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26.私たちのバーストした授業

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キーンコーンカーン

 休み時間が終わった。
 次の授業、歴史の準備をしないと。
 このチャイムの音色も、鳴ってからのドタバタも、たぶん全国共通じゃないかな。
 心のモヤモヤは切り替わらないけど、切り替えていかないと。
 {臨時 暗号世界&MCO国際会議}の時、私に一気に集まった、あの熱狂。
 一晩過ぎたらなくなっていた。
 それとも、気を使ってもらってるのかな?
 そういえば、石川県はお役人天国だと聞いたことがある。
 お役人なら、お店のつけも、それ以外のこともある程度自由自在、という意味だよ。
 私の場合は、基本週末だけだけど。
 だから乗ってるのもウイークエンダー(週末の)・ラビット(うさぎ)。
 私はお役人なんだね。
 だけどそのせいで、仲間が言いたいことを言えないとすれば、それは良いことではないよね。
 それでも頭を切り替える環境としては、ありがたいよ。
 そうだ。放課後には久々にサークル活動できるんだ。
 わーい!
 それを目標にしていくぞ!

 今日の歴史は第二次朝鮮戦争だった。
 あの戦争は私の幼い記憶にもチラッとある。
 日本のすぐ近く、日本海を渡ってすぐのところで起こったから。
 原因は2010年代に見つかった。
 北朝鮮からロシアや中国へ向けられた核兵器が。
 まさかと誰もが思った、同盟国同士の戦争。
 あっという間に燃え広がった。
 直接戦火をまじえただけでも、日本や周辺諸国まで。
 それに関する情報なら、私たちパイロットには必須科目だよ。
 覚えておかなくてはいけない兵器。
 思いだすのも嫌な悲劇。
 そして、そこにいてほしくなかった人たち。
 数えきれない戦いと被害のはて、終戦はした。
 でも、終戦を認めたくない人は、恨みが焦げ付き、こびりついた人たちは、今でも確かにいるんだよ。

 この時間は、いやがる脳をなだめて終わりそう。
 そういえば、前回の授業は明治時代だった。
 維新とか、大日本帝国の誕生とか。
 明治。
 そういえば、メイジーって女の子がいたね。
 SF映画で、恐竜をクローン技術でよみがえらせたら暴れまわる人気シリーズの終わりのほうにでてた。
(メイジーが走る、明治神宮。プププ)

 そういえば、こういう大昔を学んでいても時々現代を学ぶ歴史授業のやり方は、バーストの後に始まったんだった。
 突発的な事態に正確な判断を下すためには、歴史教養を養わなければならない、として決められたの。

(そういえば、か)
 この思考パターンとも長い付き合いだね。
 怪獣とか戦とか、怖いことを考えたくないから、(そういえば)を繰り返して関係ないことを考え続ける。
(もう、クセになっちゃった。普段の会話で出ないようにするの、めんどうくさいな)

 そういえば、ついでに私たちの戦略の根っこから思い出しておこう。

 バースト。
 20世紀末とも言う、20年くらい前に発生した、世界規模での超常発生現象。
 人間の中から、数万人に一人の確率で異能力者を現した。
 そういう人たちのための学校が、魔術学園。
 そういえば、あちらの教室はどれでも豪華なの。
 ガラス張りを多くした全体が明るい校舎。
 教室も個性的で円形なのもある。 
 特別、と言うか廊下と普段使いの教室以外の、部活用の部屋は絨毯がしかれ、シミ一つない。
 扱いが丁寧なのか、もしかすると、いつもリフォームしてるのかもしれない。

 異能力者のほかにも現れたものがある。
 怪獣だよ。
 文字どうり、怪しい獣。
 サイズはポケットに入るものから、普通の動物の姿をしたもの、何十メートルも百メートル00超えるあるものもいる。
 異能力者と同じ力を持ち、ボルケーナ先輩みたいに人間的な意思を示すこともある。
 時には嵐や地震などの自然災害を引き連れてくる。
 そうなると被害は増えるばかりだ。
 そして、その強大な力を狩猟に使う捕食者が、ハンター。

 ハンター・キラーはハンターを狩る者。
 私の週末の仕事。

 ウイークエンダー・ラビット。
 私の乗る巨大ロボット。
 鉄板を溶接したゴツゴツ装甲は、首さえない。
 鉄骨を組み合わせて防弾ガラスをはめ、各種センサーを詰め込んだキューポラになってる。
 塗り抜かれた鮮やかな赤がトレードマーク。
 格闘戦に特化した人型。ただし脚は逆関節。
 バースト直後に計画がスタートした第一世代。
 バーニング・エクスプローラー型2号機。
 高さは53,1メートル。
 重量1,822トン。
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