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68.黒い打撃

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 青白い光!
 谷間の道を通っていた人や車が、あおられる!
 爆砕シールドの、いつもより大きい炸裂だよ。
 雨を一気に水蒸気に変えて、爆砕に巻き込んだんだ。
 谷間の道は2台が、やっとすれ違えるほど。
 車の列が急ブレーキをかけてとまった。
 背筋に震えが走る。
 身を乗りだして見た。

 良かった。
 車列は急ブレーキをはずして、また走りだしてる。
 逆光に、黒く見える長い物が飛ばされた。 
 巨大な放物線を描いて山に突き刺さったそれは、こん棒だよ。
 やっぱり。
 りっぱに太った木よりも、大きい!
 
 不気味な相手だと思う。
 こん棒に対する、並じゃないこだわりを感じる。
 どんな相手なのか想像もつかない。 
 
 地上でポルタへの攻撃がはじまってた。
 先頭にいるのは、ルイン・バードさん。
 カーキ色のカザミドリがのる流線型ボディから、口径60ミリ砲をだして射ちまくる。
 ホクシン・フォクシスの北辰も攻撃を始めた。
 朱墨ちゃんがいなくて4機になったけど、上空のパーフェクト朱墨と、新しい戦いかたをものにしてる。
 青いキツネたちは、訓練場の外の森にいた。
 木々の間から砲撃が飛び掛かる。
 道がなくても、高機動ロボットたちには邪魔にならない。
 自衛隊もきた。
 施設科の武器は、装甲を施された四輪駆動車に自動小銃。
 最低限の組み合わせだけど、ここで戦うのは、すごいガッツだよ。
 その後ろからも、さらにハンターキラーの装甲車や銃がつづく。
 でも、打撃力が足りない。
 雨あられと降り注ぐ攻撃は、黒い大蛇をつらぬけなかった。
 私は叫んだ。
「ディメイション・フルムーン! ファントム・ショットゲーマー! 
 援護して!」
 これで、2人が突っ込んで衝突することはない。
 ウイークエンダーを降下させる場所は、決めた。
 こん棒が当たらないように、すばやく左右に動きながら。
 それでも、パーフェクト朱墨にくらべればおそすぎる動きだった。
 優れている点があるとすれば、装甲と地上での機動性くらいだ。
 アレ?
 レーダーにポルタの中にあった金属反応が、ない?
 私はハンターキラーたちの上を、かすめるように飛んだ。

 ポルタの中に、見えた。
 むこうは、青空と、砂でおおわれた広場だった。
 地球のグラウンド、そっくり。
 そこに、黒い巨大な何かがたっていた。
 人間の腕みたいなもの?
 肩の部分を地面においてる?
 その横に、例のこん棒が山積みされてた。
 なるほどね。
 あの腕は投げつけに集中する。
 ポルタの出口を動かして、狙いを定めるわけか。

 水溜まりで滑ったけど、問題なく着地!
「グブッ!」
 あっ? 苦しそうなうなり!
 きつかった?! 安菜?!
「いえ、大丈夫。やっちゃって」
 お、仰せのまままに。

 ポルタから、黒い腕が飛びだしてきた。
 その手には、あのこん棒がにぎられている。
 もしかしたら、黒いものの先に、こん棒はつきささってるのかもしれない。
 動きからして、腕ではなく大蛇の化け物かもしれない。

 私は、ウイークエンダーの腕の装甲をスライドさせる。
 拳を守るためだ。
 しっかり中の取っ手を握りこみ、固定する。
 分厚い、鋭く角度が付いた装甲は刃物としても十分なんだ。

 それにしても、気になる。
 あの腕を形作る黒い物について。
 燃え盛る炎のようなスピードで、地面をすべる。
 まるで大蛇だ。
 その炎は、キラキラと宝石のように輝いている。
 アレは、地球の一般的な物理法則ではあり得ないものだ。
 私のポケットに入った、昴さんからもらったエニシング・キュア・キャプチャー。
 つまり、ルルディの魔法炎にそっくり?!

 ルイン・バードさんたちの攻撃は、こたえないみたい。 
 ならば!
 私は、飛びだした。 
 ねらうのは、こん棒をにぎる、手!
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