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第二章 異世界というものは
No.5
しおりを挟む「うるさい。お前らまとめてうるさい!
いいか?クレオン。
俺は今日改めて、結婚の承諾が欲しくてだ……ショウを招いたんだ。
でだ。
俺が結婚したい相手を見たいって言うから一緒にいることを許してやった。
な・の・に だ!
なぜ、余計なことで二人を不快にさせてるんだ?
二人を怒らすなら、どこかに消えてくれ……。
いや……そうだな、俺が二人を連れて出て行けばいいのか。それでいいか?ショウ、ソカ。」
「……そだねえ。でも、結婚は承諾する気はにゃいよ?」
「……何故……いや、それも後でゆっくりと話そう。」
私を抱っこし直して、ソカを連れて部屋を出て行こうとする。
「転移で、行くかな?」
「どこにいくの?」
「とりあえずは、俺の部屋でいいかもな。はあ、最初からそうしておけばよかったな。」
「んー、まあ。いいけども。あのさ、ラナンさんを連れていってもいいかな?」
「ラナン?」
「そう。」
「ミリオンではなく?」
「なんでミリさん?やっぱり、女同士だからいいかな?って。」
「いや、それでいいなら。」
「まて、俺たちも行く。」
ハリーがロドの肩を掴む。
「……はあ、面倒くせえな。」
「ハリーしゃん。らなんさんがいたら大丈夫だよ?はにゃす、だけだし?」
「そうではなく……。そうだな。はっきり言わないのでは権利はないか……。ショウ、俺はお前がその……好きだ。結婚を前提に付き合ってほしい。」
「……やっぱり。」
ボソリと奏歌がつぶやく。いや、まてまて。
ねえ?
二人とも……よく見て?
私、幼児だよ?まだ小さい子供だよ?恋愛相手にならないよ?
「あのさ。あたち、まだ3さいにゃんだよ?
『結婚』っていわれても……こまっちゃうんだよ?
あ、つかぬことをおききちますが、かくにちます。
このせかいはいくつになったら、けっこんできるの?」
「あ、それ、私も聞きたい。」
奏歌も食いつく。
「まあ、普通は成人の16だね。でも、貴族やなんかは、14くらいから婚姻を結ぶし。早ければ10くらいには婚約したりもするよ?」
ラナンが代わりにさらりと答えてくれた。
「んーー?」
つまり、奏歌は射程内ってことじゃない!
まじか!マジなんですね。
つまり、奏歌を守らなきゃじゃん!
「つまり、ま…ショウは、完全にまだまだってことだよね?
なのに、もう婚約したいわけ?
待てないの?」
うん、私も思う。今は、私に対してだけどさ。奏歌と私が逆の年でだったら私は許さないと思う。
でもね、常識として三歳の私になを言ってるの?って思う反面、あたしもとは38歳なわけじゃない?
だからね……。
「何を言っているんだ?
当たり前だろう?こんなに強くて可愛いんだぞ?
誰かに取られる前にって、誰でも思うだろ?
俺はな、1000年以上待ってようやく見つけたんだ。たしかに初めは同じ魔力を感じたからだ。それは認めるさ。
でもな?話せば話すほど、離したくないと思ったんだ。くるくると変わる表情も、ハッとするほど大人びた顔も、姉を大切にする優しい心も、その全てに惹かれた。
だから、幼児だとしても!約束だけでも取り付けたいのが男だ。」
「ふーん。まあ、ショウに無理強いしなきゃいいかな。私はショウが楽しく生きていけるならいいって思うし。まだまだショウのなかの思い人一位は私だし?そうそう譲る気はないけど……でも一番は
ショウの気持ちだと思うしね。」
そうだよ、私の一番は奏歌なんだよ。
奏歌の話にハリーも加わる。
「俺もだ。俺も初めて欲しいと思ったんだ。ゆっくりと俺を知ってもらって。
……もちろん、結婚自体は体も心も育ってからで構わないと思っていた、だが、まさかロドリヌス様までとは。」
「ま…ショウ、どうする?」
「……はあぁ、もう。どーしゅるも……二人の気持ちはうれちいけどもね。ソカがいったように、まじゅは、せいかつするのが、せえいっぱいなのよね。
だから、ごめんなしゃい。
ただ、いっちょにいたいって、ろどしゃんは言ったよね?」
「言った。」
「んー、家をつくるって。」
「言った。」
「んーと、ソカとあたちをげしゅくさせるのは、どっかな?って、おもったの。
今のあたちは、まだ人をしゅきににゃれるかわかんにゃいんだもん。じっさいには『いつか大人になって』からだとちても、『結婚』とかを考えたりするよゆうが、あたちにはにゃいんだ。
だから、しゅぐに答えをっていうにゃら、ごめんなさい。『さようなら』しましゅ。たよることもちないでしゅ。
それは、ロドしゃんもハリーしゃんもおんにゃじなの。」
それが私の今の精一杯。
「もし……家を建てたら一緒には住んでくれるってことか?」
ロドリヌスが静かに聞いてきた。
うん、家は嬉しい。
だって、いつまでも宿屋暮らしもね。この街は大きいし、まだまだ知らないことも多い。
なら、最初に大きい街にいるんだもんココを拠点に色々と活動というか、冒険したり勉強したりしたい。
「んと、げしゅくって形?だよ?ちゃんと、お金払う。ふぃふてぃーふぃふてぃーでね?」
「ふぃふ?」
「んと、対等な関係ってことにゃら、お世話ににゃる。」
「つまり、俺に養わせる気はないということか?」
「そう。」
50/50の対等で。
大家と借主ってことで、やっていきたい。
ちょっとバーニーズっぽい、ロドリヌスのことも、セントバーナードのようなハリーも嫌いじゃない。
「わかった。だが、求愛行動はさせてもらう。」
いやいや……求愛って。
子供だよ?幼児だよ?そこは控えてほしいなあ。
「俺もだ。」
ハリーもかい!いや、二人とも、私の年わかってるよね?
「あの、行き過ぎた行為は
この私が許さないんだからね?ま…ショウが嫌がることをするならすぐに二人でいなくなるからね?」
「「わかった。」」
ロドリヌスとハリーの二人は仲良く返事をした。
そう、当人おいてけぼりで、奏歌が話を締めた。
「じゃ、話はこれでいいのかな?なんか、結局立ち話みたいになっちゃったけど。」
そうだね、部屋へ行くこともできなかったしね。
まあ、いいけども。
しっかし、私のどこがいいのか、私にもわかりません!
でも、これでお家に暮らせるねえ。キッチンだけは使いやすくしてくれるかなあ。憧れのシステムキッチン♡
あ、魔法で自分のサイズとかにできるかな?そしたら便利だよね。
「じゃ、建てる家を決めよう。俺の部屋に行くぞ。」
「いや、帰るよ。お家はお任せって言うか。とりあえず、ショウがキッチンを使いやすいように作ってくれたらいい。部屋はショウと私が同じ部屋で。お風呂があるといいな。くらいかな?後は、臭くなければいいよ。」
うんうん。それでオッケー。
「いや、でも。な?まだいいだろ?朝飯を一緒にだな。茶すらしていないし。」
「すまんが、いいか?」
後ろから声がしているが、ロドリヌスはガン無視している。
「うまい菓子もあるぞ?」
もはや、私たちを引き止めるのに必死になるロドリヌスは、私たちしか見ていない。
「おい!わしを無視するな?」
「そうだ!あのピッアノも運ぶか?家を建てたら!」
「え?いいの?」
ピアノに反応した奏歌に、ロドはニンマリとほくそ笑んだ。
絶対に奏歌を味方にする気だな。
「おい!無視をするなというに!」
金の鎧のおっさんが、とうとうキレて、でかい声をだした。
それに、頷くように銀の鎧たちが言葉をはっする。
「そうだ、たとえロドリヌス様でも陛下を無視なさいませぬように。」
「そうです。まして、第二王子も第一王子も揃っているでありませんか。」
「それに、英雄様も次期様も。」
「そうじゃそうじゃ、陛下はともかく、儂まで無視しおって!
第一、ハリーよ。
なんじゃまだ継ぐ気にならんのか?のう?儂はいつまで現役でおれば良いのだ?いい加減、楽にしてほしいんじゃが、嫁を貰うなら『英雄』はよいぞ!」
赤い鎧のじい様が、なんか不思議なことを?
んー?
銀の方々が、なんか今?
えーと、ちょーっと整理しようかなあ?
はい、まずは残念王子が第二王子。
で、ミリオンを兄上と……ということは?
つまり、ミリオンが第一王子!
ってこと!!
だから、なんか優雅なのかな?
でも、第一王子がオネエでいいのかい?大丈夫?
で?
金の方が陛下と?
つまりは王様!じゃない!
それをまるっと無視して大丈夫なんですか?ロドリヌス!
……でもある意味ロドリヌスのが偉いみたいなこと言ってたな?
で、英雄様と次期様で……。
継ぐ継がないをハリーに言っているってことは、ハリーって次期英雄?様?なんじゃそれ!
でいつまで現役でというってことは……ん?
あれ?じい様が現英雄?ってこと?
ま じ か!
まじですか!
なんで?なんで揃ってんのよ!
というか、ミリは王子だったの?
で、ハリーは次の英雄?まじですか!なんだろう……このカオス。
「……ショウ、やっぱ帰ろうか?」
うん、まじで帰りたいです。
もーツカレタヨ。
来たばっかなのに、なんでこの世界はなんでも濃ゆ!
心底、帰りたいです!
「うん。」
「まてまて。帰るなんて言わないでくれ。大丈夫だ。安心しろ!
うっとおしいなら、飛ぶ。
な?だから。」
「んー、でもさ。なんか睨まれてるし?」
「だれに?」
いや、あの女騎士とメイド?さんたち?女の集団に?
体もおっぱいもおっきい女性の方々が睨んでますよー。
そうなんだよねえ、突き刺さるんだよ?
ねえ、視線が。
それにほら?聞こえません?
コソコソと聞こえよがしな嫌味が!男性陣には聞こえない魔法でもおつかいですか?
ーーなに?あのチビ。
ーー次期英雄様やミリオン様、クレオン様までですわよ?
ーーそれに、子持ちの子供なの?
ーー貧相な体でたぶらかすなんて。まあ、はしたない。
ーーまあまあ、庶民はアチラが上手いのではなくて?
ーー言えてますわ。ふふふ。
うーん、やはり聞こえる聞こえる悪口万歳!だ。はは。
「なんか。濃ゆいの。もーすでにおつかれモードだよ。」
「ほーんとに。」
「ならば飛ぶか。よし。とりあえず、ラナン?ソカを抱っこしろ。飛ぶ。」
「あいよ。」
「まて、俺もいく!」
「ついてこれるなら……な?」
ソカを抱っこしたラナンの腕を掴むと、私を抱いたままでロドは力を使った。
「面倒は、本当に嫌だなあ。まったく、面倒くせえ。」
そう呟いたロドリヌスに親近感は覚えるが、その『面倒』を持ち込んだ本人には言われたくないと思う私なのだった。
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