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第一章
休日はお兄ちゃん(財布)とデートしたい。#03
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☆☆☆
知らないビルの雑多な廊下を一人で歩く。
雰囲気だけで言えば文化祭の準備をしている学校のようだ。
だが奥へと進むに連れて廊下に置かれた物が少なくなり、それと同時に静寂さも増していく。
そして他のメンバーが待っているであろう部屋の前へとたどり着く。
ドアに耳を近づけてみるけれど、室内から物音は聞こえてこない。
まだ誰も来ていないだけか、それとも気配を殺しているのか――。
ドアノブに手を伸ばそうとすると、触れてもいないのにドアノブが勝手に動き、ドアが開いた。
「……あ」
「……ども」
室内から出てきた人物と目が合い互いに軽く会釈する。
顔をあげて再び相手の顔を眺めると、どこか見覚えがあった。
それは相手も同じだったのか――。
「あ! あんた、最終審査の時にいた痴女やろ!」
「誰が痴女だよ……。というか、今日はさすがにメイド服じゃないんですね……」
「……普段からメイド服は着てへんわ。それに今日は高校生っぽい制服で来いっちゅう話やったしな。あんたはまたパンツ見せながらここまで来たんか?」
ゲラゲラ笑いながら大声でそんなことを尋ねてくるメイド服。
私は奴を睨み付けながら。
「いや、そういうキャラじゃないし……。てか、なんで合格しちゃったの? やっぱり賄賂? それとも審査員と寝ちゃった感じ?」
「うちの魅力的なボディーで審査員を悩殺――やないわ! あんたおもろいけど失礼な奴やなー。まあ、うちのギャグの方がもっとおもろいけどな!」
ねじ曲がった対抗心持たれても困るんだよな……。
とりあえず、彼女を押しのけて室内に入ろうとするが、なぜか腕を強引に掴まれた。
「……なあ、ちょっと面貸してくれや」
「は、はあ……」
私は彼女に腕を掴まれたまま抵抗できずにどこかへと連行されていく。
初日から無理矢理連行してくる奴がいるとかヤバいアイドルグループだな、ここ……。
知らないビルの雑多な廊下を一人で歩く。
雰囲気だけで言えば文化祭の準備をしている学校のようだ。
だが奥へと進むに連れて廊下に置かれた物が少なくなり、それと同時に静寂さも増していく。
そして他のメンバーが待っているであろう部屋の前へとたどり着く。
ドアに耳を近づけてみるけれど、室内から物音は聞こえてこない。
まだ誰も来ていないだけか、それとも気配を殺しているのか――。
ドアノブに手を伸ばそうとすると、触れてもいないのにドアノブが勝手に動き、ドアが開いた。
「……あ」
「……ども」
室内から出てきた人物と目が合い互いに軽く会釈する。
顔をあげて再び相手の顔を眺めると、どこか見覚えがあった。
それは相手も同じだったのか――。
「あ! あんた、最終審査の時にいた痴女やろ!」
「誰が痴女だよ……。というか、今日はさすがにメイド服じゃないんですね……」
「……普段からメイド服は着てへんわ。それに今日は高校生っぽい制服で来いっちゅう話やったしな。あんたはまたパンツ見せながらここまで来たんか?」
ゲラゲラ笑いながら大声でそんなことを尋ねてくるメイド服。
私は奴を睨み付けながら。
「いや、そういうキャラじゃないし……。てか、なんで合格しちゃったの? やっぱり賄賂? それとも審査員と寝ちゃった感じ?」
「うちの魅力的なボディーで審査員を悩殺――やないわ! あんたおもろいけど失礼な奴やなー。まあ、うちのギャグの方がもっとおもろいけどな!」
ねじ曲がった対抗心持たれても困るんだよな……。
とりあえず、彼女を押しのけて室内に入ろうとするが、なぜか腕を強引に掴まれた。
「……なあ、ちょっと面貸してくれや」
「は、はあ……」
私は彼女に腕を掴まれたまま抵抗できずにどこかへと連行されていく。
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