上 下
63 / 184
第二章 王都でドッキリ!早くない?

ロクジュウサン

しおりを挟む


なんというか……ゲームの主要メンバー揃うの早くない?
本当にアレがヒロインなら、ほぼ揃い踏み。
ハノエルはこんなに早く出会うものなの?

「ご機嫌よう、カレイド様。殿下もご機嫌よう。」
「コーネリアス。」
「へぇ、その子が噂のハノエルくんだよね?一度はお目にかかりたかったんだよね。」
「その気持ち、わかります♪」
「でしょう?」

何がさ。
というか、なんでいちいちルザベルトは語尾に音符がつくような話し方をするのかな?
すごく、感に触るんだよねー。
噂って何?
第二種とか、そーゆーの?

「カレイド様がメロメロだって話。」
「そうそう。普段と全然違うってさー。ザクセウス様が兄上に話していたって聞いたー。」
「お、私も聞いたよ。」
「どうなんですか?殿下。」
「その通りだと思う。」
「えー、本当に?」

あー、そっち?
というか……どう違うの?
でも、ラブラブなんだからいーじゃない。

「兄様がどうだというのですか?」

あっ、姉様にイカリマークが見えるよーです。でも、流石淑女教育。笑顔です。……氷の微笑ともいいますがね。

「いや、あの……。」

流石は姉様。
『氷のように綺麗な微笑。優しかった姉様が消えてしまった。僕は凛とした姉様が大好きだったのに……どこで、間違ったの?』
フッと頭をよぎったセリフ……俺が役で言った覚えはないから……たぶんハノエルが違うルートで言ったのかも知れないセリフかな?
でも、大丈夫!
この氷の微笑の冷気は、家族に向けていないから。
家族を守るための冷気だもの。
だって、姉はとても優しくて温かいんだから絶対に変わらない、変わらせない!

「良いよ。リオーラ。彼らがいいたいのは、私がどれだけハルを愛しているかだから。彼らに何を言われても私はゆるがないよ。」
「ですわね。ふふ、いらぬ心配でしたわ。でも、わたくしは二人を貶す方々を許す気はありませんの。」

兄に向ける笑顔は、ものすごい温かい笑顔で……姉様の寒暖差が素敵です。
兄も家族に対するものと、それ以外に対するものはかなり寒暖差がありますが……俺にはいつも常春なので冷たさはイマイチ理解できないんですけどねー。
でも、なんとなく冷気はかんじるし、周りの温度が下がる気はする。
というか、やっぱりこの人たちのこと苦手なんだよね……もちろん声だけだとはわかっちゃいるけども……苦手意識はなかなかなくならないもんだ。っていうかさ、殿下に至っては行動もにてるからねえ。
もちろん、違う人だってちゃんと頭ではわかってるんだけどね。 

このゲームってさ?
もしかして、ゲーム製作者の趣味と実益兼ねてたりするのかね?
だって、使われてる声優がイベントをこなしたりするアイドル声優というか、アイドルみたいに歌ったりもする声優ばかりなんだよね。若手だけど顔もいいから人気が高いってやつ?
俺?は、んー。妹がいうにはすれ違う人が振り向くレベルだよーってことです。それは、どう基準にしたらいいのかわからない。
自分ではブサではないけど、十人並みかな?って思うくらい。
だって、俺のファンてほぼ腐った方なんですもん!
ですからね?キャーキャー黄色い声なのは嬉しいけどさー。
やれ、『きゃー苅野さん!春樹押し倒してー!』とか『きゃー門倉さーん!春樹にエロいことしてー!』とか叫ぶのやめてほしいです。
あとさ、一寸劇みたいなのでお客様から事前にアンケートでやってほしいこと?とかとるんだけど……それに、春樹を喘がせてとかエロいセリフのあるやつとか言わせるのやめて欲しかった。
俺、マジで泣きそうだったんだよね……。

閑話休題過去を振り返るのはやめよう

「あの。兄様のお友達?」
「違う!」
「えー?そこ否定する?」

すごいね、兄。速攻で否定とか。

「ただの顔見知りだ。だから、ハル。何を言われてもついて行ってはいけないよ?」
「はあい。」

はい、ついていきません。
良い子のお返事しちゃうよ。

「……にしても可愛いよね。」
「可愛いですよね♪」
「手をだすなよ?」
「ねえ?ハノエルちゃん。カレイドやめて、僕にしない?」
「しない。」
「え、速攻否定!」

当たり前だよ。
だって、俺は兄以外なら女の子とお友達になりたいもの。
男友達はルイくんで足りてるしー、歳の離れた頼れるお兄さんはセシウス様で足りてるし、恋人と結婚相手も大好きな兄様でいっぱいだもんね。それ以外は、いらないし面倒だし……そしてもれなくついてくる面倒に輪を三重にも五重にもかけた主人公ヒロインが関係してくる可能性。
そんな恐怖お断りです。いろんな意味でね!

兄は俺を抱き上げて、姉を連れてサッサと立ち去ろうとするが、それをクリストファー殿下が止めた。

「まってくれ、カレイド。私にもハノエルと話させてくれないだろうか?」
「何を?」

話すというんだ?と兄がクリストファー殿下に冷たい目を向ける。
うーん、あれから五年たってるのにねえ。まだ、兄はクリストファー殿下ごと王族を許していないらしい。
まあ、この五年間兄は出来るかぎり俺から離れなかったからねー、兄的にはあんまり時間の経過を感じないのかも。
俺のトラウマも残ったままだし、いまだに魘されたりもあるからね。でも、兄は社交界にはもちろん顔を出してます。つまり、兄は王都へ出向いてるわけです。
その間、俺は眠れない日を過ごしますが一年に一度のことなんで、我慢します。
その時は恥ずかしいが、セバスとルイくんに寝てもらいました。
姉が私がって、言ってくれたけど。やっぱりちょっとね。お昼寝くらいならまだしも……流石にハノエルの元の年的に犯罪臭がして……罪悪感半端ないんで断りました。余計に眠れないから。
つまり、兄とは一年に三日だけ離れる日があるんですよ。
え?短い?
確かに。
往復に二日と向こうに一日というハードスケジュールをこなしてでも帰ってきてくれる……超優しい兄なんです。
いいでしょう?
でもあげません。

「私は従兄弟として話をしたいだけなんだが。会うのは五年ぶりだし。」
五年だ。」
「……兄様。挨拶だけします。」
「ハル、無理はしないでも。」
「大丈夫。ね?」

だって、クリストファー殿下は苅野先輩並みにしつこいから。

「ご機嫌よう。クリストファー殿下。五年ぶりですね。全くお変わりないようですね。
本日はパーティーにお招きいただきありがとうございます。
でも、僕は今日はおまけなので居ないと思ってくださって結構ですよ。うちの主役は素敵な姉様なので。では、失礼します。
兄様、姉様。いきましょう?」

にっこりと微笑んだあと、兄と姉に行こうとうながす。

「ええ。いきましょう。ハルは挨拶が上手になったわ。」
「ほんと?姉様。」
「ほんとうに。では、皆さま、失礼しますわ。」
「では、失礼する。」

ふふ、一応嫌味を添えてみましたが、通じましたかね?
そう、『お変わりなく』は、ほめてません。おまえ、全然成長してないね!って意味です。
相手の皆が皆、鳩が豆鉄砲食らったようでした。
笑えますー。
性格悪い?でも、たまには悪いのもいーじゃない。だって、中身は天使なハノエルじゃなく、20歳改め25歳の春樹なんだもの。


離れたところで、兄と姉が盛大に褒めてくれました。
セバスも坊っちゃまの言葉、良い言い回しでしたよって褒めてもらえました。

こうして、姉様のデビューのはじめての社交界は幕を閉じたのでした。

余談ですが……毎日毎日、お城から迎えと手紙がくるようになりました。

え?絶対にいきません。
だって、セバスと父が断ってますからっ!
『殺ってしまいましょうかねえ?』とセバスの呟きが危険なものになりつつあるので、王様はサッサと諦めて欲しいと思う俺です。

忍者をおこらしちゃいかんよ?



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~

シキ
BL
全寮制学園モノBL。 倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。 倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……? 真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。 一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。 こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。 今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。 当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。

愉快な生活

白鳩 唯斗
BL
王道学園で風紀副委員長を務める主人公のお話。

勇者よ、わしの尻より魔王を倒せ………「魔王なんかより陛下の尻だ!」

ミクリ21
BL
変態勇者に陛下は困ります。

変態村♂〜俺、やられます!〜

ゆきみまんじゅう
BL
地図から消えた村。 そこに肝試しに行った翔馬たち男3人。 暗闇から聞こえる不気味な足音、遠くから聞こえる笑い声。 必死に逃げる翔馬たちを救った村人に案内され、ある村へたどり着く。 その村は男しかおらず、翔馬たちが異変に気づく頃には、すでに囚われの身になってしまう。 果たして翔馬たちは、抱かれてしまう前に、村から脱出できるのだろうか?

からっぽを満たせ

ゆきうさぎ
BL
両親を失ってから、叔父に引き取られていた柳要は、邪魔者として虐げられていた。 そんな要は大学に入るタイミングを機に叔父の家から出て一人暮らしを始めることで虐げられる日々から逃れることに成功する。 しかし、長く叔父一族から非人間的扱いを受けていたことで感情や感覚が鈍り、ただただ、生きるだけの日々を送る要……。 そんな時、バイト先のオーナーの友人、風間幸久に出会いーー

バッドエンドの異世界に悪役転生した僕は、全力でハッピーエンドを目指します!

BL
 16才の初川終(はつかわ しゅう)は先天性の心臓の病気だった。一縷の望みで、成功率が低い手術に挑む終だったが……。    僕は気付くと両親の泣いている風景を空から眺めていた。それから、遠くで光り輝くなにかにすごい力で引き寄せられて。    目覚めれば、そこは子どもの頃に毎日読んでいた大好きなファンタジー小説の世界だったんだ。でも、僕は呪いの悪役の10才の公爵三男エディに転生しちゃったみたい!  しかも、この世界ってバッドエンドじゃなかったっけ?  バッドエンドをハッピーエンドにする為に、僕は頑張る!  でも、本の世界と少しずつ変わってきた異世界は……ひみつが多くて?  嫌われ悪役の子どもが、愛されに変わる物語。ほのぼの日常が多いです。 ◎体格差、年の差カップル ※てんぱる様の表紙をお借りしました。

不良高校に転校したら溺愛されて思ってたのと違う

らる
BL
幸せな家庭ですくすくと育ち普通の高校に通い楽しく毎日を過ごしている七瀬透。 唯一普通じゃない所は人たらしなふわふわ天然男子である。 そんな透は本で見た不良に憧れ、勢いで日本一と言われる不良学園に転校。 いったいどうなる!? [強くて怖い生徒会長]×[天然ふわふわボーイ]固定です。 ※更新頻度遅め。一日一話を目標にしてます。 ※誤字脱字は見つけ次第時間のある時修正します。それまではご了承ください。

主人公の兄になったなんて知らない

さつき
BL
レインは知らない弟があるゲームの主人公だったという事を レインは知らないゲームでは自分が登場しなかった事を レインは知らない自分が神に愛されている事を 表紙イラストは マサキさんの「キミの世界メーカー」で作成してお借りしています⬇ https://picrew.me/image_maker/54346

処理中です...