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第4章 王都

第36話 呼ばれたよ

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「うっ。腹が……」

「もう。残りが我が食べたからいいものの、欲張りすぎではないか?」

「違う!量が多すぎるんだよっ!なんだあれ!ライオンか虎の餌か!?ブロック肉は嬉しいけど、美味しかったけども、人間の食べる量じゃないよ」


目の前に新鮮なブロック肉が置かれた時、これどういうことだ!?とあまりの大きさにビックリ仰天。飲食店で見かける全部食べたらタダになるアレに等しい。
相変わらず、Jはキラキラとした目をしてブロック肉を見ている。
半分をナイフで切り取り、ステーキと言うぐらい贅沢に焼き上げていく。もう半分はJにあげたのだが、危うく生肉のまま口にしそうになった。
もともと竜だから問題ないが、流石に人間の姿で食べるのはまずい。見られたら困るので止めておいた。
食べていくに連れ、肉のボリュームが半端なくお腹がきつくなってくる。

胃が限界を迎えたときは、喋る余裕がなく、残りはJにあげる始末。それでも全部平らげたJは凄いと思う。中身は竜であるからな………。


「もう暗くなっているし、どっか泊まる場所を探そっか」

「丁度あそこにホテルがあるぞ」


指を指した方向は、俺ですらドン引きしてしまった。それちゃう、ホテルだけどそれちゃうっ!それ、ラ○ホですけど。ジェシカさんとかに誤解される。


「別のホテルにしようか」

「我はここがいい!ここのベッドはふわふわして寝やすかったのだぞ」

「入ったことあるの!?」

「?うむ。人間の姿だと寝床が必要であるし、あまりホテルの種類とか知らないからな。人間でも野宿できるのになー」

(天然にも程があるだろうがっ!!)


で天然とはこういうことか。一つ一つの発言が俺の疲労を増す。
ある程度知ってるとおもってたが、想像以上人間の常識を知らないとは……。
ああ、だからロロゼラ街とか王都に来て、人間を勉強してたのかな。


「Jは人間の事はそんなに詳しくないんだな。喋り方で知識豊富な竜と思ったんけど」

「これはどこかの偉い人が喋ってたから、真似しただけで。それにこの言葉遣いを変えてから、皆ビクビクして我を見てたよ。リューは分かるか」


Jが大きいのと、目付きが鋭いからだと思います。
俺でも最初はびびったからな。俺が小人で、Jが人間みたいな差があるもん。
竜やドラゴンは第一印象が悪と思われる事が多いから、そのせいかと。


「………前の喋り方はどんな風だったのか、気になった」

「前の喋り方が聞きたいのか。……気持ち悪いぞ?」

「別に気にしないよ。それがJの素なら、好きにやったらいいし、J自身が決める事だろうよ?」

「………やっぱり、人間は変わってるな」


何か思う事があったのか、俺を置いて歩き始めた。


「ホテルの事だが、実は必要ないんだよ」

「野宿する気か」

「王都まで来たというのに、野宿するわけない。ここに来る前に、頼んでいた物が届くということだ」


いつ頼んだのか知らないけど、それが届いたらどうする気?
怪しんでいると、遠くから誰かに呼ばれた。
こちらに向かって来るのは、俺と同世代に近い眼鏡をかけた男性だった。大きい袋を抱えながら、営業スマイルで近づいてくる。


「遅くなりましたー!私は『OKINIO』の店長を勤めています!ツイン・ワードと申します。ご注文された物を持ってきました!」


営業スマイルを崩さずに自己紹介をする男性。
抱えている袋がJが注文した品で間違いないようだ。


「ありがとう。お代はどれくらいで」

「一番安くするとしたら、これぐらいで」

「うーん、もう一声」

「……これはどうだ!」


道のど真ん中で商売が始まった。敢えて言うが端でやってほしかった。人の眼から逃れる為、その場から離れる。
遠くから眺めていると、商店街の方で怒鳴り声が聞こえた。
ロロゼラ街の時みたいになっていたら、面倒なので取り敢えず見に行くだけ行ってみる。






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遅くなりました!今年初の更新です。



次回、アイリスの気持ち。
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