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相手はアカコーだ。三回コールドをめざすぞ
しおりを挟む「今日の相手、俺、知らねぇんだけど、強いの?」
「さすが、山田。赤松学園も知らないとは、そのチンパンっぷり、拍手に値する」
「あん? 竹井、てめぇ、やんのか、あん?」
「教えてやるから、キレるな。アカコーは、日本で十指に入る超進学校。勉強対決なら、こっちが三振パーフェクト級の完全敗北をくらう高校だ。胎児の時から参考書を読んでいなければ入れないほどのイカれた学校だそうだ」
「母親が参考書を飲み干さねぇと入れない高校か。楽しそうだな」
「須藤、確か君、一応、偵察に行ったんだよね? どんな感じだった?」
「知らーん」
「なんだよ、知らんって」
「見てないんだから知らん」
「はぁ? 偵察行ったんだろ?」
「練習してなかった」
「須藤、お前、運ねぇな。休みの日に偵察いくなんてよぉ」
「違う。運のよしあしでいえば、確かに、良くはない方だったが、しかし決して悪くはなかった」
「なんじゃそりゃ」
「どういう意味?」
「調べたところ、あそこ、週に二回しか練習してないんだよ。7分の2をはずしただけ。俺の運は良くも悪くもない」
「二? え、週二回だけ? 練習が? はぁ?」
「ぶっ……ぶははははは! 高校野球で週二?! そんな所あんのかよ! 今日の相手、すげぇな、おい!」
「それしきのことで笑ってもらっちゃ困る。アカコーの運動部は、三年の大半が五月に引退するのが通例になっていて、現在、三年は一人だけ。ほかはすべて一・二年とウチと同じような構成。ただ、ウチと違い、主力は一年だ。なんせ、二・三年が合わせて二人しかいないからな」
「……おいおい、なんかもう、すごすぎて笑えねぇよ。そんな状態で、なんで、甲子園大会に出場しようと思ったんだ? 近所のちっせぇ草野球大会でも初戦コールド待ったなしな勢いじゃねぇか。あいつら、ほんとに頭いいのか? ものすごいアホにしか思えねぇぞ」
「理由は、あいつかな」
言いながら、須藤は、マウンドで投球練習をしている男を指さす。
振りかぶって、鋭く腕を振る。
ほとんど同時に、ミットがいい音を出した。
「……およ? そこそこの球、投げてんじゃねぇか」
「練習は休みだったけど、あいつは一人で投げてたよ。一応、球速も測っておいた。見た時のマックスは135だった。ちなみに一年」
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