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第二章 聖女(仮)編

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「ねえ、ルノベッチラさん。あなたは、ジークンの味方?」

多分、そんな気はするんだけど……でも、面と向かって言われても本当のこと言うかしら?

「あの、サク様。ルノベッチラ様だけは、信用してほしいです。」

ジークンが、あたしを見つめてはにかんだ笑顔を向けてくれた。
あーもう、キュンキュンしちゃうわ。

「たぶん、サクラ様には私もご信用できぬかもしれません。
私は、勇者様を孫のように思っております。ですから、出来るだけのことをしたい。ですが……現実的に私にはこの子を庇えない。」

まあ、たしかに……この人だけは、勇者に様をつけてるのよね。
でも、庇えないってのは何故なのかしら?
あの馬鹿な王子たちは、まだ自分のすごさに酔いしれて、うるさい騒音とかしてるけど。
あたしは、まずは自分の興味あることが知りたい。
まあ、ジークンに関してがまず、一番よ。
ジークンが静かに口を開いた。

「……。母さんは女性では珍しく、魔法が使えたんです。」
「ああ、じゃあ……。」
「はい、母さんは、下働きをしながらルノベッチラ様に魔法を教わっていたそうです。」
「私の所に来る途中で、王に見染められ……無理に……私は……あの子も守れずにこの子も守れない。唯一、魔法を教えることしかできませんした。国王に使える身ゆえに。
……ならばとこの旅のお供にと名乗り出たのですが……。」
「あーー、こんなことにね。」
「当初は、俺なんかについてくる人はいないって思っていたんですが。前の……力をつける冒険は誰も来なかったから。ただ、その時は、俺も魔法も使えたので……。」

ほーほー、つまり、ジークンと一緒に旅をする目的じゃなくて、あたしがいる今『聖女あたしを守る』という名目のままに一緒にきて、危ないことは勇者ジークン。失敗したら責任は勇者ジークンで、自分たちは聖女あたしを守ったから英雄顔。もちろん、成功したらしたで勇者ジークンじゃなく、自分たちの手柄ってことかしら?
ますます、王子たちは嫌!
そうね、なら。

「みなさ~ん!ご注目よー♡」

会場がざわつき、あたしを皆んなが見つめる。
ああ、快感……じゃなく、あん、怖くて心がプルプルしちゃう。
でも、サクラ負けない♡

「えっとぉ。あたしが聖女(仮)の、サクラです。よろしく♡
今日は、なんだか仲間になってくれる方が集まるって聞いて、きちゃいました。
あと二人の仲間を募集です。」

そう、だって剣士で勇者のジークンに聖女なあたし、で魔術師長のルノベッチラさん。
ね?あと二人でしょう?
なのに、あのK Y王子と愉快な脳筋仲間がなんか言い出しわ。

「はあ?まてまて、俺らは四人だ。プラス聖女で五人だろ?なあ!それが最高だろう?」
「そうであるな。うむうむ。カルとアデルマとノイズ、……トントンか。うむ。あとは聖女様でぴったり五名!おーなんと言う偶然。神はやはり、カルたちが行くべきだとおっしゃってある。」

……何?それ。『おっしゃってある』頭悪いのに謙譲語とか使いたかったのかしら?それとも、口癖?
でもね?一度頭の検査した方がいいと思うわ。だって、かなり妄想癖が悪化した感じよ?
あーゆーのが気持ち悪いストーカーになるのよ。
絶対。
『いつも君を守ってます。』って、盗撮写真送ったり。
『昨日は楽しかったね。』って、使用済みのコ◯ドーさんをポストに入れたり。
『これを入れた君は最高だ。』と猫の尻尾にアレがついた奴とか。
(あ、15歳以下のあなた。アレがわからないって思うけど、知りたかったらおっきなお兄さんやお姉さんに聞いてみて♡)
まあ、そんな変態なストーカー化する妄想人。
え?あたし?
あたしの妄想は、だーれにも迷惑かけないもの。
あと、トントンって誰かにとっても似てる……あの肉……誰かを彷彿とさせる。
ノイズくんはちょっとだけひかれるけども。ジークンには敵わなーい。
うん、(好みの可愛い)少年はジークンだけでいいわ♡

「うーん。ごめんなさーい。あたしはジークンとルノベッチラさんと行くの。
残念だけど(まったくもって残念じゃあないけど~)。」
「……天使である……あなたが、聖女様であるか?」
「ええ(さっきの自己紹介したはず……あたしの言葉はなんだったのかしらねえ?)そうよ?さっきも言ったはず。」
「聖女様は、きっと勇者に洗脳されてるのであるな。」
「……馬鹿なの?」

洗脳って……んなわけあるか!
王子は、馬鹿でしかないの?いや。王子をひとまとめにしちゃいけないわね。

「聖女様、不愉快な思いをさせ、申し訳ありません。
仲間の一人に私ではご不満でしょうか?」
「アンドリュー王子様でしたっけ?……ごめんなさいね?あたしは、王子様方から仲間を選ぶ気はないのよ。」
「……勇者が嫌っているからですか?」
「うんと、だってあなたたちが勇者(ジークン)のこと嫌いなんでしょう?」
「勇者が言ったのですか?」
「いいえ?あなた方の態度がそう言ってるじゃない?」
「そんなっ!ことは……。
聖女様、私は魔法も剣も弓もランクが高い。
ですから、必ずお役に立てるかと。」

お役ね。……役立つのはあたしにじゃなく、世界じゃなきゃね?
でもそれにね、人形のような王子様フェイスは好みじゃないのよ。
それに、あそこにちょーっと好みのタイプ2がいるのよね。
だって、無理やり召喚されたんだから……。
せめて眼福で旅したいじゃない?
ルノベッチラさんは、どちらかといえば案内役ガイド的な感じで。
あとは欲しいのは魔法系はいるし、剣もいる。たぶん、回復と魔法はあたしでなんとかなると思うのね?ほら、だし?
あと欲しいのは前衛(ジークンだけに戦いはさせないわ)と守り系(魔法系でも盾形ても…肉壁的でもいいわ♡)よね?
で、好みの人は背中にデッカい斧?よね?を背負ってるの。
ピチピチのシャツに腹筋が割れて隆起してのが見えてるの。
うん、アレは見る価値あるわ。
それに、あの筋肉がはりぼてじゃなければ……肉壁にも一役かいそうよ!
あと、お尻はキュってしまってそう……痛ぶ……ゲフンゲフン、撫で回……ゲフンゲフン、うん、素敵な筋肉だと思うの♡

「あの、あなた?」

壁にもたれかかって、あたりをキョロキョロする彼。
身長は、群を抜いて高いわ。
たぶん、あたしより20センチくらい?2メートル越えね。
年は……同じくらいかしら?
ちょっと迫力あるイケメンさん。
そうねえ、ファイヤー◯ンブ◯ムのア◯クって感じ?
わかるかしら?あたし、あのゲームの男の子たちだいっすきだったのよー。
特にゼ◯を落とすのに頑張っちゃった♡
閑話休題。
まあ。そんな感じの彼!
ちなみに、ジークンは某アニメのアシ◯カよ?

「ええ、決めたわ。あなた仲間になってくださらない?」
「俺なんかでいいのか?」
「ええ。あなたがいいわ。」
「あんたもいいのか?」
「俺は……サク様がいいなら。」
「ふっ、聖女様と勇者様に選んでもらえるなんて、光栄だな。だが、俺は傭兵なんでな。ただじゃ動かねーぜ?」
「お金かしら?」
「まあな。」
「ルノベッチラさん、お金ってもらえるのかしら?」
「はい、それは。王国からの給金が月に金100と成功報酬は金10000とのことです。」
「ふーん、だそうよ?」
「なら、構わねーぜ。俺はユリウス。ユリウス=レイザークだ。」
「ふふ、あたしはサクラよ。よろしく。」

あたしはユリウスさんと堅く握手を交わしたわ。
手がおっきいのも中々ね?

こうして、四人めも決まったわ。
さて、あと一人は、誰にしましょうか?

ちなみに、あたしはジークンと手を繋いだままよ♡


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