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前編
しおりを挟む朝の閑静な住宅街で二羽のカラスが会話をするように鳴いていた。
一羽がカーカーと鳴くともう一羽が相槌を打つようにカーカーと鳴き始める。
『ほんと人間ってのは馬鹿ばっかりよな。そのくせ自分たちが生き物の頂点に立っているかのような振る舞いを平気でしてくる』
『実際、生物の頂点は人間様なんだから仕方がないんじゃないか』
『だとしても、先人達が死物狂いで努力してきた成果が今の繁栄であって、なんもしてないその他大勢が偉そうに振る舞うのは癪でしかないな』
『まあ、言わんとしていることはわからんでもないが……』
『この前も駅前で馬鹿な人間共が喚いていたぞ』
『人間が喚き散らすなんて日常茶飯事だろ』
『それもそうだが、このご時世で外国でもないのにデモ行進なんて久々に見たわ』
『へえ、この最近のこの国じゃ珍しいじゃないか。さぞ迫力のある大名行列じみたデモ行進だったんだろうな』
『残念ながら、それがそうでもないんだわ。なんなら、朝の大学に向かうバスの方が並んでいるレベル』
『あれは値上げして客から運賃を巻き上げる割に、まったく従業員へ還元しないバス会社が馬鹿なだけだろ』
『あ、そうなん。だから運転士がどんどん辞めて本数が減っていく負のループに陥っているわけか』
『そうそう。で、手遅れなレベルにまで人が減って、ようやく自分たちが愚かな行いをしてきたと上層部が気がつく頃には会社ごと無くなるってわけだ』
『現場を軽視するからそうなるってなんでわからんかね。従業員は代替え可能なロボットじゃねえよ』
『それで何の話だっけ』
『いや、十人くらいのデモ行進がヤバいって話。もう忘れたのかよ、さすが鳥頭』
『お前も同じカラスなんだから鳥頭だろ……。というか、十人ってさすがにすくなっ』
『取り巻きの警官の方が多くてどっちが主役かわからんかった』
『それで、どんなこと訴えてたん』
『それがな、地震で救助や復興が進まんのは原発や核兵器のせいとか、訳分からんこと言ってて』
『???』
『マジで陰謀論かよって思ったわ。能登半島が山ばっかりで道が狭いってちょっと調べればすぐ出てくるのにアホなんか』
『それはそれは……。情報弱者って見ていると可哀想に思えてくる話だな』
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