ウイークエンダー・ラビット ~パーフェクト朱墨の山~

リューガ

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69.圧壊! 砲撃! 光の牙!

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 黒い大蛇の表面で強い雨も煮えたぎる。
 全身から生えた黒い刃で、意味もなく地面を切り裂きながら迫る。

 背中のコンテナ、120ミリ連装滑空砲を射つ!
 地上から射たれる多数の砲弾で、ずっと火花が散ってる。
 そこに二つ、わずかばかり大きな火花が散った。
 ホントに魔法炎らしい。
 砲撃が、まるで役に立ってない。
 それでも、ウイークエンダーの背の高さの分、そして目の前で射った分、目立つことはできたみたい。
 こん棒が、まっすぐこっちを向いた。
「こっちだよー」
 そんな意味をこめて、両腕を頭の上で大きくふってみる。
 もう一度連射して、訓練場の奥へ、道とは反対側へ走る!
 生身で戦うハンターキラーから安全な距離をとって、ブースターを噴射!
 ブースターが熱い泥を飛ばしたはずだよね。
「巨大ロボ以外は、下がってください!」
 みんな、ごめんね。 
 それでも、無視できない戦力があれば、敵はそれに向かうしかない。
 敵はこっちへ大きく首を、こん棒をめり込ませた部分を向けて。
 私たちには目もくれず、訓練場の出口へ向かった。
 そんな!
 車列は、あと少しで谷間をぬけるのに!
 最後にいるのは、はしご車!
 また連射する。
 もう振り向いてはくれなかった。
 しかも黒い炎の列は、まだまだポルタから引き抜かれてくる!
 しかも。
「また金属反応がでてくる!
 こん棒だよ!」
 私は訓練場のはしまできていた。
 立ち止まり、今度は山を駆け上がれないか考えた。
『選手交代!』
 地面と1.822トンの機体が、連続してゆれた。
 白い鉄板が、視界を右から埋めていく。
 ディメイション・フルムーンがドカドカ進んでいる。
 8.789トンの機体を、二足歩行モードで。
 全高が113メートルの巨人となって。
 足に無限機動がはめ込まれてる。
 それをドロ道に、めり込まないようにおろして。
『ドリャー!』
 黒い大蛇に殴りかかった。
 大蛇がはねて、同時にできた溝にめり込む。
 それでも、ポルタから大蛇のしっぽが、こん棒をめり込ませたもう1つの先端が引きぬいた。
 みつきは、その動きを予想していたらしい。
 腕で防いだ。
 こん棒の動きが止まった。
 ディメイションは、こん棒と付け根の魔法炎を抱えもって、こっちへ引きずってくる!
 谷間に向いていたこん棒が、こっちを向いた。
 私はそっちに砲口を向ける。

ズドン

 それより早く、巨大な熱エネルギーが空間を薙いだ。
 谷間のこん棒が、根本を赤く光らせている。
 レーザーだ。
 光で熱せられたんだ。
 さらにズドン!
 黒い先端がこっちへ押し返されて、こん棒がおれた。
 ウイークエンダーのとは比べ物にならない速度で砲撃が撃ち込まれたんだ。
 砲弾を電気で加速する、レールガンで。
 
 谷間の山の上に、青い巨人が立っていた。
 ウイークエンダーによく似た形。
 その両腕から、熱が、雨を白い蒸気としてしめされた。
 ブロッサム・ニンジャが来た。
 ウイークエンダーの同型機で、右腕にレールガン、左腕にレーザー砲をもつ。
『巨大ロボ以外は、訓練場からでました』
 ファントムが知らせてきた。
『全力で行けます!』
 
 それを聞いてディメイションが、押さえ込んだまま大蛇を、殴る!
 さらに、こっちへ蹴り飛ばす!
 だけど、大蛇も強い。 
 まだ残ったこん棒で私たちに向かってくる!
 私は前にでる。
 こん棒がつきだされる、正面に向かって。
 ぶつかる直前に横に飛んで機動をひねる。
 あんなのと正面からぶつかるなんて、まっぴらだ。
 ブースターで加速!
 すれ違いざまに、刃物にもなる拳をつきだす!
 やった!
 こん棒の持ち手は、切り裂かれた!
 続いて勢いよく迫る剣だらけの壁、胴体も!
「今だよ! 射って!」
 私はそのまま、しのぶのところへ走った。 
 ブロッサムの胸が。
 王冠のようにも見える4つの砲口が光ってる。
 私とすれ違いに、無限炉心に直結した、四連プラズマ砲が火を噴いた。
 上からは、パーフェクト朱墨が口を大きく開けて光を放つ。
 何らかの粒子を走らせる、ビーム砲だ!
 大急ぎで地面に伏せた。
 黒い大蛇は、炎の中に見えなくなった。
 一瞬おくれて、衝撃が来た! 
 黒い破片があちこちに吹き飛んで来る!
 炎はキノコの形になって、空に伸びていく。
 アッ。
 ポルタは!?
 ディメイションが、にらみつけていた。
 そしてポルタは、しおれるように消えていく。
 
「ね、ねえ。
 アレ何に見える?」
 安菜が聴いてきた。
「ぶっ飛んだ破片の中に、人の形したのがあるんだけど・・・・・・」
 震える声だけど・・・・・・。
 ほんとだ。
 焼けた土の上に転がるそれを、拡大して見る。
 それは灰色で、寸胴鍋のような胴体から、似たような丸太い手足。
 頭は首が回らない丸いヘルメットで、前と左右に丸い窓。
 破滅の鎧そのものだった。
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