過去は輝く。けど未来は未だに見えない。

ぽやしみ仙人

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第一章

私たちの今は停滞か衰退かわからない。#03

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「今までも花見川さんだったり、美浜さんがグループを離れてもキャストの交代は無かったでしょう? もし仮に森小路さんが引退することになってもきっとそんなことにはならないわよ……」

 そう呟きつつ、リーダーはタバコの火をつけて紫煙を吐き出す。
 その視線は、何か思うところがあるのかどこか遠くを見つめていた。

「――でも、これ以上メンバーが減るとグループとしての体裁が維持出来ないかもって、スタッフが言ってた気がするわ」

「元々七人だったのに、二人去って二人休業中じゃそうなるよな……。今じゃ私とリーダーと博士しか活動してないわけだし……」

「高峰さんもいつ復帰するかわからないらしいし、当分は三人で頑張るしかなさそうね……」

 リーダーが大きく嘆息する。
 私も小さく息を吐き出し、星が疎らな空を見上げた。

 ――高峰立たかみねたち

 彼女は巨大な爆弾を抱えているという噂がある。
 それこそグループの命運を左右してしまうような爆弾。

「――高峰って本当にデキてるのか?」

「……さあ、わからないわ。たとえ本人に聞いたとしても否定されるでしょうね」

「でもお見舞いも拒否って、やっぱり噂通り妊娠してるんじゃないのか?」

「それはあなたがただ単純に嫌われているだけじゃないかしら? ほら、人の振り見て我が振り直せとも言うし、同族嫌悪みたいなものじゃないの」

「いや、なんでそうなるんだよ……。確かに二人で馬を見に行ったこともあるけど、私ギャンブラーじゃないし……。あいつみたいに、馬券十万で勝負! とかやってないんだよな……」

 しかもそういう時に限って勝った例しがなく、だいたい打ちひしがれている。
 さらに勝つ時は最小単位の時で、払戻金はマックス千円まで一セット――それが高峰のギャンブルのパターンだ。

「確かにあなたは高峰さんみたいに、金貸してくれって言ってこないわね……」

「え、あいつリーダーまで金借りに言ってたのかよ……。ヤバいな……」

 高峰立は完全なるギャンブラーだ。
 アイドル活動で得た給料を元手に、馬とボートと自転車で稼いで生計を立てるとか豪語してたくらいだし……。
 でもそう上手い話はどこにも無く、よくメンバーに金貸してくれと泣きついていた。
 そんな彼女はイケメンの芸人と付き合っていて、しかも妊娠しているらしいと風の噂で聞いた。
 休業の理由も表向きは体調不良なのだが、彼女は特に持病などはなくギャンブル依存症以外は健康そのもので、妊娠しているからだとすれば合点がいく。
 しかもお相手であるその芸人は私たちの出演している冠番組のMCなので、なかなかその話題を切り出そうにも切り出しにくい。
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