」
「うんうん、はいはい。そだねー。俺もそう思う」
センは、どこまでも雑に、
「いいか、ユン、よく聞け。あそこを見ろ」
南の方を指さしながら、
「あの辺から出られるぞ。良かったな。これからは自由だぞ。今後は、俺に、一切かかわらなくていい。どうだ、お前的には、最高のエンディングじゃね? ユーアァ、ラッキィ、ラッキィ、ラッキィ、ラッキィイ」
両手を『いいね』にしつつ、にこやかにそう言って、
「あそこから出て、まっすぐに進めば魔人の国がある。まずはそこに行くといい。お前の力があればなんでもできる。だが、暴れるのはおすすめしない。ザコばかりって訳でもないからな。以上だ。世界が想像通りだといいな。というわけで、ばいばい。しーゆー、あでゅー」
「確認させてもらうわ」
「……はぁ?」
センは、心底ダルそうに、頭をボリボリとかきながら、
「確認? なにを?」
「――『お前の全てをよこせ』。ワタシに対して、あなたは、確かにそう言ったわよね?」
「ぇぇ……ぁ、いや、あの、それはだねぇ、いわゆるひとつの――」
「もらってもらうわよ、ワタシのすべて。知らなかった? 言葉って重たいのよ。責任はとってもらうわ」
「……」
「ワタシは役に立つわ。いえ、役に立ってみせる。だから……側においてくれない? お願い」
その真摯な願いを受けて、センは、
「……」
面倒くさそうに、一度、天を仰いだ――が、
「……はぁ」
覚悟を込もった溜息をついて、
「まあいいや。好きにしろよ。もうどうせ、二人も抱えてんだ。三人になったところで、さほど違いはねぇ」
そこで、センは、アダム、そしてサイへと目線を向けて、
「ユン、アダム、サイ。お前ら、これから俺の手足。序列はアダムが一番上だ。その下にユンとサイ。以上。OK?」
「かしこまりました、主上様」
「はい、お父様」
「よし……」
満足そうに、一度頷いてから、センは、
「ん?」
と、疑問にぶつかる。
「……お父様?」
二度見の中で疑問符をなげかけてくるセンの元まで、
サイは瞬間移動してきて、優雅に片膝をつき、
「サイに『世界』を説いてくださった御方……そして、新たな命を授けてくださった偉大なる父……この身、この心、すべてが、この上なき神、すなわち、お父様のモノ」
「……いや、まあ、確かに、今のお前を司っているコアオーラは俺が創造したモノではあるのだけれども……」
そこで、サイは、センの言葉を遮って、
「生まれ変わってからというもの、お父様の側にいるだけで……距離が近づくだけで、」
顔を真っ赤にして、濡れた目で、センを見つめ、
「心が……満たされるのです。本当に、ありがとうございます、お父様……サイは……お父様の娘となれた事を……心から誇りに思います」
(わー、こいつも、『そっち』の属性かぁ……めーんどーくせぇ~)
と、そこで、アダムが、センとサイの間に割って入ってきて、
「神の子を名乗るとは、羨ま――不敬にもほどがある。主上様、サイの発言は、もはや反逆と言ってもいいでしょう。というより、反逆でしょう。それ以外のなんだというのでしょう。というわけで、御命令に従い、反逆者の首を落とします」
「お母様がそれを御望みになるのであれば、サイは受け入れます」
「……お母様……?」
「お父様は、サイを創造してくださった際に、サイの中に残っていた『お母様の部分』を正式に与えてくださいました。サイは、お母様とお父様の結晶……お父様とお母様の望みを叶える事だけが全て……サイの死が御望みとあらば、喜んで自害いたしましょう」
「……不敬な発言だ。その表現では、まるで、私が主上様の……のようではないか」
体裁を保ちながら、しかし、若干、小さくなった声で、顔を赤くしながら、
「愚か。極めて愚か。しかし、考えてみれば、貴様は主上様の所有物。『私の裁量で決めてよい』とは言われているが、この場に主上様が居られる以上、判断を仰ぐのは当然の事……」
そこで、アダムは、体ごとセンに視線を向けて、
「主上様……この者は確かに不敬を働きました。しかし、どうでしょう。主上様の偉大なる御力の前では、このような小物が何を言おうと虫の囁ささやきでしかありません。ここは、どうか、寛大な――」
「俺はなんも言ってねぇんだよ。勝手に盛り上がるな。とりあえず、お前らも、ユンも、ちょっと黙ってろ。諸々、あとで片付ける。今は、それより優先すべき事がたくさんあるんだ」
少し疲れた顔で、センはそう言った。
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