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第一章 番外編
さんじゅうきゅう やや☆
しおりを挟む《7歳です~婚約発表会 その4》
疲れから熱を出して、さらにずっと立っていたため貧血を起こす……うーん、やはり虚弱体質だよね。
なんとか、もう少し改善したい。
学園、通いたいじゃない?
俺、学校って好きなんだよね~。
そんなことより、これはどーいった状況なんだろうか?
誰か、説明プリーズ!
って、なんか前にもこんな言葉を言った気がします。
「あ、気がついたか?」
「だ、れ?」
「ああ、ああ、まって、まって。触ったりしないから、落ち着いてほしい。大丈夫、本当に何にもしないから!すぐ、カレイドたちもくるから!」
と言われて落ち着けたら、ハノエルにトラウマはない。
「怯えないでくれ、怪しいものじゃないんだ。」
と言われて安心できるわけないでしょ?馬鹿なのですか?
でも、この人見たことある気がするなあ。
そして、彼は今いる位置から全く動かない。
だからって、信用出来るとは限らないだろう?
だって、この場に家族以外しかいないってことが、すでにハノエルにとっては、すごくストレスなのだから。
「えーっと、レイズはわかるかな?その、レイズの息子なんだ二番目の。レイズの後ろにいたんだけど……覚えてない?」
えー?っと、あ、そうそういたいた。
たしかにレイズ伯父の後ろにいたわっ!
コクリと頷く。
「思い出してくれた?そう、レイズの息子で君とは従兄弟ってわけ。」
従兄弟……であっても信用はできない。だってディンゲルだって、従兄弟だったんだから。
「で、今ね、ちょっとね。その、カレイドが暴れちゃって、で、叔父貴に説教くらってんだよ。あ、叔父貴って、お前の親父な?」
「暴れって!な、なんで!」
といきなり飛び起きようとして、熱で頭がクラクラする。
ベッドからずり落ちそうになり、その従兄弟だという青年に抱き留められた。
とたん、体が拒否反応を起こした。
震えて、震えて、震えて……。
何故かはわからないが、体の震えが最高潮に達すると恐慌状態におちいり、自分では、抑制出来なくなる。
俺はこーゆー時に感じるんだよね。
乙女ゲームとしての『強制力』というものを。
「や、いや!離して!やだぁ!」
「お、落ち着けって、大丈夫だからっ!」
たぶん、この青年はやむおえず俺を支えただけなんだけど……。
ガゴンッ!
というものすごい音がして次の瞬間、俺の前から青年は消えた。
「このくそっが!触るなとあれほど言っただろうが!」
「だから、反対したんですっ!」
「仕方ないだろう……?お前があんなことをしなければ……全く、少しは自重しろ。」
「大丈夫か?ハル。何もされていない?」
「に、さま?」
「うん。大丈夫か?」
兄の顔を見て、ようやく落ち着いた。で、今の事態を把握した。
つまり、震えた俺を抱きとめていたのを……抱きしめられて震えていたと思われたのか?
すまん、青年よ!
なにせ、変態ホイホイだから勘違いされてしまったんだと思う。
「こいつなら大丈夫だと思ったんだがな……。」
「ハルの魅力には、逆らえないと言ったではありませんか!」
「…イタタ……まって、おr……こほっ、私は、何もしていません。」
「震えるハルを無理矢理抱きしめていたではありませんか!」
「ちがっ、違います。ベッドから落ちかけたハノエル様を抱きとめただけです。
……そのまま落とせと?」
「そのあと、あわよくばと……。」
「するかっ!……失礼、しません。そもそも、綺麗で可愛らしいのは認めますがっ!私は、もっと育った女性が好みですからっ!」
「……お前の好みはどーでもいい。」
「あ、あの。」
「ハル?どうしたの?」
「…………………………。」
「なにか?文句でも?」
「ありません。」
「ハル、ごめんね。野獣と一緒にしてしまって。怖かっただろう?」
「あの、怖くないって言ったら嘘になりますけども、その方は何もしてないです。起き上がろうとしたら、ベッドから落ちそうになって……助けていただいたのでですが……。その、また怖くなってしまったのです。ごめんなさい。」
「ハル、いいんだよ?庇わなくても。」
「ううん、本当なの。」
「わかった。ハルがいうなら。」
兄は俺を抱きしめながら、チュッチュッしている。
「…なあ、叔父貴。あれは、本当にあのカレイドなのか?」
はい、兄は俺には甘々なのです。
外ではわかりませんが。
「こら、言葉。」
「え?だってよ、兄貴も思わねえ?」
大丈夫、家族すらおもっているから。
俺と姉だけには甘くなるのです。
さらに俺には糖度10倍くらいにはなるんだよー。
「思うけれど、ザッス、ここは公爵家なだからね?いくら親族と言っても分をわきまえなさい。」
「へーい。」
「だから……。」
んーと。
あの真面目そうなイケメンと少しチャラそうなイケメンは兄弟で、父は叔父貴と呼ばれ、レイズは父親。つまり、あの真面目そうなイケメンも従兄弟?
従兄弟のイケメン率高くない?
嫌いなディンゲルもイケメンではあったし。まあ、乙女ゲームならさもありなん。か?
そして、気がつきました。
あれ?騎士の兄弟って、片方……ザッス?ザクセウス!明るくて社交的でヒロインが貴族に気遅れしないように、いつも気遣うって役どころ!でも、その実、兄や従兄弟たちにコンプレックスがあって……そこをヒロインが癒すみたいな!なんで詳しいか?聞いてもいないのに、明るくて悪ノリする門倉先輩が話してきたからっ!
そう、チャラ男をやらせたら、もう女の子ナンパしまくりの軽いけどエロいと評判の声優門倉の声!
………最後にノリノリでベロチューかましやがったサードキスの相手!
公衆の面前で、泣くに泣けない~。苅野、嵩根、門倉……最悪の三人組!と神石先輩との五人と女性声優三人でのライブイベントでした。また、この女性も腐女子でさあ、ノルノル……俺の味方は神石先輩だけだった(神石だけに神!)。
その最悪な門倉じゃん。
……本当のことだけど、庇って損した。
「兄様、僕、また倒れたの?」
「そう、無理させすぎたね。」
「まったくです。ですから、椅子をご用意した方がよかったのですよ、」
うおっ、だから、セバス……忍者なの?
「セバス、僕が見栄張って椅子はいらないっていったのだから。兄様たちを責めちゃダメだよ?」
そう、だってさ。俺だけ座るなんて……ねえ?いかにも体が弱いっていってるし。
なら、兄と踊ろうとする輩もたくさんいるじゃない?パートナーとしては、嫌だったから。
だから、頑張るつもりだったけど。
あれ?なんか忘れて………、あっ!
「兄様、暴れたってどういうこと!」
「え、ああ。……その。」
「兄様は、ハルが倒れてレンミリオンに殴りかかりましたの。」
「リオーラ!」
「まったく、ハルのことになると……兄様の余裕は何処かに旅立ってしまうのですわ。
ハル、大丈夫?」
いつのまにか、人が増えてる。
あ、ルイくんもセバスの後ろにいる。
姉様に頭を撫でられる。
「まだ、熱が高いですわね。」
「ん、大丈夫。それより、パーティーは?」
「……ハルは丸一日眠っていたのよ?」
え?
日付が変わっていたの?
……マジか、どーりで流石のハノエルでもお腹が減ってると思ったんだー。
そのあと、あれからのことを説明された。
抱きとめたのがレンミリオンで、俺が意識なく恐怖で引き付けを起こしてしまったらしく、レンミリオンを離そうとしたが、離さなかったので(何してくれるんだ!紅蓮の獅子!)、兄が殴ったらしい。
ホストがゲストを殴る事態で、まあ、父にお説教されていたみたい。
と言っても、ずっと俺についてて……目を覚ましたらいてやりたいと兄の言葉に1時間だけと離れて、ルイくんも水を変えに行ったりと……タイミングがいいのか、悪いのか?
ザッスと二人だけの時に目が覚めてしまったと。
で、ここからが本題。
ザッスが俺の護衛騎士だという。
そんな話は知らんよ?
え?この春から?
できたらごめん被りたい。
ザッスに恨みはないが、声に恨みがあるもんで。
……俺の気持ちが最優先というので、謹んでお断り申し上げました。
『優しい風で俺が守るよ。』の遊風の騎士ザッスは、ヒロインの騎士になって、ヒロインを兄と姉に近づけないようお願いします!
とりあえず、護衛の件は保留になった。
え、チェンジで!
―――――――――――
~その夜~
「ハル、大丈夫かい?ん、熱は下がったね。」
「はい。」
「痛いところは?」
「ないです。兄様、ごめんなさい。僕……。」
「私こそ、すまない。無理をさせた。」
「ううん。」
「その、ハル……レンミリオンが会いたいというんだが……。」
「会いたくないです。だめです?」
「いや、お前が会いたくないなら大丈夫!断る!」
「良かった、僕はできたらあんまり会いたくないの。」
「そうか。」
「うん。あと、カ……ザクセウス様とも会いたくないです。」
「うん、大丈夫。いっておくな。」
「はい、兄様大好き。」
「ハル、ハル~。」
「ん、ま、まっっんん……。」
初めは優しく、唇を啄むようなキスだったのに……だんだんと深くなって……。
前世、門倉先輩にされたベロチューは、はっきり言って吐き気との戦いだった。
あのあと、トイレで何度口を濯いだか!神石先輩がうがい薬をくれたの(神!)で、吐く事態にはならなかったが……。
でも、兄とのは気持ちがいい。
兄がうまくて門倉先輩が下手なことも(失礼)考えられるが、やっぱり、俺が兄を好きだから気持ちがいいんだと思う。
だって、
「アンっ、兄様、だめ、ぇ。」
「可愛いい、もっと、聴かせて?」
兄がいつのまにか俺を生まれたままの姿にしていて、小さなピンクのハノエルの乳首をカリカリと指先で弄っていた。
兄、これは技ですか?魔法ですか?服を脱がせる天才なのですか?
「カレイド様、コレを。」
「セバス、ありがとう。」
って!セバス!
なんでいるの?ねえ!
あと今、渡したのなに?
ビンの中のモノを俺の胸に垂らす……ふわりと甘い香りが立ち上る。
ピクリと恐怖が持ち上がる。
あの時も甘い香りが……。
「はる?」
「や、こ、こわい。」
ぶわりと目に水の膜が盛り上がる。
「ハル、大丈夫。これは、ハルの肌がヒリヒリしないようにするオイルだよ。……大丈夫。ね?」
「や、やな、の、」
似た匂いを嗅いだ気がする。
アレは……?
本格的に泣き出した俺に兄は戸惑い、クリーンでオイルと匂いを消してくれた。
「ごめんね、ハル。もう、しない?」
「ん、兄様。ごめん、なさい。」
「いや、私が悪かった。」
「申し訳ありません、ぼっちゃまっ!」
ッテ、セバス、マダイタノ?
気配がまったくしないけど……やはり、一度忍者か聞いてみたい。
「セバス、ハルの体が冷たい。湯の用意を。」
「すぐに!」
思った以上に俺は精神的にダメージを受けていたみたいだ。
なんだろう、あの匂い。
似た匂いと恐怖が繋がる。
…… お も い だ し ちゃ だ め ……
警鐘を鳴らしている心に蓋をして、兄とまったりお風呂タイムを楽しんだのだった。
もちろん、お風呂で昨日の朝の続きをされてしまった俺なのでした。
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