乙女ゲームにこんな設定いらなくない？〜BL（受）の声優は乙女ゲームに転生する（泣）〜改

第四章 ありえないよね？不憫なのはハノエルだけじゃないのかも・・・

ヒャクジュウサン

Side 守華


私には春樹はるきという、超超可愛い兄ちゃんがいます。
私より5歳上なんだけども。
そうは思もえない！

すんごく可愛いし、天然なんだよね～。

私が気がついたときには、『変態』に目をつけられやすかった。
なんていうか……泣かせたいって、感じ？
でも、私は兄ちゃんの笑顔のが断然好き！だ！
だって、その空間がふわって明るくなるくらい可愛いんだ。
可愛いしか言えないのか？って？
うん、もうね、兄ちゃん＝可愛い！
可愛いの代名詞は兄ちゃんってくらい可愛いんだ。
だからさ、何というか守りたいって、思う。
兄ちゃんのもう一つの代名詞は、優しい！
だからさ。
ブラコン？どんとこいよ！
でも、『恋愛』はしたいと思わないなあ。
だって、兄ちゃん春樹は、兄ちゃんはるちゃんだから。
頼りないとか思うっしょ？
実は頼りになるんだよ！
すんごくね。
でも……まさかあんなに早く逝ってしまうなんて思っていなかったんだ。
あの日、収録が終わったらご飯に連れて行ってくれる約束だった。
だから、大人しく帰ってくるのを待っていたんだ、家で。
迎えに行けばよかった。
そしたら、私なら……『見えざるもの』だとわかったのに。
そうなんだ。
嘘だーとか。
嘘つきとか言われるのはまだいい方で、気持ちが悪いとか近寄らないでって、よく言われた。
私は霊とかが見える。
なんなら、それが悪いものか良いものかもわかる。
だから、注意を促せば気持ち悪い。
何も告げず、悪いことが起きれば私のせいにされたり、なんで教えてくれないんだ！って怒る。
一体全体、どーしろと？
でも、兄はいつも言う。
『守華は嘘つきじゃない！』
『なんで？守華があんたたちを守らなきゃなの？』
『が弱い少女に全てを押し付けるなんて、あんたたち頭いかれてんね？』
……うむ。
今考えると、割合『毒舌』な兄ですな。
とはいえ、毒舌化するのはいつだって私のためだったけどね。
兄は滑舌いいんだよね。
頭もいいんだけど、勉強自体あまりしない。
学校で勉強すればいいじゃん。
ってタイプ。
で、中の上以上をキープするんだよね、成績。
まあ、そんな大好きで可愛い兄だったんだ。

兄でいつも気がかりなことがあった。
兄は、ある悪霊にいつもつけねらわれていた。
邪悪で気持ち悪くて……周りにはいつも色情霊までくっついていた。
そいつはいつもはるちゃんを見ていて。
邪なことを考える男が、その影響を受ける。
すると『欲望エロ』しか考えられなくなるみたい。
そして兄はるちゃんを襲う変態になる。
だから、兄が消えて拐われてもわかるわけ。だって、そいつにたくさん霊がついてるもん。

兄が死んでしまって、うちは火が消えたようだった。
その時、お父さんがお義父さんだって初めて知った。
兄は知っていたそうだ。
本当の父は、私が生まれる前に亡くなったんだって。
兄と父の過去は、その頃教えてはもらえなかった。
大人になって、親戚（母方）にあった時に……まあ、心ないことを言われたわけ。
主に兄と父の悪口に近い。
で、誤解して欲しくないって、母が全容を話してくれた。
私の感想は『最低！』。
兄になんてことしてくれんじゃ！
って。
父……死ぬことはなかったんじゃないかって思う。
だって、兄が思い出した時……すっごくショックを受けると思うもん。
だからね、義父は兄に触れられなかったんだって。
忘れている過去をもし思い出したら？
って思うと、兄はるちゃんが壊れてしまうんじゃないかって。
でも、死んでしまった時。
なんでもっと息子として触れ合わなかったんだろうって……泣いてた。
義父は、子供に恵まれなくて……息子と娘ができて本当に嬉しかったんだって。
うん、私は本当の父だと思っていたけど、兄とはお互いが遠慮気味でなんでかな？とは思ってた。
そういや、父はどっかから高いワインで兄の誕生年を見つけてきてたな。
ちなみに私のもあった。
嬉しそうに二人で飲んでたのを知ってる。

まあ、何がいいたいかっていうと、みんなが兄を愛していたわけ。

兄が死んだあとあの悪霊は見なくなったんだ。
で、その悪霊の正体がわかった！
父の写真で！
伯父だった。父と兄に酷いことをしたアイツ！
つまり、霊になってまで兄ちゃんを狙っていたんだ。

でも、もう何もできない。　
『守華』って名前は本当の父からの最後の贈り物だった。
もう、兄ちゃんを守れない。




…………………って思ってました。

まあ、なんというか……。
事故りました。
で、なんか『聖女』だかをやれって言われたんだけど？
私、兄を助けられないなら誰も助けられない！って、言ったのよ。
そしたら……。
女の子みたいな神様と牛だか馬だかの使徒さん？みたいな方々が私の目の前に呼ばれて。
あの『悪霊』まで、兄の元に行ったから、私を兄のために送ってくれるって。
全てが終わったら、なんだか『聖女』をしなきゃいこけないみたいだけど。
兄を助けるならオールオッケー！



でもね？
いくら年増と言われる年齢になったと言ってもさ。
この体はないと思うなあ。

まあ、いい。
兄ちゃんを助けてみせるよ。

あとさあ、カレイドもとい、神石先輩。
今度こそ、にいちゃんをよろしくね？
守れないならやらないよ？


こうして、私はセバスとして兄を見守ることになった。
神様と使徒様から力をもらってね。





―――でも、残念。
最後まで見届けられなかったよ。

『守華、どうかお願いします。』
「はいはーい。マジで神石先輩！頑張ってよ！
あーん。まだ兄をみていたいー。」
『もう、むりです！』
「わかったよー。」

大事な兄ちゃんだというに！
確かにオッケーしたけどもさ。
もう少し、兄ちゃんをみていたい、堪能したいじゃん！
だってやっと会えたんだから！

でもまあ、わたしには使命つーもんがあるらしい。
仕方がない。

もう、小さな女神様！
そして、神石先輩！
マジ頼むから！


そして、私は本来の転生だか、転移だかをする羽目になった。
まったく、どうせなら兄ちゃんと同じ世界だったらいいのにー！



ーーーそれはまた、別の話。