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第二章 王都でドッキリ!早くない?
ロクジュウサン
しおりを挟むなんというか……ゲームの主要メンバー揃うの早くない?
本当にアレがヒロインなら、ほぼ揃い踏み。
ハノエルはこんなに早く出会うものなの?
「ご機嫌よう、カレイド様。殿下もご機嫌よう。」
「コーネリアス。」
「へぇ、その子が噂のハノエルくんだよね?一度はお目にかかりたかったんだよね。」
「その気持ち、わかります♪」
「でしょう?」
何がさ。
というか、なんでいちいちルザベルトは語尾に音符がつくような話し方をするのかな?
すごく、感に触るんだよねー。
噂って何?
第二種とか、そーゆーの?
「カレイド様がメロメロだって話。」
「そうそう。普段と全然違うってさー。ザクセウス様が兄上に話していたって聞いたー。」
「お、私も聞いたよ。」
「どうなんですか?殿下。」
「その通りだと思う。」
「えー、本当に?」
あー、そっち?
というか……どう違うの?
でも、ラブラブなんだからいーじゃない。
「兄様がどうだというのですか?」
あっ、姉様にイカリマークが見えるよーです。でも、流石淑女教育。笑顔です。……氷の微笑ともいいますがね。
「いや、あの……。」
流石は姉様。
『氷のように綺麗な微笑。優しかった姉様が消えてしまった。僕は凛とした姉様が大好きだったのに……どこで、間違ったの?』
フッと頭をよぎったセリフ……俺が役で言った覚えはないから……たぶんハノエルが違うルートで言ったのかも知れないセリフかな?
でも、大丈夫!
この氷の微笑の冷気は、家族に向けていないから。
家族を守るための冷気だもの。
だって、姉はとても優しくて温かいんだから絶対に変わらない、変わらせない!
「良いよ。リオーラ。彼らがいいたいのは、私がどれだけハルを愛しているかだから。彼らに何を言われても私はゆるがないよ。」
「ですわね。ふふ、いらぬ心配でしたわ。でも、私は二人を貶す方々を許す気はありませんの。」
兄に向ける笑顔は、ものすごい温かい笑顔で……姉様の寒暖差が素敵です。
兄も家族に対するものと、それ以外に対するものはかなり寒暖差がありますが……俺にはいつも常春なので冷たさはイマイチ理解できないんですけどねー。
でも、なんとなく冷気はかんじるし、周りの温度が下がる気はする。
というか、やっぱりこの人たちのこと苦手なんだよね……もちろん声だけだとはわかっちゃいるけども……苦手意識はなかなかなくならないもんだ。っていうかさ、殿下に至っては行動もにてるからねえ。
もちろん、違う人だってちゃんと頭ではわかってるんだけどね。
このゲームってさ?
もしかして、ゲーム製作者の趣味と実益兼ねてたりするのかね?
だって、使われてる声優がイベントをこなしたりするアイドル声優というか、アイドルみたいに歌ったりもする声優ばかりなんだよね。若手だけど顔もいいから人気が高いってやつ?
俺?は、んー。妹がいうにはすれ違う人が振り向くレベルだよーってことです。それは、どう基準にしたらいいのかわからない。
自分ではブサではないけど、十人並みかな?って思うくらい。
だって、俺のファンてほぼ腐った方なんですもん!
ですからね?キャーキャー黄色い声なのは嬉しいけどさー。
やれ、『きゃー苅野さん!春樹押し倒してー!』とか『きゃー門倉さーん!春樹にエロいことしてー!』とか叫ぶのやめてほしいです。
あとさ、一寸劇みたいなのでお客様から事前にアンケートでやってほしいこと?とかとるんだけど……それに、春樹を喘がせてとかエロいセリフのあるやつとか言わせるのやめて欲しかった。
俺、マジで泣きそうだったんだよね……。
閑話休題
「あの。兄様のお友達?」
「違う!」
「えー?そこ否定する?」
すごいね、兄。速攻で否定とか。
「ただの顔見知りだ。だから、ハル。何を言われてもついて行ってはいけないよ?」
「はあい。」
はい、ついていきません。
良い子のお返事しちゃうよ。
「……にしても可愛いよね。」
「可愛いですよね♪」
「手をだすなよ?」
「ねえ?ハノエルちゃん。カレイドやめて、僕にしない?」
「しない。」
「え、速攻否定!」
当たり前だよ。
だって、俺は兄以外なら女の子とお友達になりたいもの。
男友達はルイくんで足りてるしー、歳の離れた頼れるお兄さんはセシウス様で足りてるし、恋人と結婚相手も大好きな兄様でいっぱいだもんね。それ以外は、いらないし面倒だし……そしてもれなくついてくる面倒に輪を三重にも五重にもかけたあの主人公が関係してくる可能性。
そんな恐怖お断りです。いろんな意味でね!
兄は俺を抱き上げて、姉を連れてサッサと立ち去ろうとするが、それをクリストファー殿下が止めた。
「まってくれ、カレイド。私にもハノエルと話させてくれないだろうか?」
「何を?」
話すというんだ?と兄がクリストファー殿下に冷たい目を向ける。
うーん、あれから五年たってるのにねえ。まだ、兄はクリストファー殿下ごと王族を許していないらしい。
まあ、この五年間兄は出来るかぎり俺から離れなかったからねー、兄的にはあんまり時間の経過を感じないのかも。
俺のトラウマも残ったままだし、いまだに魘されたりもあるからね。でも、兄は社交界にはもちろん顔を出してます。つまり、兄は王都へ出向いてるわけです。
その間、俺は眠れない日を過ごしますが一年に一度のことなんで、我慢します。
その時は恥ずかしいが、セバスとルイくんに寝てもらいました。
姉が私がって、言ってくれたけど。やっぱりちょっとね。お昼寝くらいならまだしも……流石にハノエルの元の年的に犯罪臭がして……罪悪感半端ないんで断りました。余計に眠れないから。
つまり、兄とは一年に三日だけ離れる日があるんですよ。
え?短い?
確かに。
往復に二日と向こうに一日というハードスケジュールをこなしてでも帰ってきてくれる……超優しい兄なんです。
いいでしょう?
でもあげません。
「私は従兄弟として話をしたいだけなんだが。会うのは五年ぶりだし。」
「まだ五年だ。」
「……兄様。挨拶だけします。」
「ハル、無理はしないでも。」
「大丈夫。ね?」
だって、クリストファー殿下は苅野先輩並みにしつこいから。
「ご機嫌よう。クリストファー殿下。五年ぶりですね。全くお変わりないようですね。
本日はパーティーにお招きいただきありがとうございます。
でも、僕は今日はおまけなので居ないと思ってくださって結構ですよ。うちの主役は素敵な姉様なので。では、失礼します。
兄様、姉様。いきましょう?」
にっこりと微笑んだあと、兄と姉に行こうとうながす。
「ええ。いきましょう。ハルは挨拶が上手になったわ。」
「ほんと?姉様。」
「ほんとうに。では、皆さま、失礼しますわ。」
「では、失礼する。」
ふふ、一応嫌味を添えてみましたが、通じましたかね?
そう、『お変わりなく』は、ほめてません。おまえ、全然成長してないね!って意味です。
相手の皆が皆、鳩が豆鉄砲食らったようでした。
笑えますー。
性格悪い?でも、たまには悪いのもいーじゃない。だって、中身は天使なハノエルじゃなく、20歳改め25歳の春樹なんだもの。
離れたところで、兄と姉が盛大に褒めてくれました。
セバスも坊っちゃまの言葉、良い言い回しでしたよって褒めてもらえました。
こうして、姉様のデビューのはじめての社交界は幕を閉じたのでした。
余談ですが……毎日毎日、お城から迎えと手紙がくるようになりました。
え?絶対にいきません。
だって、セバスと父が断ってますからっ!
『殺ってしまいましょうかねえ?』とセバスの呟きが危険なものになりつつあるので、王様はサッサと諦めて欲しいと思う俺です。
忍者をおこらしちゃいかんよ?
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