19 / 22
敵地潜入? 残されたふたり…!
シーン4
しおりを挟む
「…よしっと! これでひとまず大丈夫だろ? シーサー、いいからとっとと張り倒しちゃえよ、そいつはもうただのでくの坊なんだから! あとのヤツらもこんなカンジでやっつけていこうぜっ…と、もうそろそろなんだよな?」
しれっと言いながらどこかしら無関係な空の方角を見上げてるみたいなでかいクマ、ならぬでかい旧型のアーマーに、内心で苦々しくした新型アーマーのパイロット、オオカミは舌打ち混じりに毒づく。
「なにがシーサーだ! 馴れ馴れしいこと当たり前みたいに抜かしやがってからに、おまけに今のはおまえがそのでかいアーマーで相手をふんじばって、そのスキにこのオレさまが背後に回ってエンジンぶっ壊すほうがよっぽど合理的だろうが? おい、そろそろってなんだ??」
ひょっこりと出てくるなりあれよあれよと突拍子もないことの連続で、さすがに警戒心が色濃く顔に出るシーサーだ。
また良からぬコトをしでかすのかとモニターの中の呑気な顔したクマに問いかけるに、そのでかいアーマーのコクピットに収まったでかいクマは、まるで屈託のない笑顔で言ってのける。
「まあ、ちょっとした援護射撃ってヤツをね? さっさきの信号弾が上がって5番隊が戦線を離脱したら、テキトーにぶっ放してくれるようにお願いしてあるんだ、リドルに! だからもうそろそろ、あっちの東の空から対地ミサイルがワラワラ降ってくると思うんだけど…!」
「なっ、なんだと!? わらわらって、おまえっ、こんな状況で連装ランチャーぶっ放して、まともに標的なんて狙えるもんかよ! 最悪こっちまで巻き添え食らっちまうぜ!! ていうかもっと早くに言いやがれ!!!」
ガッチリと組み付いていた今は糸の切れた操り人形みたいな七番隊のアーマーを無理矢理地面にたたき伏せてみずからも明後日の空を見上げるオオカミだ。
白く曇った東の空に朝日がさしてあたりは多少明るくはなるが、むしろ逆光で空から飛来するというものが見づらかった。
センサーは濃霧に邪魔されてまともに使えない。
両目をひたすら凝らして焦りまくるシーサーに、忌々しいことあっけらかんとした張本人、ベアランド自身はまた笑ってぬかすのだった。
「いいんだよ。当てる気なんてないから、元からね? アーマーの撃破でなくて、むしろこっちのキリに向けてだからさ。威力もちゃんと抑えてあるから、最悪直撃しても小破か中破止まりなんじゃないかな? 当たらないのが一番だけど♡」
「小破か中破って、てめえマジでバカなんじゃねえのか! 味方の援護射撃で被弾するだなんてまっぴごめんだぜっ、てかこんなもん援護射撃だなんて言えるのかよっ!!?」
「あはは! いいからいいから、それよりもほら、おいでなすったよ? ほんとにワラワラと♡ 当たるも八卦当たらぬも八卦ってね♡♡」
「ふっ、ふざけんなよっ! うおおおおおおおおおっーーー!!?」
どこまでも呑気なでかいクマ、ベアランドが言った通り、上空からはいくつもの飛来物が長い尾を引いてこちらに迫るのが薄曇りのモニターの中にうっすらと確認ができる。
反射的に逃げ場を求めて当たりを探っても平たく拓けた平地のここでは物陰などがどこにも見当たらない。唯一、視界の隅に映ったモノに、なかばやけっぱちでアーマーの操縦桿を押し倒すシーサーだ。巨大な重量を低減する重力装置を切っているから一歩一歩が歯がゆいことこの上ないが、どうにかギリギリで唯一の遮蔽物の影に入ることができた…!
直後、周囲でいくつもの着弾と爆発音、爆風が巻き起こる!!
(あちゃ~、今回は挿絵、失敗しました…! ニュアンスだけです♡)
「うおっ、おおおおおっ、くそったれ!!」
「あっははははははははは! 大丈夫だって、ちゃんと落下地点をまんべんなくバラすように設定してあるし、炸裂弾じゃないんだから♡ 至近弾くらいじゃビクともしないよ♪」
ミサイルの嵐はあっという間に巻き起こってあっと言う間に過ぎ去っていた。
その後に身を隠していたコクピットの中で顔を上げたオオカミが見たものは、すっかりと視界の晴れた空に東の地平線から顔を出す朝日のまぶしいまでの輝きだった…!
しれっと言いながらどこかしら無関係な空の方角を見上げてるみたいなでかいクマ、ならぬでかい旧型のアーマーに、内心で苦々しくした新型アーマーのパイロット、オオカミは舌打ち混じりに毒づく。
「なにがシーサーだ! 馴れ馴れしいこと当たり前みたいに抜かしやがってからに、おまけに今のはおまえがそのでかいアーマーで相手をふんじばって、そのスキにこのオレさまが背後に回ってエンジンぶっ壊すほうがよっぽど合理的だろうが? おい、そろそろってなんだ??」
ひょっこりと出てくるなりあれよあれよと突拍子もないことの連続で、さすがに警戒心が色濃く顔に出るシーサーだ。
また良からぬコトをしでかすのかとモニターの中の呑気な顔したクマに問いかけるに、そのでかいアーマーのコクピットに収まったでかいクマは、まるで屈託のない笑顔で言ってのける。
「まあ、ちょっとした援護射撃ってヤツをね? さっさきの信号弾が上がって5番隊が戦線を離脱したら、テキトーにぶっ放してくれるようにお願いしてあるんだ、リドルに! だからもうそろそろ、あっちの東の空から対地ミサイルがワラワラ降ってくると思うんだけど…!」
「なっ、なんだと!? わらわらって、おまえっ、こんな状況で連装ランチャーぶっ放して、まともに標的なんて狙えるもんかよ! 最悪こっちまで巻き添え食らっちまうぜ!! ていうかもっと早くに言いやがれ!!!」
ガッチリと組み付いていた今は糸の切れた操り人形みたいな七番隊のアーマーを無理矢理地面にたたき伏せてみずからも明後日の空を見上げるオオカミだ。
白く曇った東の空に朝日がさしてあたりは多少明るくはなるが、むしろ逆光で空から飛来するというものが見づらかった。
センサーは濃霧に邪魔されてまともに使えない。
両目をひたすら凝らして焦りまくるシーサーに、忌々しいことあっけらかんとした張本人、ベアランド自身はまた笑ってぬかすのだった。
「いいんだよ。当てる気なんてないから、元からね? アーマーの撃破でなくて、むしろこっちのキリに向けてだからさ。威力もちゃんと抑えてあるから、最悪直撃しても小破か中破止まりなんじゃないかな? 当たらないのが一番だけど♡」
「小破か中破って、てめえマジでバカなんじゃねえのか! 味方の援護射撃で被弾するだなんてまっぴごめんだぜっ、てかこんなもん援護射撃だなんて言えるのかよっ!!?」
「あはは! いいからいいから、それよりもほら、おいでなすったよ? ほんとにワラワラと♡ 当たるも八卦当たらぬも八卦ってね♡♡」
「ふっ、ふざけんなよっ! うおおおおおおおおおっーーー!!?」
どこまでも呑気なでかいクマ、ベアランドが言った通り、上空からはいくつもの飛来物が長い尾を引いてこちらに迫るのが薄曇りのモニターの中にうっすらと確認ができる。
反射的に逃げ場を求めて当たりを探っても平たく拓けた平地のここでは物陰などがどこにも見当たらない。唯一、視界の隅に映ったモノに、なかばやけっぱちでアーマーの操縦桿を押し倒すシーサーだ。巨大な重量を低減する重力装置を切っているから一歩一歩が歯がゆいことこの上ないが、どうにかギリギリで唯一の遮蔽物の影に入ることができた…!
直後、周囲でいくつもの着弾と爆発音、爆風が巻き起こる!!
(あちゃ~、今回は挿絵、失敗しました…! ニュアンスだけです♡)
「うおっ、おおおおおっ、くそったれ!!」
「あっははははははははは! 大丈夫だって、ちゃんと落下地点をまんべんなくバラすように設定してあるし、炸裂弾じゃないんだから♡ 至近弾くらいじゃビクともしないよ♪」
ミサイルの嵐はあっという間に巻き起こってあっと言う間に過ぎ去っていた。
その後に身を隠していたコクピットの中で顔を上げたオオカミが見たものは、すっかりと視界の晴れた空に東の地平線から顔を出す朝日のまぶしいまでの輝きだった…!
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

異世界へ五人の落ち人~聖女候補とされてしまいます~
かずきりり
ファンタジー
望んで異世界へと来たわけではない。
望んで召喚などしたわけでもない。
ただ、落ちただけ。
異世界から落ちて来た落ち人。
それは人知を超えた神力を体内に宿し、神からの「贈り人」とされる。
望まれていないけれど、偶々手に入る力を国は欲する。
だからこそ、より強い力を持つ者に聖女という称号を渡すわけだけれど……
中に男が混じっている!?
帰りたいと、それだけを望む者も居る。
護衛騎士という名の監視もつけられて……
でも、私はもう大切な人は作らない。
どうせ、無くしてしまうのだから。
異世界に落ちた五人。
五人が五人共、色々な思わくもあり……
だけれど、私はただ流れに流され……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる