上 下
2 / 69
レポ1〜明成と異世界〜

ああ、思ったねえ。そんなだったら笑笑って。

しおりを挟む


たぶん?
死んだはずだった……。
ふわふわゆらゆら……なぜか、しろーい、ひろーい空間に漂う俺。
あれ?なんで?
これがあの世?
うーん。不思議な感覚。

『あの、すみませーん。』

ん?声?

『えっと、清水明成さん35歳であってます?』
「はい。」
『よかった、見つかった。』
「みつかった?」
『はい。もー、あなたねえ。死んでから50年も探しました。』
「は?俺、今死んだ気が……。」
『ああ、その体は時間の概念から外れるんで……。』

そうなのか……俺はフレッシュ死にたて気分なのに、実際には中古品のような状態なのか……人は死ぬといつのまにか中古扱い……悲しい。
ってか、いつのまにか、85歳とかっ!いやだわ!
マジで?
いやー!

『あのっ!魂に時間の概念ないからっ!第一、普通は皆フレッシュの魂のままで迎えと会うからっ!』

あれ?俺、声出した?

『出しても出さなくても、同じ。』

そうなんだー。楽ー。

『……能天気さに磨きがかかってる気がするんですが……。』

そう?もともと、能天気だよ。

『まあ、いいです。で!あなた、50年も見つからないと思ったら……こんなありえない所で!
はあ……この中で魂のままでいられるなんて……普通じゃない!』

はい?

『……とりあえず、無事でよかったですが、まずは、移動しますよ?』

移動?

と疑問に思った瞬間、グイッと引っ張られて、気がついたらちゃぶ台と座布団と何故かブラウン管テレビがあるthe昭和的な部屋にいた。
で、さらにわけがわからないことに、俺の大好きなカップラーメン『スー◯ーカップ』味噌があった。
だが、名前はパクリで『スパークラーメン』と書いてある。
やはり、著作権の問題なんだろう……か?
それが目の前を浮いているじゃあないか……何故?
そして……。
ピー!とヤカンのお湯が沸く音……。
すると、ラーメンカップの蓋が半分開き中から美少女……ではなく、ナルトを顔にしたキ◯ローの◯父のような小人が出てきた。
……ラーメンに浸かってるけど。

『ねえ?君の神様のイメージって!なんなわけ!』

いやいやいやいやいや………………あっ⁉︎あー、前に食べた時、ちらっと思ったわ。うん、そうそう。
こっからナルト小人が[やあ、神様だよ?筋肉は好きかい?]って出てきたら、笑えるーって思った気がします!

『……きみ、神様舐めてる?』

ナルトだから、食べたいかな?

『か、神様を喰う気⁉︎』

いや、食わんけどさ。
で?とりあえず、神様?落ち着いて?

『なんで、さあ、きみの方に主導権があるの?
……でも、話も進まないから、とりあえず座って。』

イエッサー!
スタンっとジャンピング正座してみた。気分だけ。だって、わかんないが魂だけみたいだしぃ?
神様?にため息つかれたけど、キニシナーイ。

『で、まあ、きみが死んでから魂のままで50年も行方不明になったので……現代の地球には転生できないんだよ。』

ふーん。そうなんだ。
しかし、なんか初めと喋り方変わってない?
雑になった気がする~。

『いや、きみね……。きみもね、大概だからね?だから、もう、体裁を整えるのやめたよ。
で、まあ。まず、説明するよ?
実はさ…………。』



と話を聞くと、まあつまりなんだ。

俺、殺されず助かる

本当は加害者が死ぬはずだった

でも俺が死んだ

加害者は、助かる→警察へ

急に変更で魂が行方不明に

神様筆頭に捜索

↓50年の年が流れ…神…諦めムード

魂の反応がまだあることに気づく

神様、魂発見機完成!

やっとたましい見つかる!

という話で、俺が漂っていたのは……全ての物質を『魔素』に変えてしまう『魔素空間』とかいうらしく、全ての『魔法世界』を支える魔力の源なんだとか。
俺がいた世界にはパイプがないので、『魔法』はなく『科学力』が発展するらしい。ここだけの話、科学力を力に変換できる超能力者は、存在するらしい。それがいわゆる『伝説の魔法使い』として伝記的に残っている……らしい。
で、本来なら神ですら一年持つかわからない『魔素空間』に50年……すでにおれは、変質してしまっているらしい。
腐って発酵したってことなのかねえ。

『……あのさ、少しは「びっくりー!」とか「どうしよう!」とか、思わないの?』

え?なんで?思わないよ?
だって、俺が興味あるの筋肉だもの。
神様ナルトにはないよね?筋肉。だから、興奮もしないよー。

『筋肉、筋肉、筋肉、筋肉って!そんなに筋肉が大事?ねえ?きみ、自分より筋肉が大事なの?』

うん。そう。
人はねえ、食べて寝てってだけで生きていけるよ?
でもね、『何か』がないと心が死んじゃうよ。
それは、『もふもふ』だったり『恋人』だったり『家族』だったり『仕事』だったり『癒し』だったり……ただ生きているだけなんて……惰性でしかないよ。

『まあ、わかるけど。でも、一つだけ、違う気がする……?』

もふもふは正義だよ!
まあ、俺は『もふもふ』の中の『筋肉』が好きだけどね?でももふもふもふもふ、サワサワサワサワしたいなあ。と手をワキワキさせた。……気分だけ。

『……筋肉フェチ……。』

なんとでも?どうとでも言って。
で?

『あっ、もう!きみと話してると、混乱してしまうよ!
話が進まないったらっ!』

え?俺のせい?ちがうよね?
で?神様ナルトのなるちゃん、俺をどうしたいの?
あっ、ちなみに俺に筋肉はないよ?ってか、筋肉がついて見えないんだよね?なんでよ!俺にあれば、たくさん愛でであげるのに!
筋肉に目覚めた日から、ずっと筋トレと柔軟は、欠かしてないのに……な。

『……だから、話進まないからっ!』

はい!

『はあぁぁぁ。で、ね?きみは魂が変質して、もう輪廻の輪に戻れないんだよね。』

ホーホー。

『だから、新しい器を作るから別世界に行ってくれる?
魔法のある世界に。』

ホーホー。

『もう、科学力世界はもう無理。だって、きみ。どこ行っても[魔法使い]になっちゃうんだから。』

ホーホー。

『だからさ、テラに行って。』

ホーホー。

『……ねえ?聞いてる?それともバカにしてるの?
フクロウじゃないんだからさっ!』

ホーー、ヘキシッ。はー、やっとくしゃみでた。

『……もう……やだ……。』

ごめんなさい。泣かないでください。
聞いてますからっ!ちょっと、小さい子いじめてるみたいで、罪悪感沸くから、泣かんでください。

『泣いてないもっ!』

うん。ラーメン、しょっぱくなるからね?
神様ナルトだから、泣いてるかわからないけども。塩味増し増しのナルトラーメンになるよ?味噌なのに。
でも、ちゃんと真面目にするから!ね?
だってつまり、俺自身、どこ行っても魔法使えるから『魔法の世界』に転生してってことなんでしょ?

じゃあ、一つだけお願いがあります。

『うん、素直に行ってくれんなら、チートをたくさんつけるよ。よくある転生みたいに!
でもまあ、つけなくても……きみ自身、魔法に関してはチート以上で……大神様でもさ、全く想像つかない存在になってるらしいんだけどさ。
で、なあに?剣術とか?スピードとか?あっ、今時のやつテンプレでスマホ持ってたいとか?
一応、三つはなんでもお願いを叶える約束なんだよ!大神様から言われてるんだ!』

ふーん、三つか。
じゃ、記憶は消して欲しくないかなあ。
だって、今まで勉強してきたものや技が消えちゃうのはやだわ。それは俺の努力だもの。
あとねー。
最後は、もう絶対のお願い!
『理想の筋肉』のある世界へ!
これは譲れないんだ。ぜーったいに!譲れない。っていうか!他のを無視してもこれと記憶は欲しい!記憶なければ筋肉のありがたみわからないし!
それに俺、いつか出会える!はずなの~♪って思える世界じゃないと生きていけない!もん!

『……わかった。でも、そうすると……女性少ないか、いないかに……なるよ?あと一つは、こっちで適当につけていいか?』

別に?いいよ。女性が少ないのは、結婚はいらないから構わない。
ただ、美しい筋肉が見て触れたらそれでいい。
あと一つは、浮かばないからいいや。

『わかった……。』

と言った後、目の前に大きな扉が現れた。すげー、さすがナルトでも神様だあ!

『では、清水明成しみずあきなりよ、汝、魔法の世界『テラ』への転生を命ずる。
彼の地での幸多からんことを願う!』

神様ナルトが盛大な神様らしい言葉を発すると、音もなく扉が開いた。前に滑り台が。
え?何故?
なんで緊急避難用滑り台が!
何故に滑り台よ。

『きみの現世への道……変だよ。きみの想像力って、マジでなんなん?もう、やだ。僕はラーメンに乗ったナルトだし……下っ端でも神様なのに。
現世に戻る手段は、滑り台だし……。
ねえ?あんまり世界を混乱させないでよ?』

へーい。すいませんね?でも、なんだ俺の想像なんだね。なら、わかる気がする。だって、小さい頃の避難訓練や滑り台してる時、思ったもんね!これで違う世界に落ちたらどーしよーって!俺って、子供の時か妄想にあふれていたみたい(笑笑)。

ではテンプレみたいだが、異世界転生らしい!
チートの上、理想の筋肉があるかもしれない世界に!
やったね、明成!
くたびれてない筋肉の世界にいざ参る!

そして俺は!異世界で筋肉の王に俺はなーる!

そう断言して、俺は滑り台に座った。
レッツゴー!

ヒャッホーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーィーーーーー………。


小さな神様ナルトのつぶやきは、俺には聴こえてこなかった。
________________________________


『やれやれ……。性格良いんじゃないの?別の意味でイイ性格してんじゃんよ!
まあ、もしかして魂が変質したからかな?……でもあんなとこで、50年も無事なんてありえないじゃん?大神様ですら、目を疑ったんだよ?
そ れ に!
僕をこんな姿にして!100年戻れないのに!……大神様からの罰であの子が想像した神の姿で100年なのに。ちくしょー!
このまま?麺に使ったまま?
……明成くんにちょっとくらい嫌がらせしてもいいよね?
いいとも!
って、わけで頑張ってね?明成くん。
男と女の割合が9対1の世界で、きみは10歳の子供で大人の姿は元の世界のまままでしか成長なくて……あの世界じゃ、苦労すると思う!
だって、きみはあの世界じゃあ……ふふふふふふふふふ、なんだもーんね?
それに、あの空間に浸りすぎて……多分、寿命もわからないんだよね……。でも、きみの大好きな『筋肉』だけはたくさんある世界だから…ね?』

くふ、クフフフフフ。
僕の50年とこの後の100年を無駄にした罰だよ?
ただ……罰になるかはわからないけどねえ……あの性格じゃあなあ。

とりあえず、任務終了。
彼を監視するって理由で引きこもろう……100年間!






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

性転換スーツ

廣瀬純一
ファンタジー
着ると性転換するスーツの話

性転換マッサージ2

廣瀬純一
ファンタジー
性転換マッサージに通う夫婦の話

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

娘と二人、異世界に来たようです……頑張る母娘の異世界生活……ラブ少し!

十夜海
ファンタジー
母一人、子一人。 天涯孤独でたった二人の家族。 でも、高校の入学式へ向かう途中に居眠り運転のダンプカーに突っ込まれて二人仲良く死亡……。 私はどーでもいい、だって娘まで生まれた。でも、娘はまだ16歳なりかけ。なんで?なんで死ななきゃならない。 厳しい受験を乗り越えて、ようやくキャピキャピ楽しい高校生活だ。彼氏だってできるかもしれない。 頑張ったのに。私だって大学までやるために身を粉にして頑張ったのだ。 大学どころか、高校生活までできないなんて! ひどい。 願ったのは、娘の幸せと恋愛! 気づけば異世界に……。 生きてる?やったね! ん?でも高校ないじゃん! え?魔法?あ、使える。 あれ?私がちっさい? あれ?私……若い??? あれぇ? なんとか娘を幸せな玉の輿に乗せるために頑張る母。 そんな母娘の異世界生活。 でも……おかしいな?なんで私が子供なんですか? ##R18で『なろう』で投稿中です。 ラブ少なめなので、R15でファンタジー系で手直ししつつ、こちらに投稿させていただきます。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

愛されない皇妃~最強の母になります!~

椿蛍
ファンタジー
愛されない皇妃『ユリアナ』 やがて、皇帝に愛される寵妃『クリスティナ』にすべてを奪われる運命にある。 夫も子どもも――そして、皇妃の地位。 最後は嫉妬に狂いクリスティナを殺そうとした罪によって処刑されてしまう。 けれど、そこからが問題だ。 皇帝一家は人々を虐げ、『悪逆皇帝一家』と呼ばれるようになる。 そして、最後は大魔女に悪い皇帝一家が討伐されて終わるのだけど…… 皇帝一家を倒した大魔女。 大魔女の私が、皇妃になるなんて、どういうこと!? ※表紙は作成者様からお借りしてます。 ※他サイト様に掲載しております。

【R18】散らされて

月島れいわ
恋愛
風邪を引いて寝ていた夜。 いきなり黒い袋を頭に被せられ四肢を拘束された。 抵抗する間もなく躰を開かされた鞠花。 絶望の果てに待っていたのは更なる絶望だった……

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

処理中です...