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第四章 ありえないよね?不憫なのはハノエルだけじゃないのかも・・・
ヒャクヨンジュウニ
しおりを挟むいやいや、幸せなひと時というにはハードでハードなメイクラブでございましたがねえ。
はあ、やれやれです。
まあ、そんなこんなでまったりお夕飯も済ませ、父に二人が執務室に呼ばれた。
ものすごーく、渋い顔ですよ?
父様?一体どーしたんだろう。
椅子に座るように促されるが、なんの用事かなかなか言わない。
はあ、と何度もため息をついては兄を見て、はあとため息をついてはハノエルをみる。
こんな父は初めてみる。
いったい何があったんだろうか?
俺たちに関係している『困ったこと』何だろうけども。
一体全体どーしたんだろうか?
兎にも角にも、父の顔に不安が浮かんでいるではないか。
そしてさらに長い沈黙……。
目を閉じて、父がようやく言葉をこぼす。
「……なあ、王って死んだんだよな……?で、ザッスたちも消えたよなあ……?」
と。
ん?
さっきまでの和気藹々感が嘘のように消えました。
幸せいっぱいな俺たちもフリーズ。
え?
今なんと言いましたか?
「ええ、私の目の前で確かに。」
兄は冷静に答える。若干引きつってはいましたが。
「だよなあ……。」
と父は疲れ果てたように頷いた。
「父上、一体何があったのですか?」
「いや、今日……仕事で登城しただろう?」
「はい。そうですね。」
父は溜めて、小さな声で呟くように。
「そうしたら……いたんだ。」
何ががいたらしい。
Gか?
「何が?」
「だからいたんだ!」
逆切れでしょうか?
でも、父は真っ青。
んー、お化け?
「ですから…。」
「陛下がいたんだよ!」
「「はあ?」」
へ、いか?
やっぱりお化け?
いやいや、寒いことを言ってる場合じゃない。
幽霊?
亡霊?
まさか、悪霊か?
「陛下って、王がいたんだですか?」
「ああ、いたんだ……。普通に、『我が弟よ、なぜ、兄と呼んでくれないんだぁぁ!』って、抱きついてきたんだよ……。」
「……。」
「それだけではなく……各貴族の報告に騎士がきて『行方不明になっていた貴族の嫡男の方々が、帰宅されたそうです!』って報告してきたんだけど、その報告に来たのがザッス…ザクセウスで、帰ってきたのが、クリストファー殿下が『闇に埋めた』という少年たちなのだよ……。」
「それは……。」
それはもしかして、もしかしなくても『ゲーム補正』ってやつ?
ゲームの強制力?
なら、『魔王化』した二人が魔王なの?
それを退治するために、巫女が覚醒するの?
でも、兄の姿は天使だよ?
堕天使のルシファーでもないよ?
例えるなら大天使ミカエルだよ?
つまり、魔王じゃないと思うんだよ!
容姿的に一番魔王に近いのは、クリスだ!
……兄が助かるなら、魔王はクリスでいいんじゃないかな?
うん。
あれ?そうなると国が滅ぶかなあ。
俺がそんなことを感がえていたらば、話は進んでいた。
「つまり、消えたはずの人間が現れたわけですね。」
「そうなんだ。その上、そのことを認識できてるのが私を含めて数人。
宰相とクリストファー殿下……そして君たちとセバス、セシウス、アズリア、レイズだけなんだ。
まるで狐か狸に化かされたようなんだ。」
「行方不明者の家族は?」
「『恥ずかしいお話ですが、家出ししていた息子が帰ってきまして。』とな。ザッスも『は?勝手に殺さないでよ、ちょっと羽目外してただけじゃないかー。』とレイズに言ったそうだ。また、盛大にしばかれていたが。」
「つまり、ご家族は覚えていない?」
「ああ、そうだ。可愛いハルを襲ったこともハルにあったことさえ覚えていなかった。陛下に至っては、『いつになったら可愛い甥っ子に会わせてくれるのだ?』だと……。
流石に宰相と頭を抱えるしか出来なかった。」
つまり、あの『出来事』はなかったことにされた?
ゲームの話に不都合だから排除された?
ブルリと震えが走る。
一体、このゲーム、いや、この世界はどうなっているんだ?
俺は兄にしがみつくことしか、出来なかった。
このゲームがどこに向かっているのかが……物凄く怖い。
そう、なんか方向性が……。
破滅エンドなら、アドレイド家はノータッチでお願いいたします!
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