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第一章 出会い編

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何故、聖剣がないのか。
話は簡単!盗まれたからですって。
は?
は?
ってなるわよね?
だって、聖剣をぬすんで誰が得をするのよ?
勇者と聖女が負けたら、あなた、破滅というか全滅しか待っていなそうじゃない?
そりゃ、悪しきもの?とかに意思があって、『聖剣なくしちゃえばいんじゃね?』なんておもって行動する奴らなら、話もできるじゃない?
そんな意思がある魔物とか魔獣じゃないんですって。
それこそ、仲間意識だってなくて、となりにいる同じ魔物でも食べちゃうらしいわ。
破壊行動しかないのですって。
それに、まだ悪しきものが現れた話も聞かないっていうし?
まあ、よくわからないんだけどね?
ほら、小規模な厄災で生まれた魔物とか?魔獣とかは、チラホラとあちこちに生息してはいるらしいわ。だから、勇者の印を持つものは幼いとき(とわいっても10歳頃かららしいわ)からそんなのと対峙させられて……死ぬ思いをして強くなるみたい。でも、王族から出るから、力はもともと強いらしいのね?
親からは、引き離されるらしいけど。でも王族だから親が育てることはないらしいから同じなのかしら。
まあ、王族の誉れ的な立場らしいの。
だから支援もバッチリみたい。
でも。
彼は……。とても酷かったわ。よく、勇者を続けてるっておもったわ。

ルノベッチラさんが、ジークンにはなしていいか?って聞いていたの。
ジークンは静かに頷いて。

「たぶん、俺のことを知っておいていただいた方がいいと思います。これ以上、俺を庇って聖女…サク様まで馬鹿にされたらと思うと……俺、怖くて。」

って、あたしのためなのね。ジークン優しいわ、優しすぎるわ。
王前でも、あたしのために怒ってくれたし。
それなら、勇者なんて辞めてもいいんじゃない?って、あたし思わず聞いちゃったわ。
そしたら、『俺の価値はこれだけですから。』って。
少し聞いただけでも、あたし泣きそうよ!


ーーーーーーーーーーー



「……では、まず彼の生い立ちから。」

とルノベッチラさんが話してくれたの。
それをジークンは静かに俯いてきいていたわ。

彼自身の話は彼が2つの頃まで遡るの。
でも。その前から話をしてくれたわ。


そして話を纏めるとこうみたい。


①前回の時の小規模な厄災の時、勇者が現れなかったため、魔物や魔獣が増えたままで、1000年目の大厄災が迫っていた。
②かなりの期待がかかって生まれた勇者である。
③ジークフリードは王族の血を引いている……。現在の王は、王女と結婚してなった王で、先代の王が年老いて最後に手をつけた下働きの女性との子がジークフリード。つまり、王妃の弟。
④先代の王妃と王女(現王妃)に身ごもったジークフリードの母は、城から追い出され……かなり苦労してジークフリードを産んだらしい。
⑤ジークフリードが2つの時、勇者の印(本来は10歳前後くらいに印が現れるらしい。)が現れる。母親はジークフリードを取り上げられないように隠していた。
⑥近所の者に見られて印がバレてしまう。密告された。(印を見つけたら直ちに報告する義務があり、故意に隠匿した場合は極刑もある。)
⑦隠匿した罪で母は、処刑された(その時の王妃と王女の判決で。なんでよ!)ジークフリードは母親から離され10の時にそのことを知った。
⑧勇者であるが、王族に疎まれる存在……のためかなり酷い生活の中での訓練だった。
⑨13歳のとき勇者として、聖剣に選ばれた。その時、ブレイブという家名をもらう(歴代の勇者の称号みたいなものらしいわ。)
⑩14歳の時、食事に毒を混入され生死をさまよう。(ありえないでしょ!)
そして、意識を取り戻した時に聖剣が消えていた。その上、魔法が使えなくなっていた(毒のせいかはわからないんですって。)
⑪罵詈雑言の上、城から追放(ジークン悪くないと思うんだけど!)
⑫そこから、少しでも魔獣から人を助けるべく旅をしながら戦ってきたそう。

で、今回ね。調べたら1000年目じゃない!やばいじゃない!って、探し出して、無理矢理、召喚を行わせたのですって!
もう、なんなの?
まあ、だから、王様の立場って言うか?王妃様に逆らえないって感じ?でもね?ジークン、1つも悪くないわよね?
というか、瀕死の状態の人間から盗むって……おかしくない?
王族に疎まれてるのは、もう一つわけがあって、本来、勇者は王族から出るわけ。
でも今回の勇者は、王族とは認めたくない王族の血を引く者だったわけ!
だって。よく考えて?本来なら、前王の血を引いた王子よ?
次代の王でもおかしくないわけよ。なのに、庶子としてるわけよ。
まあ、そりゃ妬み嫉みの嵐よね。
王妃には四人の王子と二人の王女がいるんですって。
すんごい子沢山ね!なのに、印は年の離れた……認めることもしたくないって弟。
……まあ、絶対に盗んだのは王族の誰かだと思うんだけど。
誰も不敬に当たるから言えないってことよね?
でも、ね?命かかってるのに、馬鹿なやつよね。

「そう。じゃあ、樹人族?とかいう所にいって、あたしが『聖女』でもいいのか聞けばいいの?」
「はい。たぶん『聖女』であることは間違いないとは思うのですが……。なにぶん、聖剣がありません。そのことも相談していただきたいのです。」
「でも、言っておくわよ?あたしがだったとしても、全世界を助ける気になるかはわからないわよ?それでもよくて?」

だって、助けたいって今のところ思えないんですもの。

「……でも、サク様。力を使えるのは、みんなを助けられるのは、俺たちしかいないんです!俺は……そりゃ、助けたくない人もいるけど。でも、戦うこともできない人たちを見殺しになんてできない!たとえ、聖剣がなくても。魔法を使えなくても。俺にできることはやりたい!」

ジークンの強い瞳に見つめられて、キュウゥゥンって胸が痛くなっちゃったわ。

これは何かしら?

はじめての感覚にあたしは、何も言えずただ見つめ返すだけだったわ。




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