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第三章 え?本当?迷惑少女は突然に?

ロクジュウキュウ

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「楽しそうだね。私も隣をいいかな?」
「殿下?何故いるのですか?」

姉が殿下いきなりの出現に驚きの声をあげた。
ホーンとにしつこいよね?
なんでくるの?

「リオーラ、元婚約者をそんなに無下にしなくてもいいじゃないか?この前はあまり話せなかったからね?」

婚約を解消したからこそ、側にいたくないのに。

「クリストファー殿下?な、何故……ここに?」
「やあ、アドレイド公爵にゴールネイ公爵。私の従兄弟の入学だからね、見学にきたんだ。
さて、ゴールネイ公爵の息子さんだったかい?」
「あ、はい。ゴールネイ公爵が次男、マッケンシーと申します。」
「そう、マッケンシーくん。その席を譲ってはくれないかな?」

それって、横暴じゃない?

「え?あ、あの。」
「譲る必要はなくてよ?マッケン。」
「ハルたちとはこの前、あまり話せなかったのでね。」
「あ、は、う、……。」

俺をチラッとクリストファー殿下が見て、それから笑顔でマッケンを威嚇する。……やっぱり苅野先輩に似てる。その似非笑い。

「わかりました。マッケン、あっちに二人で座ろう?」
「「え?」」

クリストファー殿下だけじゃなく、マッケンまでびっくりしている。
姉は平然としてるけどね。

「クリストファー殿下とのお話は、僕にはありませんし、僕はのマッケンと一緒に兄達を静かにみたいのです。予鈴もなってすぐに式が始まります。お話はしません。
父様達の間に入っていい?」
「もちろんだ。」
「行こう、マッケン。」
「う、うん。」

本当に話すことなんてないし。せっかく、楽しくお口にチャックまでして待ったというのに。
台無し。
そもそも、なんできたのさ。
本当に来る必要ないよね?
貴族なら当たり前なの?
従兄弟の入学式にくるの。
兄は嬉しくないと思うけど。

でも、何を考えてるかわからない殿下より、素直で可愛いマッケンと兄を見る方が楽しいもん。
父たちが間に空けてくれた。
わかってますな、父よ。
すかさず、セバスが俺の尻の下にクッションを置いてくれた。
流石です!セバス。

………グッジョブ、ハル
どうぞお座りになったら?わたくしも話すことはありませんけども、隣くらいは譲りますわ。」
「……失礼する。」

そこまでされて、無理に両公爵の間には入れませんもんねえ。というか、したら王子の振る舞いじゃあないよね。ディンゲルアレならしたかもだけどねー。

「護衛の方も大変ですわね?主人がわがままじゃあ。」
「私がわがままだと?」
「あら、別に誰かとは言ってませんことよ?あ、ほらお静かに。始まりますわ。」
「……。」

ジト目で姉を見るクリストファー殿下。
Winner!リオーラ!
グッジョブです!姉様。
でも、ちょっと悪役令嬢っぽかったです!すてき!
みんなが震え上がるかも!

「ぶふっ。……失礼。」
「あら、セシウスったら。」

セシウス様でも吹き出すんだねえ。確かに今のは笑えるよね。
いつも真面目なのに。
だってほら、後ろの護衛兵たちも苦笑いで堪えてますもん。
姉はつおいのですよーだ!

しっかし、殿下もしつこいよね。大事なことなので、もう一度!
殿下、超しつこい!
コレはもう、父親王様譲りだね。まあ、苅野先輩の声だからなのかは、わかりませんけど?
第一、俺は話なんてない、ないんですよ。
それに、悪いけど気持ち悪いから王族とはあまり付き合いたくない。
自分の神聖魔法も知られたくないし。



その後、殿下は静かになった。
そうして、始まった式は滞りなく進み、とうとう新入生代表の挨拶!兄の出番ですよ。
素敵です、兄様。
かっこいいです、兄様。
堂々とした態度の兄様は、もう素敵以外の何モノでもないね!
うーん、眼福ってこーゆーことだよ。
この兄が、俺の旦那様になるわけでしょう?
でもって、今日はとうとうね……。
うわっ、鼻血出そう。
かんがえちゃいけないね、今は。

で、かっこいい兄の挨拶の後には、コレまたイケメンな人の挨拶がありました。
総代とか言ってますから、たぶん?生徒会長的な方なのかもしれない。
オルベリオ・エスティア……、ああエスティア公爵の長男か。
確か北に位置する公爵だったはず。
セバスの説明ではね。
もちろん、マッケンの名前は知っていたよ?でも顔は知らなかった。
いや、同じ歳の子と嫡男の顔は一応……ね?教わりましたがそれ以外は、はっきり言って顔まで覚えてないです。嫡男も半分くらいうる覚えなのです。すみません。
同い年は、絶対に会うから必死で覚えたけども。

しかし、みんなイケメンでスペック高いのねー。
うん、きっと乙女ゲームだからかなあ。
マッケン、すんごく和むよ。俺の癒しになりつつある。そうか、だから一緒にいたのかも……ハノエルだって、一人は辛いよね。

あ、挨拶おわった。

盛大な拍手が飛び交う。
……そのあとの学園長やら、……国王やら(きてたんかい!)の挨拶がまた長い長い。
で、気持ち悪いことに国王がこっちを見て笑いやがった。マジでキモいわ!不敬だから口には出さないけど、マジでキモいんですけど!
……マジで気をつけなきゃ。でも、ハノエルの不憫ムービーに陛下とのはないよ?
え?ないよね?
まさかの魔王とか?絶対に嫌だし!
でも、陛下の声に聞き覚えはないよ?俺の知らない声優がやっていた?いやいや、あそこまでこだわる製作者だもん、声を聞いたらわかるくらい有名系を持ってくるでしょ?絶対に!

絶対にアレとの絡みは嫌です!
そもそも兄との婚約認めたじゃんか!正式に。
たしかに、結婚までしなければ確実じゃないし……不義とかで破棄はある。
でも、それは兄が俺を疑い捨てなければあり得ない。
だって、嫁側には多重結婚は認められてないんだから。

そもそも血の繋がった甥だよ?
………関係なかったわ。俺、第二種じゃん。だから、兄とも結婚できるんだから。
でもさ、自分の息子より下よ?
俺は、自分の父親より(父の兄だもん)上のオヤジとなんか絶対にいやだわ!
そりゃ好きになれたなら、まあ、いいけど。
はっきり、きっぱりいって、気持ちが悪いです。

「話ながいね?」
「うん。」

マッケンが小さな声で言ってきたので、こっちも小さい声で返した。
そして、話に飽きた俺たちはコソコソと内緒話を続行。

「なあ、コレ知ってるか?」
「なあに?」
「王都にきてすぐ、兄上と市場に行ったんだ。」
「市場?いいなあ。」
「行けばいいじゃないか、あ、俺が兄上に頼んでやるぞ?」
「無理なの。僕ね、体弱いから……長くは出れないんだ。」
「そうなのか……じゃ、コレとコレやる。」
「え?」
「コレは、ビー玉って言って平民が遊んだりするらしい。でも、綺麗だろ?ガラスで出来てるだって。
あと、コレは巷で流行ってる菓子なんだぞ。コレもやる。」
「おや、珍しい。それはルンバに強請って買ってもらったものだろうに。」
「うん。でも、俺はまた買いに行けばいいし。」
「ありがとう。でも、大事なモノでしょ?」
「うん、大事だけど、やる。友達のしるしだ。」
「ありがとう。でもお菓子は半分こしようね。」
「わかった。」

パキッと割って、半分の大きい方をくれた。
やっぱり、優しい子なんだな。
貰ったのは黒糖のふ菓子。懐かしいなあ。前世春樹では好きだったんだよね。
仲良くふ菓子を食べました。

それを優しく見守る視線と気持ちが悪い視線を感じた。


早くおうちに帰りたい。

そう思ってもいいよね?
だって、陛下と殿下が食い入るように見てる気がするんだもん。
どうか!神様!……何もありませんように(フラグ?)!


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