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第4章 王都

第49話 ボス(幹部)③

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ひーちゃんは長い鎌を握りしめ、化け物と向かい合う。
離れるなと言われたら離れられず、何も出来ないでいる。俺は接近戦だ。遠距離戦は得意ではないので、見る事しかできない。
ピピもひーちゃんおねーちゃんの言葉の指示に従い、同じく見守っている


「そぉーれぇ!!」


鎌を化け物に向けて投げつけた。化け物は勿論邪魔だとばかりに腕で弾き飛ばす。
すると、鎌は消えた。


(消え……あ!)


鎌はくるくると回転しながら、今度は化け物の後ろに現れた。
ひゅんひゅんという音に気づいてすぐまた弾き、また消えて、横からまた。

これはまさか。


「ワープ、させてるの、か?」

「正解だよ。竜くん。遠心力を利用して私の魔法で鎌を操って、別の方でワープの魔法を使う。それを合わせて鎌を封じない限り続く無限ループ攻撃。化け物の近くに鎌を出現させる演出だよ。これも初めてやる事で持つかどうか………」

「良い方法じゃないか、それだけで助かるよ。ひーちゃん」


これなら上手く時間を稼げる。相手はワープし続けてる鎌に目を取られてる。一時的に逃げ切ればJ達と合流出来る筈。
俺は二人の手を取り、ささっと距離をとる。
移動する際、ピピは赤毛の三つ編みを揺らして疑問をぶつけてきた。


「……………おにーちゃん。さっきの魔物さんは……何か、不自然じゃなかった?」

「不自然?気になる事でもあったのか」

「……………うん。あの魔物さん。何かに、飢えているのかな。それっぽいの感じるの」

「飢えている?あの魔物はその何かを求めているか。ピピ、何か分かるのか」

「………産まれたばかり?だよね。魔物さんはきっと……鎌ってちゃんなのかな。子供みたいにはしゃいでる感じが、そう見えたの」


確かに戦った俺でも分からなかった。はしゃいでる様には見えなかったが……。
じゃあこうか。今逃げているのをUターンして遊んでこいってか。戦ってる俺の身にもなってくれよー。
パンチを防がれたんだぞ。


「折角逃げてきたんに……。はぁ、戻らなきゃ駄目か?」

「………おねーちゃんからも言って」

「突然私にふる?」


ピピ、やめて。俺の味方を減らさないでくれ。


「……わかった、竜くん。ピピちゃんの言った通り逃げるのは良い選択かもしれない。でも、魔物を放置して良いこともある?」

「無いです」


やべ、即答しちゃった。結局Uターンかよ。
まだ走り初めてそこまで遠くもないし近くもない。俺の拳を受け止める程の魔物と戦うのは乗り気になれなかった。
でも、ひーちゃんの頼みでもあるからな………。


「わかったわかった。一応引き返しても俺が勝てるかどうかわからない。俺自身勝てる見込みがないし、あの鎌みたいに時間稼ぎは出来るかどうかも……」

『珍しく弱気だな。リュー』

「………J!?」


耳に付けてあった通信機からJの声が囁かれた。
繋がっていた事に気づかなかったが、そこで俺の台詞を振り返って全て聴いていた事に………。
ハズイ。


『何とか繋がったようだな。うむ。リューがそこまで弱気になるのはこの数ヶ月少なかったな。……一つ教えよう。リュー達が戦おうとしているのは魔人だ。魔物とは訳が違うぞ』

「魔人?魔物に入ってる訳でもないのか」

『違うな。魔物とは違い、人間と同じく考え学習能力を持っている。そこまでの知能を持っていると上位幹部の魔物か魔王の生き残りが生まれ変わったと考えてもおかしくない』


魔物とは違い理性を持っているか……?
あの満足とかいう奴は、霧から産まれたばかりならまだ知識は無いに等しいかもしれない。
それに逃げるのは駄目な選択だったかもしれない。

だって、森がボロボロに倒されていたり切り刻まれてるのだから。原因は、魔人であることを物語っている。


「……こんな短時間に、何が」

「り、竜くん。あそこに倒れてるのって……魔物、だよね」


魔人の近くに血が流れた魔物が倒れており、ぴくりとも動こうとしない。
魔人は分かってしまったんだ。魔物が死ぬ度々霧が産まれ、魔人は力が強くなる。自身を強化するために仲間である魔物を殺してしまった。
魔人は俺達に気付き、振り返る。
さっきみたいに襲いかかることはなく、冷静になっていた。
何故分かるか?産まれたばかりの魔人から感じていたオーラが今と変わっていたからだ。


「逃げたかと思ったよ。おれに怯えて逃げたくせに」

「なっ!……喋れるようになったのか」

「そーですねー。周りで戦っている人間を見て学びましたから。自分は魔物の力を吸収して強くなる事を。ねぇ」


無邪気な子供みたいな魔人ではなく、知性を持った魔人に変わっていた。
知性を持てば相手の行動を読まれたり、戦い方が変わってくる。様々な魔物の力を取り込んだ魔人は、思った以上に手強い。
身体能力も上がってると見込んで、俺から出る事にする。


「また殴りにかかるか。学習能力の無いバカだな」


また止めにかかろうとする魔人の手に、俺はーーー












笑った。


 


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ピピ「………一周年小説で言ったよね。投稿を遅れないようにって」

滑る「うぅ」

ピピ「………何してたの?」

滑る「ちょっとリアルで……用事が、ね」

ピピ「………ゲームばっかしてるからだよね。しかもP○4のG○Oにはまりまくって経験値稼ぎばかり」ブツブツ

滑る「ああ!そんなことよりファンタジー小説大賞に出ます!!9月にぜひ投票お願いしますっ!!!」

ピピ「誤魔化した」




次回、決着
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