過去は輝く。けど未来は未だに見えない。

ぽやしみ仙人

文字の大きさ
上 下
8 / 23
第一章

休日はお兄ちゃん(財布)とデートしたい。#01

しおりを挟む


「――エントリー番号5番ですがどうしますか?」

「……悪くは無いけど、何か光るものが見当たらないんだよね」

 都内某所にあるビルの会議室。
 そこでは『明日ハレ』のメンバー選考会議が行われていた。
 室内の前方に置かれたホワイトボードには、最終審査に勝ち上がった十数人の写真が貼られている。
 写真の横にはそれぞれ評価を示す記号が書かれ、一人だけ◎で他は皆○や△になっている。

「じゃあ4番はどうですか?」

「……あのメイド服か。外見だけで中身が見えてこないんだよね……」

「3番はどうです?」

「うーん、優等生なのは伝わってきたけど面白さが無いんだよね……」

「では1番は?」

「……学力的に不安だよね。今年高校受験らしいし……」

「8番とかどうですか?」

「歌は上手いけど演技が絶望的だよね……」

「うーん、10番」

「10番はしっかりしてるし最年長だけど、高校生には見えないよね……」

「どうしましょうか……」

「そうだね……。本当にどうしようか……」

 どの子も長所を持っているけれど、短所がどうしても目立ってしまうような気がしてなかなかメンバーを決められずにいた。
 一人は確定しているが、残りの六人が絞り込めない。
 今まで数多くのアイドルをプロデュースしてきた春木プロデューサーでさえ決めあぐねているのだから、そう簡単には決定しないのだろう。
 けれど全員合格というわけにもいかないので、六人を誰にするのか決めなければならない。

「まあ、長所は伸ばしていって、短所に関してはこれからに期待するしかないね……」

「そうですよね……。現時点で完璧なのは13番だけですし……」

「13番はさすがというか、やっぱり容姿だけじゃなく才能も遺伝なのかね……」

 そう春木プロデューサーは呟き、小さく嘆息しながら天井を見上げる。
 その顔はだいぶ疲れ切っていて、まだまだメンバーが決定するまで時間がかかりそうだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

四条雪乃は結ばれたい。〜深窓令嬢な学園で一番の美少女生徒会長様は、不良な彼に恋してる。〜

八木崎(やぎさき)
青春
「どうしようもないくらいに、私は貴方に惹かれているんですよ?」 「こんなにも私は貴方の事を愛しているのですから。貴方もきっと、私の事を愛してくれるのでしょう?」 「だからこそ、私は貴方と結ばれるべきなんです」 「貴方にとっても、そして私にとっても、お互いが傍にいてこそ、意味のある人生になりますもの」 「……なら、私がこうして行動するのは、当然の事なんですよね」 「だって、貴方を愛しているのですから」  四条雪乃は大企業のご令嬢であり、学園の生徒会長を務める才色兼備の美少女である。  華麗なる美貌と、卓越した才能を持ち、学園中の生徒達から尊敬され、また憧れの人物でもある。  一方、彼女と同じクラスの山田次郎は、彼女とは正反対の存在であり、不良生徒として周囲から浮いた存在である。  彼は学園の象徴とも言える四条雪乃の事を苦手としており、自分が不良だという自己認識と彼女の高嶺の花な存在感によって、彼女とは距離を置くようにしていた。  しかし、ある事件を切っ掛けに彼と彼女は関わりを深める様になっていく。  だが、彼女が見せる積極性、価値観の違いに次郎は呆れ、困り、怒り、そして苦悩する事になる。 「ねぇ、次郎さん。私は貴方の事、大好きですわ」 「そうか。四条、俺はお前の事が嫌いだよ」  一方的な感情を向けてくる雪乃に対して、次郎は拒絶をしたくても彼女は絶対に諦め様とはしない。  彼女の深過ぎる愛情に困惑しながら、彼は今日も身の振り方に苦悩するのであった。

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

GIVEN〜与えられた者〜

菅田刈乃
青春
囲碁棋士になった女の子が『どこでもドア』を作るまでの話。

余命半年の俺と余命3年の君

yukkuriSAH
青春
脳に腫瘍が見つかり、余命半年と告げられた清輝。病院に入院中、凄く綺麗な女性に遭遇する。女性も余命3年だと言われ、自然と仲間意識が沸いた。清輝と女性の(名前はお楽しみ)胸キュン&感動の物語!

本屋の中の喫茶店

Hatton
青春
フラッと入った喫茶店で、なんとなく思いついて書き始めたやつです。 一話一話が5分程度で読める短編集なので、お気軽にどうぞ

処理中です...