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女神のリスト
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「……」
「まあいいわ。ところで、調子はどう?」
「……それ、もしかして、今後、毎日聞くつもりか」
「現状、ほかにも目をつけている選手が十九人ほどいるけれど、潜在能力の高さはあなたが一番だと私は睨んでいるのよ。一番能力が高い人間に一番時間を使う。当然のことよ。それで、今日の調子は?」
「最悪だ……だが、あるいは最高に向かっているのかもしれない」
「は?」
「田中東志。あの男は、お前のリストに入って……いるわけがないな」
「田中? 誰?」
「チームメイトでウチの……いや、というか、自分でみつけろよ。それが仕事なんだろ」
「メインはスカウトではなく代理人なのだけれど、まあいいわ。田中東志……あなたが認めている男という事でいいのかしら?」
「そいつに……さっき打たれた」
「こんな学校に、あなたの球を打てるバッターが? ……へぇ、面白いじゃない。たぶん、マグレなんでしょうけど、それでも、一見の価値はありそうね」
★
家に帰ったトウシは、いつもどおり、ベッドにダイブし、
「三分類、あいつ、原石なんは確かやけど、内面的な問題が多すぎる……ワシ、あれをうまく使えるんやろうか……はぁ」
溜息がとまらない。
上手くいく未来が見えない。
「でも、あいつの存在は、正直、助かった。上手く扱えれば、不正を疑われん五連覇も不可能やない……」
不安はまだ山積みだが、わずかな光を見つけた。
トウシは、潰れそうになる心を必死に奮い立たせ、今後について、頭を悩ませる。
もちろん、厳しい。
どれだけ甘い計算をしても、必ずどこかで破綻する。
「ああ、頭痛がする。胃も痛い……マジでしんどい。かっこつけるん、さすがにもうヤメよかな……いや、でも……でも……」
トウシは必死に頭を回転させる。
弱音を吐こうが、グチをこぼそうが、
しかし、どんな時でも、考えることだけはやめない。
オーバーヒートしようが、脊髄が沸騰しようが、トウシは考えるのをやめない。
「ワシにしかできん仕事なんは事実……あいつらの前では、最後までかっこつけたる。そうやないと、真っ先にワシが折れてまう。この部屋を出た後は、どんな時でも、顎を上げて言え。これは……ワシにしかできん不可能やと」
魔法の呪文。
自分へのムチ。
へし折れないように。砕けてしまわぬように。
「不可能を、現実に、可能にするために、もっと考えろ……深く……深く……」
どんなに辛くとも、どんなに苦しくとも、トウシは必死に頭をまわす。
ずっと、そうやって、生きてきた。
彼は、それしか生き方を知らない。
トウシは――
「まあいいわ。ところで、調子はどう?」
「……それ、もしかして、今後、毎日聞くつもりか」
「現状、ほかにも目をつけている選手が十九人ほどいるけれど、潜在能力の高さはあなたが一番だと私は睨んでいるのよ。一番能力が高い人間に一番時間を使う。当然のことよ。それで、今日の調子は?」
「最悪だ……だが、あるいは最高に向かっているのかもしれない」
「は?」
「田中東志。あの男は、お前のリストに入って……いるわけがないな」
「田中? 誰?」
「チームメイトでウチの……いや、というか、自分でみつけろよ。それが仕事なんだろ」
「メインはスカウトではなく代理人なのだけれど、まあいいわ。田中東志……あなたが認めている男という事でいいのかしら?」
「そいつに……さっき打たれた」
「こんな学校に、あなたの球を打てるバッターが? ……へぇ、面白いじゃない。たぶん、マグレなんでしょうけど、それでも、一見の価値はありそうね」
★
家に帰ったトウシは、いつもどおり、ベッドにダイブし、
「三分類、あいつ、原石なんは確かやけど、内面的な問題が多すぎる……ワシ、あれをうまく使えるんやろうか……はぁ」
溜息がとまらない。
上手くいく未来が見えない。
「でも、あいつの存在は、正直、助かった。上手く扱えれば、不正を疑われん五連覇も不可能やない……」
不安はまだ山積みだが、わずかな光を見つけた。
トウシは、潰れそうになる心を必死に奮い立たせ、今後について、頭を悩ませる。
もちろん、厳しい。
どれだけ甘い計算をしても、必ずどこかで破綻する。
「ああ、頭痛がする。胃も痛い……マジでしんどい。かっこつけるん、さすがにもうヤメよかな……いや、でも……でも……」
トウシは必死に頭を回転させる。
弱音を吐こうが、グチをこぼそうが、
しかし、どんな時でも、考えることだけはやめない。
オーバーヒートしようが、脊髄が沸騰しようが、トウシは考えるのをやめない。
「ワシにしかできん仕事なんは事実……あいつらの前では、最後までかっこつけたる。そうやないと、真っ先にワシが折れてまう。この部屋を出た後は、どんな時でも、顎を上げて言え。これは……ワシにしかできん不可能やと」
魔法の呪文。
自分へのムチ。
へし折れないように。砕けてしまわぬように。
「不可能を、現実に、可能にするために、もっと考えろ……深く……深く……」
どんなに辛くとも、どんなに苦しくとも、トウシは必死に頭をまわす。
ずっと、そうやって、生きてきた。
彼は、それしか生き方を知らない。
トウシは――
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