98 / 178
第四章 ありえないよね?不憫なのはハノエルだけじゃないのかも・・・
キュウジュウハチ
しおりを挟むまだ、ぶつぶつ言っているクリストファー改め、苅野先輩改め、変態野郎……。
はっきり言って、こんなやつにやられたくなんかない。
まあ、ちょっと衝撃の事実は置いておこう。置いておくべきだろう。
別にこの世界では、まったくもってお世話になっていないし、まえの世界でもお世話にはなっていないのだ。
嫌がらせめいたセクハラを受けまくっていただけなのだから。
でも、それでも先輩ではあったから前の世界ではちゃんと先輩として扱っていた。だが、それをする必要はない!とおもう。
それに……なんだろうか?
少し、変だよね?
前から変ではあったけど、なんかさらに変だ……。
でも、とりあえず考えよう。
『父上に力を頂いた。』と苅野は言った。
つまり、国王に力をもらったってこと?力の譲渡なんて、そんな話は知らない。
ハノエルの記憶を漁ってもそんなことがあるなんて出てこない。
もちろんうろ覚えかもしれない、ゲーム内容にもそんな話……いや、一つだけあった。
聖なる力とかそーゆー、いいほうではなくて……そう、悪い方。
つまり、『魔王』が魔物や配下に力を与えるシーンがあった気がするんだ。
……もし、あの禍々しい力が『魔王』の目覚めだったなら……その力を苅野はもらったってこと?
でも、そうなら……国王=魔王ということになってしまうんじゃないの?
そんなこと、ありえる?
いやいや、終わりじゃん?
世界が終わるよ!
世界というか、この国終わりじゃん。
だって、国のトップが魔王って、魔王?……やばくない?
だって、まだ巫女はいないんだよ?
神聖魔法を使える聖なる巫女はいないんだよ!
あの迷惑少女は、まだ力を持っていないし……。
もう一人の黒髪の子だって、主人公とは限らない。
……これは、全く話が変わってしまうよ?
ねえ?春樹の微々たる記憶がアテにならないということになってしまう。
いや。たしかにもともとアテになんてなかったからもしれないけど。
どうしたらいいんだよ。
苅野はずーっとぶつぶつ言ってるし……ちょっと、怖い。
ほら、よくいるじゃないか。
電車とかで一点を見つめたまま、ぶつぶつと悪口みたいなことを言っている人……そんな感じだ。
でも、どんな顔をして言ってるんだろうか……。顔は見えないから余計に怖い。
「ハル、ねえ、そろそろいいんじゃないかな?もう、かくれんぼは、やめよう?」
……遊んでるわけじゃない。
姿なんて現したくないに決まってる。
だって、表せばエロムービーなんでしょう?たぶん、きっと……。
絶対に嫌だね!
ガチャリと扉が開く音がする。
音ばかり聞こえるのも、恐怖を大きくする要因だと思う。
音のない恐怖映像より、見えない恐怖音のが怖いよね?
でも、見えたら見えたで嫌だから。
出来るだけ、音のする方から離れているつもりだ。
「父上。」
「クリストファー、ハノエルを連れてきたのではないのか?」
「連れてきたのですが、部屋に入ると共に光って消えてしまったのです。ですが、この部屋にいるのは確かです。」
「……お使いもできないのか?全く。ディンゲルもいい、お前といい……使えない王子はいらないのだよ?」
「申し訳ありません。」
声からすると、国王が来たらしい。
……声からもなんか禍々しさを感じるんだけど?
心の奥で警報がなっている。
「まあ、いい。……闇よ、姿を見せるがいい。」
ぐうっと、体に重みが増す。
なん、魔法?
く、ま、負けない……。
そう思うと、自分を包む光が増す。
一瞬、自分を見つけられてしまうのでは?と焦るが、どうやら国王の闇魔法(?)に争っているようだ。
「ふん、なかなか抵抗する子ウサギだね?
私の闇を跳ね返すとは。確かに、力を感じる……逃げてはいないようだね?」
「はい。」
「……まあ、さすがに姉上が師事するほどの力だといったところか?だが、私には勝てない。
……常闇の魔手。」
なに?
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「くくくく、捕まえた。」
闇の中から沢山の黒い手が現れて、光から引きずり出された。
「さあ、おいで。」
「いや、やだ!離して!」
「駄々をこねるな。お前は、私のモノなのだから。」
黒い手が離れない。
引きずられ、二人のもとに連れて行かれる。
光から引きずり出された部屋は、赤やピンクに彩られているが……怪しい雰囲気の……話に聞く[ラブホテル]かよ!ってくらい、けばけばしくて、趣味がわるい。
ベッドが赤って……マジで趣味がわるい。
「まずは、隠れた『お仕置き』からかな?」
ふざけるな!という言葉は、黒い触手のようなたくさんの手に口を塞がれて、声に出せなかった。
背中を冷たい汗が流れる。
兄様!助けて!
まさに万事休すとはこのことなんだろう……。
0
お気に入りに追加
1,421
あなたにおすすめの小説
学園と夜の街での鬼ごっこ――標的は白の皇帝――
天海みつき
BL
族の総長と副総長の恋の話。
アルビノの主人公――聖月はかつて黒いキャップを被って目元を隠しつつ、夜の街を駆け喧嘩に明け暮れ、いつしか"皇帝"と呼ばれるように。しかし、ある日突然、姿を晦ました。
その後、街では聖月は死んだという噂が蔓延していた。しかし、彼の族――Nukesは実際に遺体を見ていないと、その捜索を止めていなかった。
「どうしようかなぁ。……そぉだ。俺を見つけて御覧。そしたら捕まってあげる。これはゲームだよ。俺と君たちとの、ね」
学園と夜の街を巻き込んだ、追いかけっこが始まった。
族、学園、などと言っていますが全く知識がないため完全に想像です。何でも許せる方のみご覧下さい。
何とか完結までこぎつけました……!番外編を投稿完了しました。楽しんでいただけたら幸いです。
大親友に監禁される話
だいたい石田
BL
孝之が大親友の正人の家にお泊りにいくことになった。
目覚めるとそこは大型犬用の檻だった。
R描写はありません。
トイレでないところで小用をするシーンがあります。
※この作品はピクシブにて別名義にて投稿した小説を手直ししたものです。
不良高校に転校したら溺愛されて思ってたのと違う
らる
BL
幸せな家庭ですくすくと育ち普通の高校に通い楽しく毎日を過ごしている七瀬透。
唯一普通じゃない所は人たらしなふわふわ天然男子である。
そんな透は本で見た不良に憧れ、勢いで日本一と言われる不良学園に転校。
いったいどうなる!?
[強くて怖い生徒会長]×[天然ふわふわボーイ]固定です。
※更新頻度遅め。一日一話を目標にしてます。
※誤字脱字は見つけ次第時間のある時修正します。それまではご了承ください。
王道学園なのに、王道じゃない!!
主食は、blです。
BL
今作品の主人公、レイは6歳の時に自身の前世が、陰キャの腐男子だったことを思い出す。
レイは、自身のいる世界が前世、ハマりにハマっていた『転校生は愛され優等生.ᐟ.ᐟ』の世界だと気付き、腐男子として、美形×転校生のBのLを見て楽しもうと思っていたが…
全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~
シキ
BL
全寮制学園モノBL。
倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。
倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……?
真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。
一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。
こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。
今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。
当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。
BLゲーの悪役に転生したら予想外の展開でした。
たら
BL
はぁぁん??意味わからない。
【主人公】
前世→腐男子くん
前世は普通に平凡なオタクの腐男子。
周りには萌え系が好きと言っているが腐男子の事は墓場まで秘密にしている。
何故かめちゃくちゃハマってたBLゲームの大嫌いな悪役キャラに転生しててショック。
死んだ訳では無いのに意味わからん状態。
西園寺光輝 (さいおんじ こうき)悪役
超大金持ち西園寺財閥、西園寺家の御曹司。
我儘で俺様でありながら何でも完璧にこなす天才。
そのカリスマ性に憧れて取り巻きが沢山居る。
容姿は美しく髪は濡羽色で瞳は宝石のアメトリン。
ヒロインが攻略キャラ達と仲が良いのが気に食わなくて上手こと裏で虐めていた。
最終的には攻略キャラと攻略キャラ達に卒業パーティーで断罪されて学園を追放される。
ついでに西園寺財閥も悪事を暴かれて倒産した。
【君と僕とのLove学園】(君ラブ)
ストーリーとキャラデザ&設定が神すぎる上にボイスキャストも豪華でかなり話題になった大人気BLゲーム。
〜あらすじ〜
可愛い容姿をした超貧乏学生のヒロイン( ♂)がひょんな事から、道端で周りの人間に見て見ぬふりをされて心臓発作で蹲ってたLove学園の学園長を助けてお礼はいらないと言って立ち去った。
優しいヒロインの事が気になり勝手に調査したが、貧乏すぎて高校に行ってない事が分かり編入させるという形で恩返しをした。
そこから攻略キャラ達とラブストーリーが始まる!!
悪役令嬢のペットは殿下に囲われ溺愛される
白霧雪。
BL
旧題:悪役令嬢のポチは第一王子に囲われて溺愛されてます!?
愛される喜びを知ってしまった――
公爵令嬢ベアトリーチェの幼馴染兼従者として生まれ育ったヴィンセント。ベアトリーチェの婚約者が他の女に現を抜かすため、彼女が不幸な結婚をする前に何とか婚約を解消できないかと考えていると、彼女の婚約者の兄であり第一王子であるエドワードが現れる。「自分がベアトリーチェの婚約について、『ベアトリーチェにとって不幸な結末』にならないよう取り計らう」「その代わり、ヴィンセントが欲しい」と取引を持ち掛けられ、不審に思いつつも受け入れることに。警戒を解かないヴィンセントに対し、エドワードは甘く溺愛してきて……
❁❀花籠の泥人形編 更新中✿ 残4話予定✾
❀小話を番外編にまとめました❀
✿背後注意話✿
✾Twitter → @yuki_cat8 (作業過程や裏話など)
❀書籍化記念IFSSを番外編に追加しました!(23.1.11)❀
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる