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第二章 異世界というものは

No.33

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そして、昼をまわり奏歌とロドリヌス、ミリオン、……シャルとお昼ご飯を軽く取ることにした。
もちろん、テントの中で。
だって、流石にあの人数分はないし……もともと『採取』のクエストのために作ったご飯だしね。
そろそろ、買い出しもしなきゃなあ。
なんて、呑気にしていた時でした。

「「「きたぞっ!」」」

とおもてが騒がしくなり始めた。

「来たようだな。」
「ええ、予想よりかなり早いわね。」
「……敵?」
「ええ、来たわ。」
「魔力からすると、ブラックドラゴだが……。」
「行って来るわ。」

ミリオンが立ち上がり、テントから出て行く。
ブラックドラゴ……見てみたい。
食事の時に、うちらのステイタスやらを教えるか迷ったけども、やっぱり帰ってからにした。
なんか、心配事が増えそうだしね。

「ロドさん、うちらも外に行こう。」
「そうだな。だが、俺の結界から出るなよ?」
「「はーい。」」
「よし、いくぞ。」

外に出ると、まだかなり遠い位置にその黒いものはいた。
なんだ、アレ!

「やはり、まだ完全に再生する前に無理矢理動かした感じだな。いや、勝手に動いてるのか?」

……キモい。ドラゴなんて、ドラゴンに失礼だと思う。
……ナメクジだよ。アレは。
黒いナメクジ……又はヒル。体の一部がないのか、左から半分がグロく抉れて溶けてるみたいだった…少しずつ増えてるように見えるのは、してるのかな?
でも、何故か……しかいないのだ。
そう、召喚したっていわれている人間が
盗賊も誰も……いない。
逃げたのかな?

「喰われたな……。」

ロドリヌスが、ボソリと呟く。
え?
喰われた?なんで?
だって、召喚したってことは道具として使うためなんだよね?
自分たちが喰われたら意味なくない?

「これを見越してか、それともブラックドラゴが制御しきれず暴走したか……多分、喰った分再生しはじめている筈だ。」

だから、肉が盛り上がるようになってんのか、キモい……はっきりいってものすごーくキモいぞ。
キモカワにもならない!
ドラゴンならカックイイ!って言ったかもしれないけどなあ。

「ショウ、アレ気持ち悪いね。」
「うん。」

はっきり言って、回れ右して帰りたいです。
後にヌメヌメした黒い分泌物が……うん、黒ナメクジに決定していいかな?
あっ!そーだよ!スマホ鑑定すりゃ、わかるじゃん!

ピッと鑑定ボタン(が出来てたよ……神様ストーカーは相変わらず見てるらしい。)に触れると鑑定された。

ーーブラックドラゴ
ーー闇属性
ーー物理弱点/海水
ーー属性弱点/光
ーー攻撃/ブラックブレス、酸、毒を吐く
ーーブラックドラゴの通った後は、草木一本生えない死の大地に変わると言われている。
剣は溶かされる恐れがある。
また、破壊捕食行動しか頭にないため『満腹』にはならない。
常に食べ続けることができる。
中のコアを破壊しないと再生しつづける。高難易度の魔物である。

……まんま、ナメクジじゃん。

せっかく緑が蘇ったのに!また、なくなっちゃうじゃん。いや。もうすでになくなり始めているけど。
ん?
あれ?
おや?

「なんだ?」
「あれ以上進んで来ない?」
「なぜだ?」

「……ソカとショウの再生させた場所に入れない?」
「いや、入った途端傷ついている?」

兵たちが頭を傾げる中、ミリオンとロドリヌスが分析している。
んー、私らの力が通用しているってこと?
……でもなあ。これ以上目立つのはなあ。
ぶーーーー。

「光魔法……で効くのね。」

ん?もしかして、属性ってわかってないの?

「ブラックドラゴが闇とは、知らなかったな。
アレを倒したことはないからな。
何せ、魔法も剣も効かないんだよ。光魔法じたい持ってる奴は少ないんでな。」

ミリオンが剣を取り出す。
うわあ、綺麗な剣。柄の部分はシンプルなんだけど、刀身が綺麗な剣だよ!

「『光を纏え、シャイニングソード!』」
「「「ミリオン様に続け!」」」
「「「勇者に続け!」」」

ミリオンが光を纏った剣を手に、ブラックドラゴに斬りかかる。
さっすが!勇者!ただのオネエじゃないね!
それにほかの者も後に続く。
でも、ブラックドラゴに傷を負わせると毒が吹き出すらしい。

「「毒をさけろ!」」
「「酸にきをつけろ!」」
「「くっ、再生する。」」
「「うわあ、食われる!」」
「だめ、下がって!」

あれ?再生力が上がってる?

「くっ、喰って力が上がってるのか?」
「ロドさん、なんとかできない?」
「わからん。アレ程の回復力は、初めて見るな。
もしかすると、わざと喰われるように仕向けたか?
アレを国に?」
「ロドさん、ブラックドラゴってロドさんでも無理?」
「……未だに、弱点がわからん。」
「ん?」

弱点?
……まだ、知られてないの?
あれ?

「きゃーー!ミリさん!」

ソカの悲鳴に我にかえる。
コレは、目立つ目立たない……言ってる場合じゃないんじゃないか?

「ちなみに、ロドさん。私がやっつけたら……まずいかなあ。」
「できるのか?」
「たぶん?」
「……後のことはなんとかする。」

と頼りになるお言葉をいただきました!

「王宮は無しの方向で!」
「わかった。だが、危なくなったら下がれよ?」
「うん。」
「私は大丈夫だから、ロドさん。ま、ショウについて行って?」
「え。ソカが危ないのはやだ!」
「大丈夫!私も結界を張ってみる。だから、ほら。
きゃー!!ラナンさんが!」

見るとラナンの肩に、酸が!ジューって!
ギャーーーーーー!ゆるさーん!
ラナンは、ラナンは、女なんだから!
カッコいいけど!
筋肉モリモリだけど!
なかなか、綺麗にしないけど!
女の子なんだからね!

「ラーナーンー!」

私は、二人を置いてラナンの元に駆け出した!


ーー奏歌視点ーー

「うわ、まて!ショウ!ソカ、張れたか?」
「うん、どお?」
「…無詠唱か、まあ、いい。大丈夫そうだな。いってくる!」
「ま、ショウをお願いします!」
「おう!…て。速いな!加速!」

ロドリヌスさんも慌てて、ショウことママを追っかけていった。
しっかしママ、早いなあ。
アレ、体力大丈夫かなあ。持つのか?
あ、ちゃっかりティアまでフードの中に入ったまま行っちゃった。顔出してるし。
私はどうしようかなあ。
うーん。
『聖なる歌い手』って変わってたよね?
なら応援歌でも一曲披露する?しない?
んふふ、しましょうよ!
ねえ?せっかくだもん。

私は、負けないように精一杯の気持ちを歌に込めたのだった。








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