異世界帰りの彼は、1500キロのストレートが投げられるようになった野球魔人。どうやら甲子園5連覇をめざすようです。

 『悪魔』に拉致られ、勝手に改造手術を施され、
 『野球の神様』との試合に無理やり駆り出された三人の高校生、田中・佐藤・鈴木。


 試合後、現世に戻された三人に悪魔は言う。

 『三年後にまた神と試合やるから。それまで鍛えておけ。
  あ、でも、お前ら魔人だから、練習とかしても意味ないぞ』

 魔人になった三人の身体能力は、絶望と希望を吸収することでしか上昇しない。

『幸い、お前らは高校生。うってつけの舞台がある』


 甲子園。高純度の絶望と希望で満ちている大会。


『とりあえず、最低ノルマは五連覇な』

 時速1500キロという異常な速度の球も投げられる野球魔人に改造されている三人なら高校生など楽勝でひねりつぶせるが、

『あ、神からの伝言。現世で野球やるのはいいが秩序は乱すな、とさ』

「おいおい、ふざけんな。ワシらの高校、超々進学校やで。万年一回戦どころか、毎年、出場すら危うい、野球に関しては超クソ高校。そこで五連覇? 達成してもうたら、バッチリ秩序が乱れてまう。前提から詰んでんねんけど」

 無理難題に挑む事となった三人の魔人。絶対不可能かと思われたその難題。
 だが、田中は活路を見出す。


 「最初から詰んどるゲームをひっくり返す。やったろやないか。ワシをナメんなよ」


 彼が導き出した答えは、その優れた頭脳をフルに活用し、『三年間、全試合、一投一打すべて緻密に計算して、完璧に、まぐれで勝っているように魅せる』という事。

 「ワシの頭脳ならできる。これはワシにしかできん不可能や。みとけよ、あほんだら」

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