異世界帰りの彼は、1500キロのストレートが投げられるようになった野球魔人。どうやら甲子園5連覇をめざすようです。

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雑談

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「なんつーか、あの田中ってヤツ、マジ終わってるよな」

 クラスカースト一位の渡辺の言葉に、
 取り巻き連中(男三人女二人)が一斉に首をたてにふった。

 教室で一人昼食。
 それは、スクールカーストというシステムが明確に働いている空間では、決してやってはいけない愚行。

 もし、対策なく実行してしまうと、現状のトウシのような惨劇が待っている。


「あいつ、マジきもいんだけど」

「なんつーか、全体的に奇妙だよな」

「一生童貞って感じ? あはっ」

「てか、マジでさー、なにが楽しくて生きてんのかわかんないよねー」

「まあ、確かに空気は読めていませんね」

 ツカムのその発言は、場のノリに仕方なく合せている訳ではなく、純粋な本心からの言葉。

(トウシくんは天才級に頭がいいはずなんですけどね……どうして、あそこまで、日常ヘイトを集める愚行を繰り返すのでしょう……意味がわかりません)

「便所で昼飯食うヤツって、かなりヤバいヤツだとは思うけど、でも、田中と比べれば、そいつら、はるかに常識があるまともなヤツだと思うよな」

「てか、実際、友達いないって意味わかんないんだけど。普通に生きていたら出来るくない?」

「つまり、普通じゃないってことなんじゃない? あはっ」

「ま、普通じゃないよねー。あの人、目とか超怖いんですけどー」

「危ない人とかではないんですけど……まあ、普通ではないですね」

「なんだよ、佐藤。あいつのこと知ってんの?」

「同じ野球部なんですよ。まさか、あの人が入部してくるとは思っていませんでしたので、大変驚きました」

「え? てか、佐藤って野球部なの?」

「ええ、そうですよ。といっても、ジム感覚ですけどね」

「なんじゃ、そら」

「ウチの野球部は練習が週に二回なんですけど、練習の日は、トレーニングルーム使い放題なんですよ。そこにひかれましてね。ほぼダイエット目的です」

「ひゃはは! どんな理由で野球部入ってんだよ! てか、ここの野球部ハンパねー。練習、週に二回かよ。初戦で確実にコールド負けしてた中学の時の野球部でさえ、一応、練習だけは毎日やってたぜ」

「まあ、人数も揃っていないような部ですからね。ナベくん、どうです? 今なら、試合の日に遊びにくれば、出場できますよ」

「わざわざボコられになんか、いかねーよ、バカか。俺はマゾじゃねぇーんだよ」

「あはっ。てか、ほんと、すごい部だね! おもしろすぎ! むしろ、逆に応援行きたいくらいなんだけど!」

「どうにかまともな試合になりますように、って応援する感じ? 超ウケるんですけど」

 一旦、野球部の話に移ったが、

「てか、田中って、部ではどうなの?」

「どうといわれましても……うーん、まあ、普通に無視されている感じですかね。僕は、一応、キャッチャー志望なので、投手志望の田中くんとは、ちょこっとだけ話したり、一日に数球、お遊び程度に受けてあげたりしていますが」

「あはっ。佐藤くん、ポジションが体型通りでウケんだけど」

「え、てか、あいつピッチャーなの? あんな細っけーヤツには無理じゃね? てか、ぜってぇできねーだろ」

「球はクソ遅いですが、でも、コントロールはいいですよ」

「うわー、ぽいぽいー。どのスポーツやらせてみても、なんか、そんなポジションにいそうだよねー。力はないけど、小技はちょっとだけマシ、みたいな?」

「実は一番つかいものにならないヤツね、あはっ」


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