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しおりを挟む「確かに実籾の運が非常に悪く、バスの故障を偶然引き当ててしまう――という説明には、たとえそれが事実であったとしても説得力がありません。物事には限度というものがありますので、実籾が意図的にバスを壊しているという疑いを掛けられてしまうのも無理はありません」
会議室にいた誰しもが納得したように頷く。
一番前の席に座っていた所長代理や副所長はこそこそ話をしながら、時おり勝ち誇ったような笑みを浮かべていた。
「続いてこちらのグラフをご覧ください」
四街道がそう口にすると同時に、画面が切り替わりまた円グラフが表示された。だが、円グラフには文字が出ていない。
「こちらは先日中央営業所で行ったアンケートの結果になります。どういうアンケートかと言いますと――」
円グラフの内容が表示され、会議室内が一気にざわざわと騒がしくなった。
「『軽微な故障が発生し、すぐに工場に相談しましたが「運行しても大丈夫だが出来れば使ってほしくない」と、歯切れの悪い解答がありました。あなたは翌日の車両を誰に配車しますか? なお、予備車が無く他の営業所からも車が借りられなかったとします』
『数日後に計画整備がある車で、定期点検の基準走行キロを大幅に超過している場合、誰に配車しますか? なお、予備車がなく他の営業所から車が借りられなかったとします』
という二つの質問からは非常に面白い回答が得られました」
もちろん、問いは五択の選択肢から選ぶようになっていた。
選択肢は一番から順に、
『指導部』
『組合役員』
『ベテラン』
『故障が比較的多い運転士』
『通常通り配車』
となっていた。
普通であればトラブルが起きても問題なく対処出来る指導部やもしくは組合役員を選ぶはずであろう。
けれど、実際に選ばれたのは――。
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