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66.何かが来る
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事件の結果、文華自身の首を絞めることになった。
責任を問われて、地球からは追放。
ルルディに逮捕されて、その途中に脱獄したの。
その足取りがようやくつかめた。
だけど、たとえ捕まえたとしても、「ざまあ見ろ」みたいな爽快感なんかないと思うの。
きっと恨みだけが募るよ。
ずっと募り続ける。
で、しのぶは。
『ボルケーナ先輩からの連絡。
お姉ちゃんたちの上空で、次元の歪みがあるって。
中から地球にはない異能力がもれてるって』
おやおや、いつものしのぶがもどってきたようだ。
『あった! これか。
ずいぶん小さいね』
ダークギャラクシーの検査結果が表示された。
見ていたみつきに、しのぶが答える。
『ブロッサムのセンサーを集中させて、ようやく見えたからね』
双子の声は、聞き分けにくい。
先輩は事件が起こると、太刀山のてっぺんへ飛ぶ。
そこが能登から海を越えて飛んでいけるし。
標高も百万山より高い。
観測の定位置なんだ。
そこで、しっぽをピーンとのばす。
先輩のしっぽは、レーダーになるの。
山の影でも回り込んできた反応で感知できる。
「文華?
ええ。知ってます。
そして、その人は裏切り者です」
そう先輩はそう言ったその日から、太刀山に飛んだの。
怪獣はその気になれば何年でも飲まず食わずでいられる。
だけど雨風にさらされる姿を考えると。
やっぱり心が苦しい。
『ボルケーナ先輩って、そんなに文華とやらを恨んでるんですか?』
朱墨ちゃん、しっくりこないみたい。
「先輩は直接あったことはないけど、その先輩が受けた被害は大きかったらしいよ」
安菜が言うなら、そうなんだろう。
『それにしてもこの、ポルタ?
ぐるぐる回ってるね』
『小さなポルタを多数だして、相互反応させることで大きなポルタにする方法はあります。
しかしそれなら、円形なり直線なりきれいに並べるはずですが』
朱墨ちゃんの議論に、アーリンくんが答えていく。
『バラバラに現れて、あれ?
流れていく?』
『あの動きで、何らかの紋章を書くのかもしれません。
待ってください。
似た紋章がないか、調べます』
良いコンビじゃない。
紋章か。
異能力を働かせるための、マーク。
1つの文字でもそれは働く。
現れた5つのポルタは、あれ?
バラバラな動きはそのままに、広がっていく。
5機のダークギャラクシーもそれぞれ追う。
それらの形は文字には見えない。
300、400、500、メートル。
私たちの上からはいなくなった。
でも、ホッとすることなんかできない。
離れる速度はまちまちだ。
1キロメートル以上離れるものもあった。
『ポルタが拡大しているのは確かです。
内側からの異能力も増大中。
何かが出てくるのは確実です!』
アーリンくんの断言に、自分の中て混乱が広がっていく。
『何これ。
キロ単位で離れていくよ!?』
慌てるみつき。
『・・・・・・重力の過剰反応かもしれません』
アーリンくんが説明してくれる。
『異能力者を多数そろえた状態でポルタを開くと、物理法則が微妙な違いがある場合、重力に反応して、あのようにポルタがずれることがあるのです』
いつも部活動で送ってくれるテレポーターたちは・・・・・・。
あれは同じ世界だね。
状況をはっきり言ってくれたお陰で、少し頭が冷えた。
「アーリンくん。今のポルタが動いていく現象について、テキストにして全局へ送って」
『あ、あの。こちらのコンピュータには、まだなれてなくて・・・・・・』
『私がやります』
朱墨ちゃんが変わった。
『しゃべった言葉を文章にする方法があるんだよ』
そっちは大丈夫そうだね。
あ、あれ?
ポルタが1つもどってきた!?
責任を問われて、地球からは追放。
ルルディに逮捕されて、その途中に脱獄したの。
その足取りがようやくつかめた。
だけど、たとえ捕まえたとしても、「ざまあ見ろ」みたいな爽快感なんかないと思うの。
きっと恨みだけが募るよ。
ずっと募り続ける。
で、しのぶは。
『ボルケーナ先輩からの連絡。
お姉ちゃんたちの上空で、次元の歪みがあるって。
中から地球にはない異能力がもれてるって』
おやおや、いつものしのぶがもどってきたようだ。
『あった! これか。
ずいぶん小さいね』
ダークギャラクシーの検査結果が表示された。
見ていたみつきに、しのぶが答える。
『ブロッサムのセンサーを集中させて、ようやく見えたからね』
双子の声は、聞き分けにくい。
先輩は事件が起こると、太刀山のてっぺんへ飛ぶ。
そこが能登から海を越えて飛んでいけるし。
標高も百万山より高い。
観測の定位置なんだ。
そこで、しっぽをピーンとのばす。
先輩のしっぽは、レーダーになるの。
山の影でも回り込んできた反応で感知できる。
「文華?
ええ。知ってます。
そして、その人は裏切り者です」
そう先輩はそう言ったその日から、太刀山に飛んだの。
怪獣はその気になれば何年でも飲まず食わずでいられる。
だけど雨風にさらされる姿を考えると。
やっぱり心が苦しい。
『ボルケーナ先輩って、そんなに文華とやらを恨んでるんですか?』
朱墨ちゃん、しっくりこないみたい。
「先輩は直接あったことはないけど、その先輩が受けた被害は大きかったらしいよ」
安菜が言うなら、そうなんだろう。
『それにしてもこの、ポルタ?
ぐるぐる回ってるね』
『小さなポルタを多数だして、相互反応させることで大きなポルタにする方法はあります。
しかしそれなら、円形なり直線なりきれいに並べるはずですが』
朱墨ちゃんの議論に、アーリンくんが答えていく。
『バラバラに現れて、あれ?
流れていく?』
『あの動きで、何らかの紋章を書くのかもしれません。
待ってください。
似た紋章がないか、調べます』
良いコンビじゃない。
紋章か。
異能力を働かせるための、マーク。
1つの文字でもそれは働く。
現れた5つのポルタは、あれ?
バラバラな動きはそのままに、広がっていく。
5機のダークギャラクシーもそれぞれ追う。
それらの形は文字には見えない。
300、400、500、メートル。
私たちの上からはいなくなった。
でも、ホッとすることなんかできない。
離れる速度はまちまちだ。
1キロメートル以上離れるものもあった。
『ポルタが拡大しているのは確かです。
内側からの異能力も増大中。
何かが出てくるのは確実です!』
アーリンくんの断言に、自分の中て混乱が広がっていく。
『何これ。
キロ単位で離れていくよ!?』
慌てるみつき。
『・・・・・・重力の過剰反応かもしれません』
アーリンくんが説明してくれる。
『異能力者を多数そろえた状態でポルタを開くと、物理法則が微妙な違いがある場合、重力に反応して、あのようにポルタがずれることがあるのです』
いつも部活動で送ってくれるテレポーターたちは・・・・・・。
あれは同じ世界だね。
状況をはっきり言ってくれたお陰で、少し頭が冷えた。
「アーリンくん。今のポルタが動いていく現象について、テキストにして全局へ送って」
『あ、あの。こちらのコンピュータには、まだなれてなくて・・・・・・』
『私がやります』
朱墨ちゃんが変わった。
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そっちは大丈夫そうだね。
あ、あれ?
ポルタが1つもどってきた!?
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