10 / 55
第一章 出会い編
♡9
しおりを挟む何故、聖剣がないのか。
話は簡単!盗まれたからですって。
は?
は?
ってなるわよね?
だって、聖剣をぬすんで誰が得をするのよ?
勇者と聖女が負けたら、あなた、破滅というか全滅しか待っていなそうじゃない?
そりゃ、悪しきもの?とかに意思があって、『聖剣なくしちゃえばいんじゃね?』なんておもって行動する奴らなら、話もできるじゃない?
そんな意思がある魔物とか魔獣じゃないんですって。
それこそ、仲間意識だってなくて、となりにいる同じ魔物でも食べちゃうらしいわ。
破壊行動しかないのですって。
それに、まだ悪しきものが現れた話も聞かないっていうし?
まあ、よくわからないんだけどね?
ほら、小規模な厄災で生まれた魔物とか?魔獣とかは、チラホラとあちこちに生息してはいるらしいわ。だから、勇者の印を持つものは幼いとき(とわいっても10歳頃かららしいわ)からそんなのと対峙させられて……死ぬ思いをして強くなるみたい。でも、王族から出るから、力はもともと強いらしいのね?
親からは、引き離されるらしいけど。でも王族だから親が育てることはないらしいから同じなのかしら。
まあ、王族の誉れ的な立場らしいの。
だから支援もバッチリみたい。
でも。
彼は……。とても酷かったわ。よく、勇者を続けてるっておもったわ。
ルノベッチラさんが、ジークンにはなしていいか?って聞いていたの。
ジークンは静かに頷いて。
「たぶん、俺のことを知っておいていただいた方がいいと思います。これ以上、俺を庇って聖女…サク様まで馬鹿にされたらと思うと……俺、怖くて。」
って、あたしのためなのね。ジークン優しいわ、優しすぎるわ。
王前でも、あたしのために怒ってくれたし。
それなら、勇者なんて辞めてもいいんじゃない?って、あたし思わず聞いちゃったわ。
そしたら、『俺の価値はこれだけですから。』って。
少し聞いただけでも、あたし泣きそうよ!
ーーーーーーーーーーー
「……では、まず彼の生い立ちから。」
とルノベッチラさんが話してくれたの。
それをジークンは静かに俯いてきいていたわ。
彼自身の話は彼が2つの頃まで遡るの。
でも。その前から話をしてくれたわ。
そして話を纏めるとこうみたい。
①前回の時の小規模な厄災の時、勇者が現れなかったため、魔物や魔獣が増えたままで、1000年目の大厄災が迫っていた。
②かなりの期待がかかって生まれた勇者である。
③ジークフリードは王族の血を引いている……。現在の王は、王女と結婚してなった王で、先代の王が年老いて最後に手をつけた下働きの女性との子がジークフリード。つまり、王妃の弟。
④先代の王妃と王女(現王妃)に身ごもったジークフリードの母は、城から追い出され……かなり苦労してジークフリードを産んだらしい。
⑤ジークフリードが2つの時、勇者の印(本来は10歳前後くらいに印が現れるらしい。)が現れる。母親はジークフリードを取り上げられないように隠していた。
⑥近所の者に見られて印がバレてしまう。密告された。(印を見つけたら直ちに報告する義務があり、故意に隠匿した場合は極刑もある。)
⑦隠匿した罪で母は、処刑された(その時の王妃と王女の判決で。なんでよ!)ジークフリードは母親から離され10の時にそのことを知った。
⑧勇者であるが、王族に疎まれる存在……のためかなり酷い生活の中での訓練だった。
⑨13歳のとき勇者として、聖剣に選ばれた。その時、ブレイブという家名をもらう(歴代の勇者の称号みたいなものらしいわ。)
⑩14歳の時、食事に毒を混入され生死をさまよう。(ありえないでしょ!)
そして、意識を取り戻した時に聖剣が消えていた。その上、魔法が使えなくなっていた(毒のせいかはわからないんですって。)
⑪罵詈雑言の上、城から追放(ジークン悪くないと思うんだけど!)
⑫そこから、少しでも魔獣から人を助けるべく旅をしながら戦ってきたそう。
で、今回ね。調べたら1000年目じゃない!やばいじゃない!って、探し出して、無理矢理、召喚を行わせたのですって!
もう、なんなの?
まあ、だから、王様の立場って言うか?王妃様に逆らえないって感じ?でもね?ジークン、1つも悪くないわよね?
というか、瀕死の状態の人間から盗むって……おかしくない?
王族に疎まれてるのは、もう一つわけがあって、本来、勇者は王族から出るわけ。
でも今回の勇者は、王族とは認めたくない王族の血を引く者だったわけ!
だって。よく考えて?本来なら、前王の血を引いた王子よ?
次代の王でもおかしくないわけよ。なのに、庶子としてるわけよ。
まあ、そりゃ妬み嫉みの嵐よね。
王妃には四人の王子と二人の王女がいるんですって。
すんごい子沢山ね!なのに、印は年の離れた……認めることもしたくないって弟。
……まあ、絶対に盗んだのは王族の誰かだと思うんだけど。
誰も不敬に当たるから言えないってことよね?
でも、ね?命かかってるのに、馬鹿なやつよね。
「そう。じゃあ、樹人族?とかいう所にいって、あたしが『聖女』でもいいのか聞けばいいの?」
「はい。たぶん『聖女』であることは間違いないとは思うのですが……。なにぶん、聖剣がありません。そのことも相談していただきたいのです。」
「でも、言っておくわよ?あたしが聖女だったとしても、全世界を助ける気になるかはわからないわよ?それでもよくて?」
だって、助けたいって今のところ思えないんですもの。
「……でも、サク様。力を使えるのは、みんなを助けられるのは、俺たちしかいないんです!俺は……そりゃ、助けたくない人もいるけど。でも、戦うこともできない人たちを見殺しになんてできない!たとえ、聖剣がなくても。魔法を使えなくても。俺にできることはやりたい!」
ジークンの強い瞳に見つめられて、キュウゥゥンって胸が痛くなっちゃったわ。
これは何かしら?
はじめての感覚にあたしは、何も言えずただ見つめ返すだけだったわ。
0
お気に入りに追加
109
あなたにおすすめの小説
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
人生負け組のスローライフ
雪那 由多
青春
バアちゃんが体調を悪くした!
俺は長男だからバアちゃんの面倒みなくては!!
ある日オヤジの叫びと共に突如引越しが決まって隣の家まで車で十分以上、ライフラインはあれどメインは湧水、ぼっとん便所に鍵のない家。
じゃあバアちゃんを頼むなと言って一人単身赴任で東京に帰るオヤジと新しいパート見つけたから実家から通うけど高校受験をすててまで来た俺に高校生なら一人でも大丈夫よね?と言って育児拒否をするオフクロ。
ほぼ病院生活となったバアちゃんが他界してから築百年以上の古民家で一人引きこもる俺の日常。
――――――――――――――――――――――
第12回ドリーム小説大賞 読者賞を頂きました!
皆様の応援ありがとうございます!
――――――――――――――――――――――
家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる