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第四章 ありえないよね?不憫なのはハノエルだけじゃないのかも・・・ 

キュウジュウハチ

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まだ、ぶつぶつ言っているクリストファー改め、苅野先輩改め、変態野郎……。
はっきり言って、こんなやつにやられたくなんかない。

まあ、ちょっと衝撃の事実は置いておこう。置いておくべきだろう。
別にこの世界では、まったくもってお世話になっていないし、まえの世界でもお世話にはなっていないのだ。
嫌がらせめいたセクハラを受けまくっていただけなのだから。
でも、それでも先輩ではあったから前の世界ではちゃんと先輩として扱っていた。だが、それをする必要はない!とおもう。

それに……なんだろうか?
少し、変だよね?
前から変ではあったけど、なんかさらに変だ……。

でも、とりあえず考えよう。

『父上に力を頂いた。』と苅野変態は言った。
つまり、国王に力をもらったってこと?力の譲渡なんて、そんな話は知らない。
ハノエルの記憶を漁ってもそんなことがあるなんて出てこない。
もちろんうろ覚えかもしれない、ゲーム内容にもそんな話……いや、一つだけあった。
聖なる力とかそーゆー、いいほうではなくて……そう、悪い方。
つまり、『魔王』が魔物や配下に力を与えるシーンがあった気がするんだ。
……もし、あの禍々しい力が『魔王』の目覚めだったなら……その力を苅野変態はもらったってこと?
でも、そうなら……国王=魔王ということになってしまうんじゃないの?
そんなこと、ありえる?
いやいや、終わりじゃん?
世界が終わるよ!
世界というか、この国終わりじゃん。
だって、国のトップが魔王って、魔王?……やばくない?
だって、まだ巫女はいないんだよ?
神聖魔法を使える聖なる巫女はいないんだよ!
あの迷惑少女ヒロインは、まだ力を持っていないし……。
もう一人の黒髪の子だって、主人公ヒロインとは限らない。

……これは、全く話が変わってしまうよ?
ねえ?春樹の微々たる記憶がアテにならないということになってしまう。
いや。たしかにもともとアテになんてなかったからもしれないけど。

どうしたらいいんだよ。

苅野変態はずーっとぶつぶつ言ってるし……ちょっと、怖い。
ほら、よくいるじゃないか。
電車とかで一点を見つめたまま、ぶつぶつと悪口みたいなことを言っている人……そんな感じだ。

でも、どんな顔をして言ってるんだろうか……。顔は見えないから余計に怖い。

「ハル、ねえ、そろそろいいんじゃないかな?もう、かくれんぼは、やめよう?」

……遊んでるわけじゃない。
姿なんて現したくないに決まってる。
だって、表せばエロムービーなんでしょう?たぶん、きっと……。

絶対に嫌だね!

ガチャリと扉が開く音がする。
音ばかり聞こえるのも、恐怖を大きくする要因だと思う。
音のない恐怖映像より、見えない恐怖音のが怖いよね?
でも、見えたら見えたで嫌だから。
出来るだけ、音のする方から離れているつもりだ。

「父上。」
「クリストファー、ハノエルを連れてきたのではないのか?」
「連れてきたのですが、部屋に入ると共に光って消えてしまったのです。ですが、この部屋にいるのは確かです。」
「……お使いもできないのか?全く。ディンゲルもいい、お前といい……使えない王子はいらないのだよ?」
「申し訳ありません。」

声からすると、国王が来たらしい。 
……声からもなんか禍々しさを感じるんだけど?
心の奥で警報がなっている。

「まあ、いい。……闇よ、姿を見せるがいい。」

ぐうっと、体に重みが増す。
なん、魔法?
く、ま、負けない……。
そう思うと、自分を包む光が増す。
一瞬、自分を見つけられてしまうのでは?と焦るが、どうやら国王の闇魔法(?)に争っているようだ。

「ふん、なかなか抵抗する子ウサギだね?
私の闇を跳ね返すとは。確かに、力を感じる……逃げてはいないようだね?」
「はい。」
「……まあ、さすがに姉上が師事するほどの力だといったところか?だが、私には勝てない。
……常闇の魔手。」

なに?

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「くくくく、捕まえた。」

闇の中から沢山の黒い手が現れて、光から引きずり出された。

「さあ、おいで。」
「いや、やだ!離して!」
「駄々をこねるな。お前は、私のモノなのだから。」

黒い手が離れない。
引きずられ、二人のもとに連れて行かれる。


光から引きずり出された部屋は、赤やピンクに彩られているが……怪しい雰囲気の……話に聞く[ラブホテル]かよ!ってくらい、けばけばしくて、趣味がわるい。
ベッドが赤って……マジで趣味がわるい。

「まずは、隠れた『お仕置き』からかな?」


ふざけるな!という言葉は、黒い触手のようなたくさんの手に口を塞がれて、声に出せなかった。
背中を冷たい汗が流れる。

兄様!助けて!

まさに万事休すとはこのことなんだろう……。

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