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2)あれ?この世界は?

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(ここから、りぜ視点に変わります。)

こんちには。安藤りぜ3歳です。

どーやらわたくし、恐ろしい前世を唐突に思い出したらしいのですわ。
婚約者だったはずの第一王子のシャルル殿下と聖女セリナに、たぶん?嵌められたのでしょうね?というのも、そもそも聖女セリナには、わたくし、ほとんど関わっておりませんでしたし。噂では、ふしだらにも婚約者のいる高位貴族の令息に馴れ馴れしくされていたとか?
ですから、それ以外わたくしは、彼女セリアについてはまったく……いえ、そうですわね、かの殿下ともかなりスキンシップが激しかったとか?
ですので、計略に気づくというのも難しいことですわね。

けれどもなぜ、あんなにもいきなりで、反論さえもできず、そのまま処刑にまでなったのか……未だにわかりませんわ。
前世のことを思い浮かべていたら、手が口がお留守だったようで、お母様に口を拭かれつつ

「りぜちゃん、おいしい?」

少し心配そうな声で問われた。

「あい、おかちゃま、おいしい。」

ニッコリと微笑んで応えると、お母様はふんわりと笑って

「あら、ママじゃなくなったの?ふふふ。」
「おかちゃま、ままのがよろちぃでし?」
「ふふふ。」

お母様は、さらに笑みを深くし

「りぜちゃんが好きな方でいいわよ。でもなんだから、ちょっと大人になったみたいね。」

とおっしゃった。

ああ、本当に前世のお母様を彷彿とさせるほんわかした方だと思う。
もしかしたら、わたくしのようにお母様も生まれ変わったのかもしれない。
いえ、そう思いたいだけかもしれない。
わたくしは、前世の厳しくも優しい父もおっとりふんわかだけども芯の強い母も、ちょっとおしゃまだけれど明るくて可愛らしい妹が大好きだった。
優しいシャルル殿下も支えたいと思うくらいには、お慕いしていました。
けれど……シャルル殿下への想いは恨みに。
百歩譲って、わたくしへの断罪だけならお恨みする程度で済んだかも知れませんが、わたくしの愛する家族への仕打ちは、ゆるしがたい。
絶対に復讐しなければと……。

ですが……、今のところわたくしは、貴族に生まれたのか、平民に生まれたのか、どの国に生まれたのかも、わからないのです。
まあ、3歳児ですから、行動範囲的に……も。

スイッチ1つで、明かりを付けたり料理をしたりと、魔道具が最新版としか思えません。しかしながら、そのようなもの高価すぎて平民が使うには……。
魔道具は、ものすごく高価で公爵家ですら、ここまでの明るさが出せるものを複数もなんて。

通信の魔道具なんて、それこそ軍や王族くらいしか。
でも、言葉遣いや生活風景……が貴族にらしからぬ生活なのです。
侍女もメイドも料理人も雇わず、母自らが料理し、掃除し、わたくしの面倒もみる。
使用人の部屋のように狭い個室ばかりの家。
けれど最新の魔道具や王侯貴族すらもてないような、柔らかい布類……けれど服の形は、なんというか着苦しく重みのある貴族の衣裳とも違うのだけど……。
レースなどは、素晴らしいくらい繊細でこれ1枚あれば、平民ならば優に3年くらいは遊んで暮らせるくらいの物では?と。

そう、わたくしリーゼロッテの記憶からすると、あまりにもちぐはぐな家なのです。

いったい、ここはどこなのでしょう。
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